帰国後~『半島へ、ふたたび』
半島へ、ふたたび

 北朝鮮による拉致被害者の一人である、蓮池薫さんのエッセイ。韓国への初め
ての旅
と、帰国後に彼が翻訳業に従事するまでのいきさつや、心境が綴られた
二部構成の本。もちろん、全編に渡り、拉致され自由を奪われたことに対する怒
りと悔しさ、未だ帰国が叶っていない他の被害者とその家族への思いで満たされ
てはいるが、意外なほど全体の印象は明るい。常に前向きで好奇心旺盛な、著者
人柄の表れだと思う。

 蓮池さんが翻訳家としてデビューしたのは知っていたが、既に20冊も翻訳・著
作があるとは知らなかった。彼の地では、日本語を朝鮮語に翻訳する業務に従事
させられていたそうだが、その「経験」逆手に取り、帰国後の生業にした彼には
拍手を送りたい。

 見知らぬ国にある日突然拉致され、全ての自由を奪われ、関係を断ち切られる
とは。。本書に描かれているのはほんの一部で、24年間、想像を絶する苦労があ
ったことと思う。しかし蓮池さんの文章からは、恨み辛みや悲しみといった、マイ
ナスな感情はほとんど感じられない。彼の地で過ごした長い年月は忘れられよう
はずもないが、大切なのはこれからだ、と。人生を如何に生きるべきか、何を為す
べきか。感じられるのは若々しく、前向きなエネルギーだ。

 翻訳を担当した韓国のベストセラー作家、孔枝泳コン・ジヨンさんへの思い入れ
が強すぎると感じさせられるほど、蓮池さんは自分に正直な人なんだとも思う。
『私たちの幸せな時間』、映画も観ていないが是非読んでみたい。そして、拉致被
害者の方々の一日も早い帰国と、蓮池さんのさらなるご活躍を祈念します。

 ( 『半島へ、ふたたび』 蓮池薫・著/新潮社・2009)
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【2010/03/30 21:02】 | 読書 | トラックバック(1) | コメント(2)
お帰りなさい ~ misdo ~
ミスド2













  懐かしすぎて涙が出そう。




ミスド1

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【2010/03/27 21:39】 | 徒然 | トラックバック(0) | コメント(4)
ダニー・ボイルが好きだ!~『ミリオンズ』
ミリオンズ



 MILLIONS


 イギリスがユーロを導入し、ポンドと別れを告げようとしていた頃。少年ダミ
アン(アレックス・エテル)
は、空から落ちてきたカバンを見つける。そこには、
大量のポンド紙幣が詰まっていた・・・。

 母を亡くした幼い兄弟が、ある日突然大金を手にする。お金はどこからやっ
てきたのか? 一体どうやって使えばいいのか。経済観念に賢い兄アンソニ
と、信心深い弟ダミアンの、対照的な兄弟を描くファンタジー。(恐らく)低予
算ながら、心温まる素敵な佳作。監督はダニー・ボイル

 スラムドック$ミリオネアオスカーを獲得したこの英国人監督が、私は
今までさほど好きではなかった。何故なら、十数年前に観た『トレインスポッ
ティング』
があまりにも強烈過ぎたから。ポップで、エッジーで、クールでスタ
イリッシュな新感覚ムービーだと絶賛されていたあの映画、私にはなんと、
ほぼ「トラウマ映画」だったのだ。

トレインスポッティング

 多くを語りたくはないが、あの「スコットランドで最悪のトイレ」の汚さと言った
ら・・・。吐き気がした。『ミリオンズ』に続いて、久しぶりに再見してみたのだが、
やはりあのトイレは見るに耐えなかった。疾走感映像の面白さなど、ダニー
・ボイルの原点
とも言うべき作品であることは間違いないと思う。しかし他にも
散々際どいシーンがあるにも関わらず、自分があのトイレしか記憶になかった
ことに、余程衝撃的だったのだと改めて驚く。ピーター・ミュランも出ているし、
ロバート・カーライルなんて凶暴過ぎる破滅型キャラで切れまくっているのに、
全く覚えていなかったのだから・・・。(実は『スラムドック』でもトイレネタがあっ
て、ちょっと引いてしまったのを思い出した)

 しかし、この『ミリオンズ』素晴らしいですよ。なんと言っても、聖人オタク
のダミアンがかわい過ぎる!! 演じるアレックス・エテルくん、これが本当に
演技?と思わせるほどイタイケなのだ。聖人がたくさん出てきて、宗教色も濃
いのだけれど、美しい色使いの映像と変わらぬ疾走感で、説教臭さはない。
引っ越しのとかテレビのとか、守護聖人っていろいろいるんだな、っていうのも
面白かったし。英国映画は父と子、っていう関係がよく似合うな、とほのぼの
するし。ダミアンが聖モーリーンと出会うシーンでは、もう、涙、涙・・・(ダミアン
もママも泣いていないのに)。ダニー・ボイルをすっかり見直してしまった。オス
スメ


ミリオンズ2

 ( 『ミリオンズ』 監督:ダニー・ボイル/主演:アレックス・エテル/2004・UK)

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【2010/03/26 15:17】 | DVD | トラックバック(6) | コメント(8)
シネマ・イタリアーノ~『NINE』
NINE.jpg


  NINE


 1965年、ローマ。チネチッタ撮影所では、マエストロと呼ばれる映画監督グイ
ド(ダニエル・デイ=ルイス)
が、新作映画『ITARIA』の撮影に入ろうとしていた。

 フェデリコ・フェリーニ『8 1/2』にオマージュを捧げた、ブロードウェイミュ
ージカルの映画化
。アカデミー賞受賞者が居並ぶ豪華な出演陣に惹かれ、ず
っと前から楽しみにしていた作品。監督は『シカゴ』ロブ・マーシャル。脚本に
故アンソニー・ミンゲラが参加しており、これが遺作となる。エンドロールで
は彼への献辞がクレジットされていた。

NINE2

 様々な意見があるとは思うが、個人的には大満足英、米、豪、仏、西、伊
ら集結した、綺羅星のごときスターたち。彼らが唄い、踊る様を一つのスクリー
ンで眺められるなんて、なんとも眼福ではございませんか! 確かに、ストーリ
ーは取り立ててどうこう議論するようなものではない。グイドはどうしようもない
嘘つきで浮気者なマザコン男だし、そんな彼に惹かれる女たちも、誰一人幸せ
そうじゃない。美しく、才長けてはいても、誰も本当の「愛」と出逢うことはない。

 しかし、エンタメ業界に生きる人間にとって、そんなことは当たり前。役をつ
かむ為なら何者にだってなるだろうし、誰とだって寝るだろう。だからこそグイ
ドのような男が許され、認められている
のだから。

NINE3

 女優たちは、皆それぞれに光り輝いている。「女優」を演じたニコール・キッド
マン
が、一番印象が薄かったかな。ケイト・ハドソンも意外な美声と踊りを披露
してくれたし、オーバー70の大御所、ジュディ・デンチ&ソフィア・ローレン(な
んと同い年!)の貫禄ときたら! 個人的にはグイドのを演じるマリオン・コ
ティヤール
が一番好きだけれど、「ラテンのバンビちゃん」こと最強ペネロペ・
クルス
がグイドの愛人では、さすがの彼女も霞んでしまったかな。

 そんな女たちの毒気に当てられながらも、「マエストロ」ダニエル・デイ=ルイ
やさ男演技はさすが。女はみんな、彼を愛さずにはいられない。撮影開始
の10日前になっても、脚本が一行も書けてない、なんて、王家衛ウォン・カーウァ
イが身につまされそうな話
(笑)。映画の舞台はイタリアなのに、登場人物たちの
会話は英語、そして電話だけは「プロント?」なのが変な感じ。しかし、何も文句
は言うまい。一流の音楽踊り、そして美しい女たちと愛しい男。それ以上、
何を望む?

 ( 『NINE』 監督・製作・振付:ロブ・マーシャル/2009・米、伊/
         主演:ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、
             ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、ケイト・ハドソン、
              ニコール・キッドマン、ファーギー、ソフィア・ローレン

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【2010/03/24 10:20】 | 映画 | トラックバック(52) | コメント(6)
田舎でラブコメ~『噂のモーガン夫妻』
噂のモーガン夫妻



 DID YOU HEAR ABOUT THE MORGANS?


 不動産王メリル(サラ・ジェシカ・パーカー)敏腕弁護士ポール(ヒュー・グラ
ント)
のモーガン夫妻は、ニューヨークの超セレブカップル。しかし二人は、ポー
ルの浮気が原因で別居中。久々のディナーの夜、殺人事件を目撃した二人は、
証人保護プログラムによってワイオミングの片田舎に送られることに・・・。

 ラブコメの帝王、元祖「ヒュー様」ヒュー・グラントと、ニューヨークのファッショ
ンアイコン、サラ・ジェシカ・パーカー
がコンビを組んだラブコメディ。これ、思い
っ切りB級映画ですが、そう割り切って観れば面白い、かも? 監督・脚本は、
前作ラブソングができるまでに続いてヒュー様と組んだマーク・ローレンス
ちなみに、彼も生粋のニューヨーカーです。

噂のモーガン夫妻2

 世界一NYが似合う、今やNYの顔と言ってもいいくらいのサラ・ジェシカ・パー
カーと、皮肉屋英国紳士ヒュー・グラント。ケミストリーも何も、全く似合わない
夫婦ですね(笑)。この二人が、カウボーイとロデオの街、ワイオミングの片田舎
に居る、って図だけで物凄いミスマッチ。あまりにも作り物めいて、それだけで笑
えます。ヒュー・グラント、老けたよね。。それでもラブコメ・キングの冠はまだま
だ下ろす気は無さそうで。徹底したコミカル演技はむしろ好感が持てます(ファン
の欲目?)。

 そして私がうれしかったのは、ブロークバック・マウンテンで描かれた中西部
ワイオミング
が、この映画の中にあったこと! カウボーイ・ハット、ライフル銃、
ロデオ大会にカントリー・ミュージック
。メリルとポールを匿ったクレイ夫妻(サム
・エリオット&メアリー・スティーンバージェン)
が、イニスみたいに訛った英語
しゃべっていたのも面白かった。ニューヨークやロスだけがアメリカじゃない。
主党支持者が白い目で見られる場所
だってたくさんある。誇張はあるだろうけれ
ど、ここに描かれているのが今なお「真のアメリカ」だと言えなくもないと思う。

噂のモーガン夫妻3

 メリルとポールのすれ違いの理由は「いかにも」だけれど、夫婦で居続けるために、
二人が見つけた解決法には驚きの一言。日本社会では(多分)考えられない選択を
したメリルとポール。末長くお幸せに

 ( 『噂のモーガン夫妻』 監督・脚本:マーク・ローレンス
            主演:ヒュー・グラント、サラ・ジェシカ・パーカー/2009・USA)

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【2010/03/23 20:15】 | 映画 | トラックバック(32) | コメント(4)
戦争中毒~『ハート・ロッカー』
ハート・ロッカー



 THE HURT LOCKER


 2004年夏、イラク。バクダッドに駐留する米軍爆弾処理を担当するブラボー
中隊に、新しい班長が赴任する。

 アカデミー作品賞、監督賞をはじめ、6冠に輝いた戦争映画危険な任務
身を投じ、精神的にも肉体的にも苛まれてゆく兵士たち極限状況に置かれた、
彼らの熱い38日間が描かれる。緊迫感に溢れた映像が圧巻だが、一方で非常
地味な映画、という印象もある。大スターは登場せず、有名どころではガイ・
ピアーズ、デイヴィッド・モース、レイフ・ファインズ
の三人が僅かな出演時間な
がら顔を見せてくれるのみ。この作品がアカデミー賞を受賞してしまう国、アメ
リカ
にとって、イラク戦争というのは本当に大きな、現在進行形の「痛み」なのだ
と改めて感じさせられる。

ハート・ロッカー2

 命知らずの班長ジェームズ(ジェイミー・レナー)のキャラクターがいい。彼の
人物造形だけでも、アカデミー脚本賞の価値はあるのかも。演じたジェイミー・
レナー
も、主演男優賞にノミネートされた。危険に魅入られ、身一つで現場に入
り、勝手にヘッドセットを外し、無線を切ってしまうような男。自己中極まりない、
仲間にすれば迷惑この上ない人物ではあるが、彼には子ども好きなやさしい
一面もある。駐屯地で見かけたDVD売りの少年のために、爆弾を前に冷静さ
を失ってしまうジェームズ。彼は故郷に残した息子と、少年をダブらせていたの
だろうか? 「死にたくない、まだ子どももいないのに。息子が欲しい」と言って
泣くサンボーン(アンソニー・マッキー)。男にとって、息子とは自分の分身、と
いう感覚なのだろうか。

 酔った勢いでの「馬乗り」シーンや、女性がほとんど出てこないところは、女性
監督
ならではの視点かもしれない。よくある映画なら、ジェームズと故郷の妻
のエピソードが語られたり、彼らの間にある「感情」が示唆されたりして、観てい
るこちらが白けてしまうだろう。しかし本作はあくまでも女性性を排し、戦場にお
ける男のリアルな心理を描き切った。この潔さ、何ともカッコいい。

ハート・ロッカー3

 目に映るもの全てが刺激的だった赤ん坊も、成長するにつれてこの世界に慣
れ、輝きを見失ってしまう。戦場に生きるジェームズには、命を危険に晒すこと
それだけが唯一感じることのできる「刺激」なのだ。たった一日、現場に赴いたそ
の日に、爆破事故に遭う軍医がいる。16日の任期を残し、大腿骨を砕いて帰還
する技術兵がいる。束の間の帰還、そこにある「安らぎ」よりも、戦場にしかない
「麻薬」
を追い求める兵士がいる。戦争のない世界--そこに俺の生きる場所は
ない
、とでも言いたげに。

 (『ハート・ロッカー』 監督・製作:キャスリン・ビグロー/2008・USA/
    主演:ジェレミー・レナー、アンソニー・マッキー、ブライアン・ジェラティ

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【2010/03/19 18:11】 | 映画 | トラックバック(76) | コメント(10)
武闘派名探偵~『シャーロック・ホームズ』
シャーロック・ホームズ



 SHERLOCK HOLMES


 19世紀末ロンドン、ベイカー・ストリート。若い女性をターゲットにした、連続
殺人事件
の犯人をつきとめた私立探偵シャーロック・ホームズ(ロバート・ダウニ
ー・Jr)
。しかし彼は、相棒医師ワトソン(ジュード・ロウ)婚約が面白くない。

 アーサー・コナン・ドイル卿が生み出した、世界一有名な私立探偵、シャーロ
ック・ホームズ。彼を頭脳明晰なだけでなく、拳闘賭博で大男をぶちのめすよう
タフガイとして描いた、アクション・サスペンス満載の意欲作。RDJ、ジュード
・ロウという絵になる男前2ショットが最高。監督はガイ・リッチー。スローモー
ションやコマ送りなど、映像に遊び心満載なのはさすが。ゴールデングローブ
主演男優賞を受賞したお茶目なRDJは、改めて完全復活を印象づけている。

シャーロック・ホームズ2

 連続殺人犯は実は生きていて、怪しげな黒魔術を操り、政治をも牛耳る秘密
結社
を率いていた、、と、なんだかダ・ヴィンチ・コード謎解きを観ているよう
で、スピーディなストーリー展開は付いていくのに必死。しかし、終盤で種明か
はなされるので、観終わって不完全燃焼感はない。そして何と言っても、ホー
ムズとワトソンの「微妙な関係」が一番の見どころ。この二人の間に流れる空気、
明確な意図
があって演出されていると思うのだけれど、「滲み出」具合が半端じ
ゃない!
 そのおかげで、ホームズが「唯一」愛した女、アイリーン(レイチェル・
マクアダムス)
や、ワトソンの婚約者メアリー(ケリー・ライリー)の影の薄いこ
と、魅力に乏しいことといったら! かわいくて大好きで、いつもなら大絶賛な
私のレイチェルなのに。

 ガイ・リッチーの映画は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』
『スナッチ』しか観ていないけれど、「頭の中がグラフィック・ノベル」な人なんだ
な、という印象。本作でも、そのスピード感やハチャメチャ具合は健在。舞台は
ロンドン、監督も英国人だけど、これアメリカ映画なんですね。妙に納得。

シャーロック・ホームズ3

 テムズ川に架かる、首を吊った男の図は既視感あり。最近何を観ても悪役専
マーク・ストロング、ブラックウッド卿は最期を迎えたのか? そして「教授」
モリアーティ
の正体は? 明らかに続編を予感させる幕切れがうれしい。トニー
・スターク
とシャーロック・ホームズ、二つの当たり役を同時進行でゲットした
RDJ、時代は「ロバダウ」ですか♪ 早く続編が観たい。

 (『シャーロック・ホームズ』 監督:ガイ・リッチー/2009・米、独/
   主演:ロバート・ダウニー・Jr、ジュード・ロウ、レイチェル・マクアダムス

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【2010/03/15 20:36】 | 映画 | トラックバック(64) | コメント(18)
ザ・映画評論~『映画は遊んでくれる』
映画は遊んでくれる

 週刊文春『シネマチャート』でもお馴染み、芝山幹郎氏の映画評論集。見て
下さいよ、このヴィゴ兄貴の渋過ぎるカバー・・・。そして裏表紙は『デスプルーフ
 in グラインドハウス』
のカッコイイ女子たち。この写真は先日紹介した見とれ
ていたい わたしのアイドルたち
でも使われていた。なんとも「ソソる」作りでは
ないですか。

 1本の映画について語りながら、その映画の前後左右にある、様々な映画が
同時に立ち上がってくるような文体にうなってしまう。長年映画を愛し、観(守り)
続けてきた人だけが書き得る文章
に、背筋が伸びる。巨匠や気鋭の手がけた
名作、秀作の類だけでなく、ラブコメB級の香りがする作品にも目を配り、き
ちんと褒める。「映画はやはり私の糧なのだ」。同感。「見つづけ、書きつづける
ことで、私は世界につながっている」
。同感。

 59歳の若さで亡くなった台湾の名匠、エドワード・ヤン追悼する「さらばエド
ワード・ヤン」
。この文章だけでも、全ての映画好きに読んでいただきたいと思う。
ヤンの死を悼み、その手腕を称えながら、伝説となってしまった彼の代表作が、
観客から奪われている現状を憂えている。熱き映画人の、心からの叫びを感じ
て欲しい。

 ( 『映画は遊んでくれる』 芝山幹郎・著/清流出版・2009)

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【2010/03/13 16:17】 | 読書 | トラックバック(0) | コメント(2)
アメリカン・ドリーム~『しあわせの隠れ場所』
しあわせの隠れ場所



 THE BLIND SIDE


 テネシー州メンフィス裕福白人女性リー・アン(サンドラ・ブロック)は、あ
る寒い夜、薄着で街を彷徨う大柄な黒人少年マイケル(クィントン・アーロン)
と出逢う。

 サンドラ・ブロックにアカデミー主演女優賞をもたらした、実話に基づいた感動
作。人種偏見の根強いアメリカ南部で、やさしい夫とかわいい子どもたちに囲ま
れ、何不自由ない生活を送る女性が、ホームレスの黒人少年を保護する。一夜
限りの「善意」でしかなかったはずのその行為が、彼女と少年の全てを変えてゆ
く。原題の「ブラインド・サイド」とは、アメリカンフットボールにおけるQBの死角
こと。マイケルは、QBを守るレフト・タックルというポジションで才能を開花させた。
しかし、この珍妙な邦題は一体・・・。謎

しあわせの隠れ場所2

 こういう映画を観ると、アメリカってやっぱり懐の深い国だなぁと思う。リー・
アンが暮らすメンフィスは、バイブルベルトと呼ばれる南部の信仰深い街。
キリスト教の「隣人愛」の精神も、捨てたものではないと思わせる。ホームレス
の黒人少年を家族として迎え入れるなんて、彼女はどれほどリベラルな精神
の持ち主なんだろう、と思いきや。実は、リー・アンはアメリカライフル協会
会員で、バリバリの共和党支持者、というのも面白い(そんな彼女も、ブッシュ
には好感していないようだったけれど)。マイケルの家庭教師スー夫人(キャシ
ー・ベイツ)
の打ち明けたい「秘密」民主党支持、っていうのにも笑えた。

 サンドラの演技がオスカーに値するかどうかはわからないけれど、全米で2億
ドルを超える大ヒットを記録した本作は、十分評価するに値するのだろう。感極
まりながら、「子どもたちを育てる母親に」オスカーを捧げたサンドラ。ありがと
う、その気持ちしっかり受け取りましたよ。

 「あなたが彼の人生を変えたのね」 「変わったのは私の方よ」。見ず知らず
の、身元も係累もわからない少年の、だけを信じて受け入れるリー・アン。私
も、あんな風に生きられたらな、と思う。まさにアメリカン・ドリームを体現してい
るマイケルの、最後のドラフト指名シーンは感動モノ。「実物」のスチールが次々
と映し出されるエンドロールの作り方が、同じくスポーツ関係の実話インビクタ
ス/負けざる者たち
に似ていた。

しあわせの隠れ場所3

 本作には、「気はやさしくて力持ち」マイケルの象徴として、『はなのすきな
うし』
という絵本が登場する。知らない絵本なので、読んでみたいと思いました。

 ( 『しあわせの隠れ場所』 監督:ジョン・リー・ハンコック/2009・USA/
        主演:サンドラ・ブロック、ティム・マッグロウ、クィントン・アーロン

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【2010/03/12 19:34】 | 映画 | トラックバック(43) | コメント(8)
乳歯と永久歯のあいだ~『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』
かのこちゃんとマドレーヌ夫人

 かのこちゃんは、小学一年生の女の子マドレーヌ夫人は、外国語=犬の言葉
を話すアカトラの。夏祭りが終わるまでの、出会いと別れの物語。

 大好きな作家のひとり、万城目学さんの新作は新書。しかも、「ちくまプリマー」
京都、奈良、大阪ときて、次は神戸か? と期待していた舞台は明らかにされず、
なんとなく繋がり合っていた前三作とは全く別の物語なのかな、と思いきや。。
ご安心下さい、ちゃんと繋がっていました。そのヒントは、、タイトルにあり! 
クエアなのに奇想天外
な、そして時空間の造形具合が抜群「万城目ワールド」、
健在なり


 小学一年生の女の子の気持ち・・・。かつては自分も間違いなくそうだったのに、
ほとんど思い出せない。ただ、私は自分の「知恵が啓かれた」のは小学五年生だ
ったと自覚しているので、この小一のかのこちゃんは随分大人びているな、しっか
りしてるな、という印象。ただ、歯が生え換わる時期の、なんとも言えない不安定
で落ち着かない気分はよく覚えている。

 マドレーヌ夫人と犬の玄三郎「夫婦」の愛情も素敵だし、かのこちゃんの両親の
佇まい
もなんとも言えず上品。そう、万城目さんの文章には、があると思うので
す。そこはかとなく「昭和」の匂いがすると言うか・・・。次回作も楽しみ。

 ( 『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』 万城目学・著/ちくまプリマー新書・2010)

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【2010/03/11 21:55】 | 読書 | トラックバック(3) | コメント(6)
凍河を渡る~『フローズン・リバー』
フローズン・リバー



 FROZEN RIVER


 カナダ国境近く、ニューヨーク州最北端の町先住民モホーク族の保留地に接
する厳寒の地に暮らすレイ(メリッサ・レオ)は、ギャンブル狂の新居の手付
を持ち逃げされてしまう。

 サンダンス映画祭で「あの」タランティーノが大絶賛、グランプリに輝いたインデ
ィペンデント映画
。凍てつく大地、そこに吹き付ける荒涼とした風の音で幕を開け
るこの力強い映画は、厳しい環境下で生きる二人のシングルマザーの生き様
描き、最後の最後まで観る者に緊張を強いる。まさにハードボイルド・ウィンター
ランド
。監督も無名、大スターも出演しないこの地味な映画が、劇場公開された
こと自体が奇跡のようにも思える。しかし、大きなスクリーンで観る価値があるの
は間違いない秀作。主演のメリッサ・レオアカデミー主演女優賞にノミネート
れた。単館上映ながら、年配の方を中心に、劇場が大勢の人々で賑わっていた
のがうれしい。

フローズン・リバー2

 失踪した夫は、子ども好きなやさしい男だったのだろう。留守番電話の応答メ
ッセージを、何度も何度も吹き込むレイの姿に女心が垣間見える。しかし、貧困
に喘ぐレイ一家の描写は生々しく、痛々しい。育ち盛りの息子たちに与える食事
ポップコーン、テレビはレンタル。その料金さえ滞納し、家計を支える仕事は
1ドルショップのパートタイム

 それでも、彼女に泣いている暇はないのだった。息子たちはお腹を空かし、水
道管は凍りつき、支払期限はとうに過ぎている。

 肌はカサつき、髪に艶はなく、眉間に深い皺が刻まれたレイ。多感な思春期の
長男TJと、(恐らく)高齢出産だったのだろう、幼い次男リッキー。彼らを育てる
ために、レイはどれほどの犠牲を払い、プライドを捨てて生きてきたことか。ヒリ
つくような貧困の苦しみが、彼女から若さを奪った。弱く身勝手な夫は去り、息子
たちは父を求める。それでも母は強く、前だけを見て生き抜くしかない。何があっ
ても。どんなことをしても。アジアからの不法移民「運び屋」モホーク族のライ
ラ(ミスティ・アッパム)
との出逢いが、レイの運命を狂わせてゆく。

フローズン・リバー3

 レイとライラが何度も往復した、凍った川。まさに「一線」を越えたレイは、しか
し最後の最後でその川を渡らない選択をする。大金の為なら越えられた川を、
彼女は友情の為に引き返す。コミュニティからはぐれた、二人の母。社会的弱者
である彼女たちの未来が、そう明るいものだとは到底思えない。それでも彼女た
ちには、「子ども」という希望がある。劇中、レイが唯一笑顔を見せるのは、次男
リッキーと他愛無い会話を交わすとき。5歳児の無邪気な愛らしさが、レイと、こ
映画自体を救う「たまもの」であることに、疑いの余地はないだろう。

 (『フローズン・リバー』 監督・脚本:コートニー・ハント
           主演:メリッサ・レオ、ミスティ・アッパム/2008・USA)

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【2010/03/10 18:16】 | 映画 | トラックバック(28) | コメント(4)
ガールズ・ブラボー!~『見とれていたい わたしのアイドルたち』
見とれていたい

 作家の柴崎友香が、自身の「アイドル」美しくかわいい「女の子」たちについ
て、縦横無尽に綴ったエッセイ。初出は雑誌『ウフ.』の連載。

 柴崎友香さんの本は初めて読んだけれど、「この人とは気が合う!」と思いな
がらページをめくっていた。島村麻里さん亡き後、こういう「ミーハー度全開」
文章を書いてくれる女性の登場を、ずっと待っていたんです。ちょっと温度は低
だけれど、素敵な女の子たち、女優、タレント、ミュージシャンへのまっすぐな
賛歌
が心地よい。

 登場する女性たちに、彼女が付けたキャッチが素晴らしい。例えば、、ケイト・
ブランシェット=「女王の国の魔女」、ドリュー・バリモア=「過去を更新するイノ
センス」、カトリーヌ・ドヌーヴ=「フランス文化の美神」
、等々。彼女たちを褒め
たたえる文章
も、うんうん、と頷けるものばかり。私は最近、ドヌーヴの大河メロ
ドラマ大作『インドシナ』を観たのだけれど、まぁ~ドヌーヴ様の神々しいまでの
美しさよ・・・。まさに「美神」。そして我らが日本代表は、表紙にも登場する松坂
慶子
エデリ、最高

 登場する美女はほとんどが映画女優ゆえ、著者の観ている映画の本数も半
端ではない。しかし、決して映画通ぶらず、あくまでミーハー目線を貫いた美女
礼賛ぶり
は天晴れです。以下、登場する美女たち。是非ご一読あれ♪

 スカーレット・ヨハンソン
 ジュリー・デルピー&ジュリエット・ビノシュ
 エマニュエル・べアール
 ケイト・ブランシェット
 インリン・オブ・ジョイトイ
 ニコール・キッドマン
 クリスティーナ・リッチ
 カイリー・ミノーグ
 マギー・チャン&チャン・ツィイー
 ペネロペ・クルス
 安室奈美恵
 松坂慶子
 ヴァネッサ・パラディ
 キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
 ナタリー・ポートマン
 ドリュー・バリモア
 ヘレン・ミレン&ジュディ・デンチ
 カトリーヌ・ドヌーヴ
 マドンナ


( 『見とれていたい わたしのアイドルたち』 柴崎友香・著/マガジンハウス・2009)

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【2010/03/09 00:00】 | 読書 | トラックバック(0) | コメント(2)
紐育恋物語~『ニューヨーク、アイラブユー』
ニューヨーク、アイラブユー



 NEW YORK, I LOVE YOU


 パリ、ジュテームに続く、世界の大都市を主人公に描くオムニバス、第二弾
今回の舞台は夢の街ニューヨーク! ファティ・アキン、チアン・ウェンらの名匠
の他、初メガホンのナタリー・ポートマンや、日本からは岩井俊二が参加している。

 パリ18区それぞれを18人の監督が描き分けたパリ編に比べ、本作は地区もエ
ピソードも重なり合い、群像劇のような出来栄え。全体の印象も地味目で、夢の
街、エンターテインメントの最先端都市、というNYのイメージからは遠い感じ。
しかし、豪華キャストNYの街並は堪能できる作品。個人的には、可もなく不可
もなく、という感じかな? NYへの渡航経験や、思い入れ度で評価も変わってき
そう。ちなみに私は、NYへは行ったことがない。でも、いつか必ず、訪れてみた
い街
ではある。

ニューヨーク、アイラブユー2

 映画冒頭、登場するのはヘイデン・クリステンセン。いつもながらの完璧な美
しさ!
 映画音楽の作曲家役のオーランド・ブルームの部屋では、大型TVで
『ゲド戦記』が流れている。岩井俊二のこのパートが短かく、他のパートと繋が
りがなかったのが残念! クリスティーナ・リッチも、一瞬しか出てこないし・・・。
ブラッドリー・クーパーマギー・Q、ジュディ・クリスティも素敵だったけれど、
一番心ときめいたのはプロムに参加する若者、アントン・イェルチンくん!
この子、超好きな顔だわ、何かで観たはずよ・・・、と思っていたらT4だった。
若き日のカイル・リース。チャイナタウンで、スー・チーがスッピンで登場したの
にはビックリ! そして、イーライ・ウォラックさんがお元気そうで・・・。うれしか
ったな。

 ちなみにこの映画、2008年のトロント映画祭で初上映された際には、公開版
にはない、二人の監督が撮ったあと二つのエピソードが存在したらしい。一つ
はロシア人監督のもの、そしてもう一つはスカーレット・ヨハンソンが監督したと
いうモノクロ作品。敢え無くカットされたらしいけれど、スカ嬢の初監督作、観て
みたいような、そっとしておきたいような・・・。

 エンディングでは、故アンソニー・ミンゲラへ献辞が捧げられる。そして次なる
バージョンは「上海」編。もうプロジェクトは始動しているのだろうな、また行った
ことがない都市だけど、今から楽しみ。そして映画は世界を巡る・・・。

ニューヨーク、アイラブユー3

 ( 『ニューヨーク、アイラブユー』 2009・仏、米)

テーマ:個人的な映画の感想 - ジャンル:映画

【2010/03/05 20:35】 | 映画 | トラックバック(27) | コメント(10)
マクリーンの川~『リバー・ランズ・スルー・イット』
リバー・ランズ・スルー・イット



 A RIVER RUNS THROUGH IT


 20世紀初頭モンタナ州の田舎町で、敬虔で厳格な牧師の家庭に育った二人
の兄弟、ノーマン(クレイグ・シェイファー)ポール(ブラッド・ピット)。父から伝授
されたフライ・フィッシングが、対照的な性格の彼らを結びつける。

 1992年製作、ロバート・レッドフォード監督のマスターピースにして、アカデ
ミー撮影賞受賞作
。比類なき映像美、川のように静かに、厳かに語られるスト
ーリー
。そして何より、若き日のブラッド・ピットの、まばゆいばかりの美しさ!! 
120分間に凝縮された、長い長い「マクリーンの人生」。釣り糸に疑似餌をつけ
る老人の手にカメラが再びフォーカスしたとき、私は嗚咽していた。

 長い間未見で、気になっていたこの作品を改めて観てみたいと思ったきっかけ
は、(500)日のサマー。主人公を演じるジョセフ・ゴードン=レヴィットに魅せ
られ、彼のデビュー作が本作であると知った。面影どころかほとんどそのまんま
な幼い彼の演技を微笑ましく見つめながら、私はこの物語のになった。

 劣等感と優越感、疎外感と一体感。兄弟の確執と絆を、モンタナの雄大な自然
が包み込む。詩を愛し、物静かで控えめな兄と、やんちゃで無鉄砲な美しい弟
この水と油のような兄弟を分かち難く結びつけるのは、故郷の川フライ・フィッ
シング
。弟の言動に危うさを感じながらも、なすすべもなく見守る兄。美しく社交
で、どんな場所でも一瞬にして人の心を掴んでしまう弟を愛する両親。結局の
ところ、兄は弟を「アンタッチャブル」だと理解し、その生と死を静かに受け止める。

 兄の視点で語られる田舎町の家族の物語は、平凡で退屈でもある。20年近く
前、公開当時にこの映画を観ていたら、私はきっと「面白くない映画」だと感じて
いただろう。はしかのような「ブラピ熱」は出していたとしても・・・。
 今リビングで一人、テレビ画面を見つめながら、この神々しいまでに美しい映画
を、大きな大きなスクリーンで観たかった、と思う。切なくなるほど、そう思う。
しかし同時に、本当に素晴らしい映画に画面の大きさなんか関係ないんだ、と感
じる自分もいた。

 エンドロールでは改めて「introducing Joseph Gordon-Levitt」とクレジッ
トされる。ブラッド・ピットの名声と、レッドフォードの手腕を確たるものにしたこの
作品。永遠に語り継がれるであろう名作でデビューしたJGLの、これからが楽し
みだ。

リバー・ランズ・スルー・イット2

 (『リバー・ランズ・スルー・イット』 1992・USA/
       監督・製作・ナレーション:ロバート・レッドフォード
               主演:クレイグ・シェイファー、ブラッド・ピット

テーマ:色あせない名作 - ジャンル:映画

【2010/03/03 19:21】 | DVD | トラックバック(1) | コメント(6)
料理とは祈りそのもの~『食堂かたつむり』
食堂かたつむり

 原作の感想はこちら⇒『食堂かたつむり

 恋人に裏切られ、全財産と声を失った倫子(柴咲コウ)は、10年ぶりに故郷の
へ帰る。母のルリコ(余貴美子)は、水商売を続けながら豚のエルメスと暮ら
していた。

 料理を作り、人に供することで再生してゆく。彼女が自分の「声」を取り戻す
までを、奔放な母との確執と和解を絡めて描いたドラマ。女性監督の描き出す、
ポップな色彩ファンタジックな物語。

 原作を読んで、映画がとても気になっていた。主人公=柴咲コウ、母=余貴美
という納得のキャスティングながら、あの「衝撃」シーンをどう映像化しているの
か、怖々の鑑賞。意外にもほぼ原作に忠実に作られてはいるが、やはり「解体」
場面
が具体的に語られることはなし。当然ですが。

食堂かたつむり2

  「あんたってホントに馬鹿なんだから・・・」 愛情表現が下手で、照れ隠しに
いつも憎まれ口を利く母、ルリコ。倫子の名前の由来など、子に対する配慮
無さすぎる彼女に少々呆れながらも、最後の手紙には泣かされてしまった。

 黄色をベースカラーにした色彩豊かな映像は「美しい」とは言い切れない不自
然さ
。そしてその黄色は料理を引き立てる色ではないのだろう、多分。倫子が心
を込めて作る料理の数々は、残念ながらさほどおいしそうには見えない(特にジュ
テーム・スープ)。
 倫子の中学時代の同級生(満島ひかり)が仕掛けた悪意も、その同級生がル
リコの結婚披露宴に出席しているのも納得行かないけれど、この映画はそんな
ことに目くじらを立てるべき作品ではないのだろう。あくまでも「ファンタジー」と割
り切って、絶望の淵から再生してゆく一人の女性の姿を見守ればいいだけなの
かもしれない。

食堂かたつむり3

 主演の柴咲コウは、19歳のときに実の母親を亡くしているらしい。鏡に映る
自分に、母親の面影を見るようになったと語っていた。このままずっと作品に
恵まれ、余さんのような味のあるベテラン女優に成長して欲しい、と思う。

 倫子が料理を始めるとき、食材を前に目を閉じ、祈るように佇む姿が印象的
だった。私も、もっともっと心を込めて、もっともっと丁寧に料理をしよう。誰か
の願い
を叶えられるような、おいしいごはんを作ろう。

 (『食堂かたつむり』 監督:冨永まい/主演:柴咲コウ、余貴美子/2010・日本)

テーマ:日本映画 - ジャンル:映画

【2010/03/01 00:00】 | 映画 | トラックバック(28) | コメント(4)
真紅のthinkingdays


いつまでも青臭い映画好きでいたい。愛おしい映画と、忘れがたき本たち。ときどきカフェとか。 記事は基本的にネタバレあり。 どうぞご贔屓に♪

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