人はパンのみにて生くるに非ず。されど・・・
明日はジゴロかペテン師か~『探偵はBARにいる2/ススキノ大交差点』

札幌の大歓楽街・ススキノのBAR 「ケラー・オオハタ」 を根城にする探偵
(大泉洋)は、相変わらず携帯電話も持たないマイペース。ある日、彼の友人
であるオカマのマサコちゃん(ゴリ)が、何者かに殺害される。犯人を突き止め
ようと、助手(と言うか相棒のような用心棒のような運転手)の高田(松田龍平)
と動き始めた探偵の前に、人気ヴァイオリニストの河島弓子(尾野真千子)が
現れる。
北海道が生んだ大スター、大泉洋が札幌の私立探偵に扮し、大活躍を見せ
た 『探偵はBARにいる』 続編。これで見事シリーズ化決定か? おめでとう
ございます(拍手)。相変わらず面白かったけれど、これ前作を観ていなかった
らわからないネタだらけなので、前作鑑賞は必須と思われます。

改めて自分の書いた前作の感想を読み返してみると、本作とほぼ同じな
ことに気付いた(笑)。以下同文、でもいいのですが簡単に印象など。
やはり、大泉洋という 「稀代のキャラクター」 の魅力が炸裂してこその
このシリーズ。松田龍平とのコンビも、ますます画になっている。意味不明
のお色気シーンや、室蘭観光(?)シーンはちょっと削ってもよかったかも。
味のある脇役のみなさん(安藤玉恵、松重豊、田口トモロヲ、波岡一喜)
も続投でうれしい限り。そして、探偵と高田の次に重要なキャラ、高田の
ボロ過ぎる愛車も変わらず登場。 「この車、ホントに車検通ってんの?」
にはもう、爆笑でした。
実は邦画を観るとき、私の中では一つのジンクスがある。「ムーンライダ
ーズがエンディングテーマの映画は、絶対いい作品である」 という。この
映画も例外ではなく、私のジンクスが破られることはなかった。他にどんな
映画がある? と問われたら、『転々』 くらいしか今、思い出せないんだけ
どね(笑)。

( 『探偵はBARにいる2/ススキノ大交差点』 監督:橋本一/2013・日本/
主演:大泉洋、松田龍平、尾野真千子、ゴリ、松重豊、渡部篤郎、篠井英介、田口トモロヲ)
ここにしかない景色~『県庁おもてなし課』

東京の大学を卒業し、郷里の高知で県庁職員として働き始めた掛水(錦戸亮)
は、「おもてなし課」 に配属される。彼は、高知出身の小説家・吉門喬介(高良
健吾)に 「観光特使」 就任を打診するのだが・・・。
高知県出身の人気作家・有川浩の同名小説の映画化。正直者で 「いい人」
ではあるが、どこか抜けている 「空気読めない」 青年・掛水が、愛する郷里・
高知に観光客を誘致すべく奮闘する姿を軸に、アルバイト職員・明神多紀(堀北
真希)との恋、観光アドバイザー・清遠(船越英一郎)と、その家族を巡る物語を
描く。試写会にて鑑賞。一年ぶりに当選したわ~♪
映画を観終わってザワつく場内では、「高知に行きたくなったね~」 「亮ちゃ
ん、ええわ~」 というつぶやきが聞こえる。そう、この映画の見所はまさしくそ
の二つ! 高知の大自然、そして錦戸亮の 「はみだしそうな笑顔」 です。

「おもてなし課」 って、実在するんですね。ずっと昔に、車で四国一周旅行を
したことがあるのですが、非常に懐かしかったです、高知の自然。ホント、あの
まんまで、掛け値なしに素晴らしいのです。劇中に 「高知出身の有名人は多
い」 ってセリフがあったけど、あの雄大な海(太平洋)を眺めていたら、そりゃ~
大志も抱くというもの、「東京へ行くぜよ!」 みたいな。。坂本竜馬しかり。同
じ四国でも、穏やかな瀬戸内海に面した愛媛・香川とは、全然県民性が違うと
思う。
個人的には、掛水と多紀ちゃんの恋模様はイライラしながら観ていたのだけ
れど(すみません)、清遠家の複雑な家庭の事情は見応えあったな。『白夜行』
でも思ったのですが、船越英一郎って意外と(?)いい役者さんですよね。高良
健吾は、意識的に抑えた演技をしているように見えた。 「あんたの娘を俺にくれ」
あのワンシーンだけ爆発させてますね、役者魂を。あの目だけで、全部許すわ
(何を?)。そして、はちきんさんを演じた関めぐみ。私は正直、今までこの女優
さんが好きじゃなかった。でも、今回初めて 「いいな~」 と思いました。

音楽は一本調子だし、高知県の観光PRビデオのようではある。しかし、誰も傷
つかない、関ジャニのエンディングテーマを聴きながらいい気分で劇場を後にで
きる、気持ちのいい映画。高知の人は幸せ者だね~、こんなにも 「高知愛」 に
溢れた映画ができて。有川浩と西原理恵子を生んだ高知県、ちょっと凄いゾ。
( 『県庁おもてなし課』 監督:三宅喜重/2013・日本/
主演:錦戸亮、堀北真希、関めぐみ、高良健吾、船越英一郎)
天使の街の無法者~『L.A.ギャングストーリー』

GANGSTER SQUAD
第二次大戦後間もない1949年、ロサンゼルス。ハリウッドランドを抱く「天使
の街」は、ギャングのボス、ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)の支配下にあり、
警察でさえもその例外ではなかった。正義感の強いジョン・オマラ巡査部長
(ジョシュ・ブローリン)は、ある日パーカー市警本部長(ニック・ノルティ)に呼
び出される。
「暗黒街の帝王」 と、その帝国を壊滅させるべく集められた精鋭部隊。バッ
ヂを外し、
いを描いた、「事実にインスパイアされた」 漢のドラマ。お、面白かった、、、。
なんか軽くて、漫画ちっくで。キャストも豪華な割に、ちょっとチグハグで。でも
こういう限りなくB級に近い映画、私は好きだなぁ。

精鋭部隊の面子がいい。野犬みたいなジョシュ・ブローリン、ヲタクさんなジョ
ヴァンニ・リビシ、ちょっと老けたT-1000こと、ロバート・パトリック。 「惚れて
まうやろ~」 なライアン・ゴズリング、いっそ爪楊枝くわえてたらよかったのに
(笑)。彼らは威勢のいいギャングの真似事をしながら、ミッキー・コーエンに近
づいてゆく。そして、問題はそのミッキーを演じるショーン・ペンなのだ・・・。
彼が名優であることは知っている。どんな役柄でも全力投球する、(多分)真
面目な男なのだろうということも。しかし、この映画ではちょっと「やり過ぎ」。ミ
ッキーがあまりにもリアルに粗野で下品で残酷過ぎて、完全に浮いてしまって
いるのだ、残念ながら。

そのミッキーの 「情婦」 がエマ・ストーン、というのもバランスが悪い。エマ・
ストーン、かわいくて今が「旬」の大好きな女優さん。しかし、彼女はどうみても
現代的な「お嬢さん」であって、とてもギャングの女には見えない。クラシカルな
雰囲気は薄く、アメコミのヒロインから抜け切っていない。せめてスカジョとか、
私のイチオシ女優、レイチェル・マクアダムズだったらよかったのに。あ、彼女た
ちでは、私生活が役柄とカブるんだった・・・。ちなみに、エマちゃんの着ていた
深紅のドレス、2012年のオスカー、レッドカーペットで彼女が着ていたドレスに
ソックリ! お似合いでした~。
( 『L.A.ギャングストーリー』 監督:ルーベン・フライシャー/2012・USA/
主演:ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、ショーン・ペン)
残酷で美しい【世界】 ~『進撃の巨人』

attack on titan
4月最初の土曜日の夜。リビングでいつまでも息子がダラダラしている。
私 「おやすみ」
息子 「あ、、、」 何か言いたげ。
私 「?」
息子 「今日さ、、、夜中まで起きてテレビ観ていい?」 (我が家にはリビングにしかテレビはない)
私 「はぁ~?? 何ゆってんの中学生が! 録画して早く寝なさい!!」
息子 「どうしてもリアルタイムで観なあかんねん。お願いお願い、勉強するから」
・・・ん? 今何つった?
「それまでリビングで勉強するから」 ← 100年ぶりに聞いたぞこのセリフ(T_T)
我が息子がそこまで楽しみにしているアニメ、『進撃の巨人』。その後も熱は冷めず、
どんなもんじゃ? と原作コミックを息子に借りて読んでみると・・・。
もう、、来ました、、、ガッツーーーーンと。ハマった。アニメ版もめっちゃクオリティ
が高い。うん、これは素晴らしい!
この漫画にハマっている息子を、少しだけ見直した私なのだった。
僕の大好きなヒーロー~『アイアンマン3』

IRON MAN 3
『アベンジャーズ』 から一年。トニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、
13年前、植物学者マヤ(レベッカ・ホール)と過ごしたスイス・ベルンでの
一夜を回想していた。
人気ヒーローシリーズも3作目ともなると、マンネリ化したり肥大化し過ぎた
りで、収拾がつかなくなりがち。しかし、大人で、お茶目で、大金持ちの天才
科学者であるトニー・スターク/アイアンマンなら大丈夫。人生のどん底から
立ち直り、ハリウッドスターに返り咲いたロバート・ダウニー・Jrが演じている
のだから。
本作、トニーの語りで始まるのですが、私には何故かトム・ハンクスの声に
聞こえてしまい(笑)、一瞬パニックに陥ってしまった。「なんでアイアンマンや
のに、トム・ハンクスがしゃべってんの?!」 上映シアターを間違ったかと思
った(汗)。でもねぇ、似てますよ、お二人の声。
★☆ 以下、エンディングに言及します ☆★
観終わった率直な感想は、、、「トニー・スターク、話ながっ!!(爆)」
そりゃ超人ハルクも居眠りするって。

と、冗談はさておき。潤沢な資金を注ぎ込んで作られた超人気作品らしく、
スケールもパワーもアップしています。しかし、「マンダリン」 の正体(ベン・
キングズレー)はショボかった・・・。真の悪役は、13年前トニーに屋上で待ち
ぼうけをくらったキリアン。ガイ・ピアース、出世しましたねぇ。
炎の中からヌッと現れる様は、『T2』 のT-1000を思い出させる。まぁ最後
はアイアンマンの勝利に終わる、というのはわかっちゃいるのだけれど、なか
なかの強敵だった。しかし、ペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー)は大丈
夫なんだろうか? どうやって元の身体に戻るの??
自宅もパワード・スーツも失ってしまったトニー。このシリーズも完結かな、
と思ったらめっちゃ寂しい。でも、彼が ”I am IRON MAN.” と言ってくれ
ている限り、いつかまた会えるよね? ”Tony Stark will return.” に、
お約束とわかっていながら、思わず拍手してしまった私なのだった。

( 『アイアンマン3』 監督・共同脚本:シェーン・ブラック/2013・米、中/
主演:ロバート・ダウニー・Jr、グウィネス・パルトロー、ドン・チードル)
「やさしく殺す」 とは?~『ジャッキー・コーガン』

KILLING THEM SOFTLY
チンピラ仲間、フランキー(スクート・マクネイリー)とラッセル(ベン・メンデルソ
ーン)は二人で賭場を襲い、大金を手にする。裏組織の連絡員(リチャード・ジェ
ンキンス)が二人の始末を依頼したのは、凄腕の殺し屋、ジャッキー・コーガン
(ブラッド・ピット)だった。
「やさしく殺す」 をモットーに、裏組織からの依頼を受け、ギャング集団とその
手下を粛清する殺し屋を主人公にしたノワール。PLAN B製作の作品なので、
主演のブラピはプロデューサーの一人でもある。
GW二日目の日曜、シネコンは床が抜けそうなほどの人・人・人。しかし、この
映画のシアターはひっそりと、半分以下の入り。R15+指定であるし、いかにプ
ラピといえど、トニー・スタークや工藤新一には敵わないだろう。「絶対に、面白く
ないだろうな」 とは思っていたが(笑)、案の定 「面白い」 映画ではなかった。
しかし、駄作だとも言い切れない 「何か」 はあるかも。

室内か、夜の場面がほとんどではあるが、映像は美しい。ブラッド・ピットも
カッコイイし、脇を固めるリチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィー
ニ、レイ・リオッタら、「いつものメンバー」 的お馴染み感も嫌いではない。
一瞬だけど、サム・シェパードも顔を見せている。個人的には、「ガキ」 と呼
ばれていたスクート・マクネイリーが一番好きなタイプの顔だけれど(そう、私
は昔からブラピがあんまり好きじゃない。完璧過ぎるから? かもしれない)。
「俺はやさしく殺すんだ」 というジャッキー・コーガンだが、それはターゲッ
トが 「銃口を向けられている」 という恐怖を味わわないだけで、遠くから、ま
たはいきなり撃つのが彼流の 「やさしさ」 らしい。何だかよくわからない。
時々映し出されるテレビ画面や、カーラジオからはオバマの選挙演説が流
れている。自由と平等の国、アメリカ。そしてそれは裏を返せば、生きるも死
ぬも自己責任、という厳しい弱肉強食の世界である、ということ。ちょっと変わ
ったアレンジの It's Only A Paper Moon が流れたりして、音楽もなか
なか 「クール」 な感じだった。

( 『ジャッキー・コーガン』 監督・脚本:アンドリュー・ドミニク/2012・USA/
主演:ブラッド・ピット、リチャード・ジェンキンス、ジェームズ・ガンドルフィーニ)