アメリカ現代史~『大統領の執事の涙』
大統領の執事の涙





 The Butler


 南部の白人家庭で、給仕などを担当する 「ハウスニガー」 として育った
シル(フォレスト・ウィテカー)
は、大統領の執事に抜擢され、ホワイトハウス
働くことになる。

 1950年代から80年代にかけてのアメリカに実在した、7人もの歴代大統領
に仕えた黒人執事の物語
。存在を消し、会話を聞かず、「空気」 のようでいる
ことを強いられた男・セシルが見た、アメリカの現代史

 彼の長男ルイス(デヴィッド・オイェロウォ)は父の仕事を嫌い、公民権運動
に身を投じる。次男はベトナムに志願し、命を落とす。国と戦った息子と、国
のために戦った息子。妻(オプラ・ウィンフリー)とともに息子たちを見送り、ア
メリカの中枢時代の目撃者となったセシルが、最後に見たものとは? 

 監督はリー・ダニエルズ。彼の前2作( プレシャス ペーパーボーイ 真夏
の引力
 )は劇場鑑賞している。演出に、独特の 「間」 がある監督さんだと
思う。

大統領の執事の涙2

 主演者の中にジェームズ・マースデンを見つけ、「観たい!」 と思ったのだが、
まさかジョン・F・ケネディ役とは。。ジミー、物凄くハマってたよ♪ その他、ほん
のワンシーンくらいの出演に、驚くほどの豪華キャストが集結している。ヴァネッ
サ・レッドグレーヴ、アレックス・ペティファー、マライア・キャリー、ロビン・ウィリ
アムズ、ジェーン・フォンダ、アラン・リックマン
などなど。自由の国アメリカで、全
ての人間が公正な権利を得るまでの、長い長い道のり。綿花畑で虫けらのよう
に扱われていた人々の子孫が、アメリカ大統領に選ばれる日・・・。

 しかし、この邦題、、、酷過ぎ。「の」 の字の法則、、ジブリかっ!(笑)

大統領の執事の涙3

 ( 『大統領の執事の涙』 監督・製作:リー・ダニエルズ/2013・USA/
     主演:フォレスト・ウィテカー、オプラ・ウィンフリー、デヴィッド・オイェロウォ
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【2014/03/31 21:11】 | 映画 | トラックバック(31) | コメント(6)
美しい年~『17歳』
17歳






 Jeune & jolie


 パリに住む高校生イザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、家族とのバカンス先
でドイツ人青年と出逢い、初体験する。17歳になった彼女は年齢を偽り、
ネットで客を取る娼婦となっていた。

 昨年、『危険なプロット』 を観逃してとても残念だったので、本作は勇んで鑑
賞。映画職人フランソワ・オゾン安定した映像語りを、存分に堪能できる一作。
ジュリア・ロバーツが30歳若返ってアンニュイなパリジェンヌになったような、
リーヌ・ヴァクト
神々しいまでに美しい

 ここ最近、アメリカ映画を観る機会が多く、良作揃いで満足はしていた。しか
し、「やっぱりフランス映画はいいな~」 と思わせてくれる一作だった。何が違
うんだ? と問われても、巧く説明はできないけれど・・・。空気にさえ陰影があ
と言うか、映像に湿り気と香りがあるのです。トレビア~ン

17歳2

 17歳。不安定で不可解な、美しい年。昨年読んだ中で一番好きだった小説
に、「十六歳はセックスの齢」 という小編があった。イザベルにとって、相手や
場所はどうでもよかった。恋、さえ必要なかった。ただ 「それ」 を、喪うことさ
えできれば。17歳を迎えるまでに。


 遠い昔、その 「美しい年」 だった私は、彼女の 「気分」 が何となく理解
できる。今はイザベルの母、シルヴィ(ジェラルディーヌ・ペラス)の視点でこ
の映画を観るべきなのかもしれないが、大人たちの身勝手と、利己主義には
未だにうんざりさせられる。特に、洗面所に黙って避妊具を置かれた日には、、、
叫び出してしまいそう! 結局、自らの体面を保つことしか考えられない親
元では、子どもは永遠に救われることはないのだろう。

 17歳の娼婦が主人公の、R18+指定の映画ではある。しかし、さほどポル
ノグラフィックでも、エロティックでもない。それはイザベルに対する監督の目
に、欲望を全く感じられないからかもしれない。

17歳3

 実の父と離れて暮らしているから、だとか、美し過ぎるがゆえに、だとか。イ
ザベルが 「したこと」 に対し、精神分析的な理由づけをすることはほとんど
意味がないだろう。かと言って、需要と供給、などと、経済の問題として片づけ
るのも悪趣味だ。17歳。大人でもなく子どもでもない、ただ 「美しい」 年
そこに吹き荒れるに、人はただ、過ぎ去るのを待つしか術はない。

 恐らくは、この世で最悪の状況で寡婦となったジョルジュの妻(シャーロット・
ランプリング)
ラスボスにふさわしい、さすがの気品と貫禄(迫力)である。
彼女の姿は、イザベルの未来を象徴しているようにも、地獄からの使者のよ
うにも感じられる。

 が多用され、生と死、静と動、期待と不安、歓びと哀しみといった、相反
する感情、物事
が映し出されているようだ。オゾンは映像に様々なレトリック
を施し、モラルや良識を軽々と超越してみせる。顰蹙上等いい映画だと、
私は思う。

 ( 『17歳』 監督・脚本:フランソワ・オゾン/2013・仏/
       主演:マリーヌ・ヴァクト、ジェラルディーヌ・ペラス、シャーロット・ランプリング

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【2014/03/19 21:08】 | 映画 | トラックバック(10) | コメント(7)
本は人生のおやつ、なのか?  (むしろ主食かも)
 とあるブックカフェにお邪魔してランチ。

さるやみ1

 オーダーしてから書棚を拝見していると、なんと長年探していた 「あの」 本
飛び込んできた。

さるやみ4

 ドキドキしながら、これ、買えるんですか? と聞いてみる。

 ええ、もちろん。少し状態が悪いので値引させていただきますよ。


 店内のモニターには 『ミステリー・トレイン』。落ち着いた、清々しく温かな
雰囲気。こじんまり。ゆったり。ほっこり。

さるやみ2

さるやみ3

 小津の小父さん、また伺いますね。

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【2014/03/15 09:50】 | パンとか、カフェとか。 | コメント(1)
黄金の月~『新しき世界』
新しき世界





 NEW WORLD

 新世界


 潜入捜査官として、ソウル警察から巨大企業型犯罪組織に送り込まれた
イ・ジャソン(イ・ジョンジェ)は、組織の序列No.2チョン・チョン(ファン・ジョ
ンミン)
右腕として地位を築きつつあった。しかし、警察の上司カン課長
(チェ・ミンシク)
に常に監視される、長い偽りの人生に疲弊してもいた。そん
な折、組織の会長が交通事故死し、跡目争いが勃発する。

 韓国で大ヒットし、ファン・ジョンミンが青龍映画賞男優主演賞を受賞した
ノワール。昨年から、とても期待して待っていた作品。土曜日は満席と知り、
日曜日の上映一時間前に座席をゲット。『インファナル・アフェア』 イース
タン・プロミス
 と、潜入捜査ものの名作は数あれど、それら先達に敬意と
目配せ
を払いつつ、自ずと高め設定となるハードルを越えた秀作。容赦の
かけらもない、えぐられるような痛み体感する、いかにも 「韓国らしい」 
作品
と言えるだろう。

新しき世界2

 とにかく、ファン・ジョンミンが凄い。この作品、どう観ても主演はイ・ジョン
ジェだと思うのだが、見せ場は全てジョンミンに持って行かれた感じ。機内
用スリッパで登場するファーストシーンから、臨終場面までまさに彼の独壇
。特に、エレベーター内の死闘からあの臨終シーン「本当に」 死んだ
としか思えないほど真に迫っていた。さすがの御大・ミンシクも、彼に比べる
と本作での演技はやや抑え気味。

 ジャソンの正体を知りながら、何故チョン・チョンは彼を断罪しなかったの
か。同じく華僑出身であるジャソンを 「ブラザー」 と呼んだチョン・チョン。
彼にとってジャソンは 「舎弟」 以上の何者であったのか。ここに、男同士
の 「愛」 を感じさせる描写、もっと言えば、同性愛的視点があれば、私は
おそらく涙、涙で本作を観たであろう。

新しき世界3

 「苦しむのは止めて、いい加減に選べ」 チョン・チョンの遺言を胸に、ジャ
ソンが 「新世界」 に漕ぎ出す結末。ラストシーン、ジャソンのはみ出しそう
に無邪気な笑顔
で、この残忍で悲惨な犯罪ドラマは幕を閉じる。そしてこの
ラストが、新たな傑作トリロジーの幕開けであることを願いつつ、続編を待ち
たい。

 ( 『新しき世界』 監督・脚本:パク・フンジョン/2013・韓国/
        主演:イ・ジョンジェ、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン

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【2014/03/12 21:08】 | 映画 | トラックバック(13) | コメント(4)
気がつけば・・・。
 鬼の霍乱かオスカーの呪い(笑)か、先週から珍しく体調を崩し・・・。寝込
んでおりました。

気がつけば

 気がつけば、もう3月も半ば。 「あの日」 がまた巡ってきました。まだまだ
完治にはほど遠い私も、気分転換に今日は久々、谷町ル・アイさんにてラン
チ。相変わらず、ボリュームたっぷりで大満足。昼間は日差しが案外強くて、
もう日傘の出番? と思ったほど。

 一ヵ月近く前に観た映画の感想も、まだアップできてない。でも焦らず、ぼち
ぼち再開しましょうかね。

 がんばれ、がんばれ。

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【2014/03/11 20:52】 | 徒然 | コメント(2)
真紅の勝手にオスカー!
 いよいよ明日は、アカデミー賞授賞式! 久々に、直前予想してみました♪

助演女優賞: ルピタ・ニョンゴ  『それでも夜は明ける』

 アカデミー賞は人種的バランスを重視する傾向があるように思うので。
ジェニファーの二年連続受賞でも、個人的にはうれしいのですが。


助演男優賞: ジャレット・レト! DBC 

 大本命! 鉄板! 対抗馬なし! ガチ!


主演女優賞: ケイト・ブランシェット 『ブルー・ジャスミン』

 サンドラ姐さんは2、3年前に獲ったからいいでしょう? 
 そもそも 『エリザベス』 でケイトが獲らなかったのがおかしいんだから・・・。ブツブツ


主演男優賞: マシュー・マコノヒー! DBC  
 
 本命だけど、レオかも? 理由は後述。


監督賞: アルフォンソ・キュアロン

 って名前がいいよね!


作品賞: それでも夜は明ける

 これもバランス重視で、監督賞と作品賞は重ならないのでは? まだ観てない
のですが、前哨戦の傾向で。


 助演男優はジャレットでガチ、となると、今年のような大本命不在の混戦レー
で、同作品からの演技賞二人受賞はないのかも? だとしたら、主演はレオ
へ行くかも??

 レオにしたら悲願のオスカーだけど、マコ様、DBCは一世一代の名演技だか
らなぁ・・・。私だったら、ジャレットとマコにあげますけれども。迷わず

 こんな風にあーだこーだと考えて楽しめる、やっぱり映画って素晴らしい~♪
\(^o^)/


ベーグルランチ

テーマ:アカデミー賞 - ジャンル:映画

【2014/03/02 12:12】 | 映画雑談 | トラックバック(0) | コメント(8)
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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