ご挨拶 ~ よいお年をお迎え下さい ~

いよいよ2009年も残りわずか・・・。大掃除、年賀状書き、仕事納めと皆様お忙
しいことと思います。今年はどんな一年でしたか?
私はこの10年で一番変化のあった一年でした。環境が変わり、多忙で心身共
に疲れはしましたが、その分充実した一年だったと思います。ちょっとだけ、本当
の自分を取り戻せたかな? と思えた一年でもありました。
ゆく年は丑年ですが、新年早々に↑「牛」のドキュメンタリーを観たいな~、な
んて考えています。
時間があれば映画を観に行ってしまう癖(?)は変わりませんが、その分自宅で
ゆっくりDVD鑑賞、という時間が激減してしまったのが残念です。また、DVDで観
た映画の感想は、ほとんどアップできないままでした。
観たい映画を全て劇場鑑賞できるわけでもなく、来年はもっとたくさん旧作DVD
も観たいな、、と考えています。さて、どうなりますか。
年末年始は大寒波がやってくるとか? 皆様、ご自愛下さいね♪
ではまた新年に。
真紅拝
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ご挨拶 ~ メリー・クリスマス、そして・・・~
皆様、こんにちは。心温かいクリスマスをお過ごしのことと思います。
『アバター』、早く観たい、絶対3D字幕版で観たい!と思い過ぎていて、クリスマス
のことをすっかり忘れ切っていました。メリー・クリスマス♪

そして、もう一つ忘れていた(思い出した)のですが、いつの間にか当ブログも
開設後丸4年を過ぎていました。。4年か~、結構、長いですね。でも、あっと言う
間だったなぁ。
先日もちょっと書いたのですが、このブログは私の精神安定剤的な場所になっ
ているようです。できれば、5年、10年、ずっと続けていけたらいいな~、と。
もちろん、休み、休み、マイペースでね。
しかし、、長年(?)ブログを続けていると、楽しい反面悲しいこともあります。
この一年間だけでも、お付き合いのあったブログが閉鎖されたり、休止状態だっ
たり。人それぞれ、様々な事情がありますので仕方ないことだとわかってはいて
も、やはり寂しいですね。。またお話できる日が来ますように。
もちろん、新たに出逢ったブロガーさんもいらっしゃいます。末永くお付き合い
いただけるとうれしいです。今後ともよろしくお願いいたします♪
ところで『アバター』、初日に観ました。感想は後ほど、というか、来年?!(爆)
是非もう一度観たいです、今度は2Dで。
年賀状書きと掃除と片付けと買出し、プラス仕事が大晦日まで続きますので、
もう決まっている今年のベストは年明けかな。年内にもう一回くらい更新したい
と思ってはいますが。。さて、どうなりますか。
気忙しい年の瀬、皆さまご自愛下さいね♪
真紅拝
『アバター』、早く観たい、絶対3D字幕版で観たい!と思い過ぎていて、クリスマス
のことをすっかり忘れ切っていました。メリー・クリスマス♪

そして、もう一つ忘れていた(思い出した)のですが、いつの間にか当ブログも
開設後丸4年を過ぎていました。。4年か~、結構、長いですね。でも、あっと言う
間だったなぁ。
先日もちょっと書いたのですが、このブログは私の精神安定剤的な場所になっ
ているようです。できれば、5年、10年、ずっと続けていけたらいいな~、と。
もちろん、休み、休み、マイペースでね。
しかし、、長年(?)ブログを続けていると、楽しい反面悲しいこともあります。
この一年間だけでも、お付き合いのあったブログが閉鎖されたり、休止状態だっ
たり。人それぞれ、様々な事情がありますので仕方ないことだとわかってはいて
も、やはり寂しいですね。。またお話できる日が来ますように。
もちろん、新たに出逢ったブロガーさんもいらっしゃいます。末永くお付き合い
いただけるとうれしいです。今後ともよろしくお願いいたします♪
ところで『アバター』、初日に観ました。感想は後ほど、というか、来年?!(爆)
是非もう一度観たいです、今度は2Dで。
年賀状書きと掃除と片付けと買出し、プラス仕事が大晦日まで続きますので、
もう決まっている今年のベストは年明けかな。年内にもう一回くらい更新したい
と思ってはいますが。。さて、どうなりますか。
気忙しい年の瀬、皆さまご自愛下さいね♪
真紅拝
テーマ : ☆★メリークリスマス★☆
ジャンル : ブログ
人類の遺産~『ライヴ・イン・ブカレスト』

Live in Bucharest: The Dangerous Tour
マイケルの死後、多くの人が様々な立場から、様々な場所でコメントしている。
そんな中で、私が一番共感したのは「クィーン・オブ・ポップ」、マドンナの追悼
の言葉だった。彼女の9歳と4歳の子どもたちは今、マイケルに夢中だと。私の
10歳の息子もそうだから。
『THIS IS IT』 を観た直後、息子に尋ねた。 「どうやった?」
「うん、、、すごかった。マイケル死んでかわいそうやな。怒ってないよ、愛なん
だ、って言うてた」 「・・・うん、そうやね。マイケルってやさしいよな、ホンマに」
以来、学校から帰ると必ず「マイケルの曲聴こう」と言って、『KING OF POP』
をかける息子。DVDは『ライブ・イン・ブカレスト』のほかに、『ビデオ・グレイテスト
・ヒッツ ヒストリー 』と『ヒストリー・オン・フィルム VOLUMEⅡ』を買った。
それらを繰り返し観て、滅茶苦茶な英語で『マン・イン・ザ・ミラー』を歌い、
『スムーズ・クリミナル』や『ビート・イット』を踊る。ムーンウォークしながら
廊下を移動する。そんな息子の姿を見て大笑いしながら、なんとも言えない
気分になる。
マイケルはもうこの世にいない。それは悲しいことだけれど、彼の残した素晴
らしいパフォーマンスは確かに受け継がれている。世代を越え、偏見や悪意あ
る噂を打ち砕き、純粋な「芸術」だけが再発見されてゆく。
今は歌やダンスをコピーするだけかもしれない。しかし、いつか子どもたちは、
マイケルがその歌に込めたメッセージに気付くだろう。そして、よりよい明日と
美しい地球に思いを馳せるだろう。アメリカのポップの女王の子どもたちも、
極東の島国の片隅に住む子どもたちも。。マイケルの遺志が、きっと彼らに届
くと信じたい。
これ、親バカ記事になってしまったかな。でも、誰よりも世界中の子どもたち
を大切に思っていたマイケルだから、許してくれるよね?
テーマ : マイケル・ジャクソン
ジャンル : 音楽
ユリイカ?!~『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』

『ヘヴン』ですっかり川上未映子にやられてしまった私、YOUTUBEで『情熱
大陸』を探して観た。動いて、そしてしゃべっている川上未映子は、想像してい
た感じとはちょっと、いや、かなり違った。もっとこう、、シャープな雰囲気の女性
なのかな、と勝手に思っていたのだけれど。なんだかまぁるくて、フェミニンで、
(いい意味で)間の抜けたしゃべりをする、フェロモン全開なひとなのだった。
そして、結構もう標準語でしゃべってはった。
この本は、雑誌『ユリイカ』に彼女が持ち込んだという伝説のデビュー作をタイ
トルに冠した7編。爆発寸前の才能の萌芽は感じられるけれど、まだ物語の核心
があいまいで、つかみどころがない。いや、核心は確としてあるのだけれど、そ
の周囲をぐるぐる回っている感じ、とでも言おうか・・・。
しかし、彼女を『乳と卵』で芥川賞に導いた文藝春秋の編集者は偉いと思う。
川上未映子という未完で荒削りな「才能」から、「作品」を大衆に分かりやすい
形にして引き出すには、相当な忍耐と鍛錬が必要だったことだろう。
薄い本なんだけど、ちょっと読み通すのはしんどいかも。。個人的には、作家
の進化の過程を逆にたどるようで面白くもあったけれど。
次は『世界クッキー』だ! ヘヘヘ、もう入手済みです♪
(『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』 川上未映子・著/2008・青土社)
ボナペティ!~『ジュリー&ジュリア』

JULIE & JULIA
1949年、アメリカ人主婦ジュリア・チャイルド(メリル・ストリープ)は外交官
の夫ポール(スタンリー・トゥッチ)の転勤に伴い、パリに移住する。食べること
が大好きな彼女はフランス料理に恋し、ル・コルドン・ブルーで学ぶ。2002年
のニューヨークでは、作家を志しながら挫折したOLジュリー(エイミー・アダ
ムス)が、30歳を目前に「人生を変えたい」と考えていた。
料理が大好きな二人の女性の人生が、半世紀の時を超えて交錯する。挫折
を乗り越え、最愛のパートナーに見守られながら自分を信じて道を切り開いた
ジュリーとジュリア。二人の実話を基にした物語。こういう女性賛歌、人生賛歌
な映画は大好きです。ごちそうさまでした!
『ダウト』 (メリル・ストリープ、エイミー・アダムス)、『プラダを着た悪魔』
(メリル・ストリープ、スタンリー・トゥッチ)、『サンシャイン・クリーニング』 (エ
イミー・アダムス、メアリー・リン・ライスカブ)のお馴染みキャストが大集合。
メリルの夫役がスタンリー・トゥッチっていうのはちょっと笑ったけど、いろん
な意味で安心して観られる映画だったと思う。ブロガーの端くれとして、考え
させられる映画でもあったかな。監督はノーラ・エフロン。もちろん、脚本も。

ジュリア・チャイルドは、本国では「アメリカの食卓に一大革命をもたらした」
超有名人らしいけど、今回初めて知った。彼女を演じたメリル・ストリープは、
今年の賞レースでNY映画批評家協会賞の主演女優賞を受賞、ゴールデン・
グローブにもノミネートされている。相変わらず、誰もイチャモンがつけられな
いだろう「そっくりさん」ぶりなんだろうな。
365日で、ジュリアの料理本にある524の料理レシピを全て作ろうと奮闘す
るジュリー。彼女がブログを始めた当時は、まだブログの黎明期だったのかな?
本名でブログ開設したのにはビックリ。今だったら絶対、作った料理の写真を
アップするのに、文章だけの料理ブログっていうのも凄い。ファン(読者)から
料理素材が送られて来たりするのも、個人情報保護優先の現代では考えら
れないだろう。たった7年前の話なのに、なんだか隔世の感あり。ドッグイヤー。。
記事をアップしながら「一体誰が読んでいるの?」と思ったり、コメントがつく
とうれしかったり。ジュリーの心の揺れには、とっても共感できた。人間って、
結局誰もが、それぞれの価値観(好奇心)で自己表現したい生き物なんだな
~、って思う。そしてその「表現」を「ヒマつぶし」と思われるのはイヤなんだよ
ね。
私自身、ヒマつぶしのために映画観たり、本読んだり、ブログに文章書いて
るわけじゃない。そのために生きて、働いてるんだって思うことさえある。この
ブログは、私の、、、精神安定剤なんだ。

料理への愛はもちろんだけれど、夫婦愛の素晴らしさを描いた映画だった
とも思う。どちらかと言うと、そちらが主題かも。ジュリアの夫ポールも、ジュリ
ーの夫エリック(クリス・メッシーナ)も、彼女たちの最大の理解者であり、協
力者であり、援護者である。彼らなしでは、ジュリアとジュリーの成功は絶対
に有り得なかっただろう。最高で最良の、人生のパートナー。。そんな誰かを
見つけられるか、否かで、人生は半ば以上、決まってしまうのかも。
ポールとの散歩中にベビーカーを覗いたり、妹からの手紙に嗚咽するジュリ
ア。彼女の心の奥底にある哀しみの描き方が繊細で、妙に印象的だったのは
女性監督だからなのかな。レディースデイに鑑賞するのにピッタリの、素敵な
映画でした。
(『ジュリー&ジュリア』 監督・製作・脚本:ノーラ・エフロン/
主演:メリル・ストリープ、エイミー・アダムス/2009・USA)
男の世界~『パブリック・エネミーズ』

PUBLIC ENEMIES
1933年、大恐慌時代のアメリカ。中西部インディアナ州の刑務所に、仮釈放
中のジョン・デリンジャー(ジョニー・デップ)が連行される。仲間と共に脱獄した
デリンジャーは、銀行を襲い大金をせしめるのだったが・・・。
1930年代に実在し、「パブリック・エネミー(社会の敵)ナンバーワン」と呼ば
れた男の生き様を、壮絶なガン・アクションとロマンスで描くドラマ。監督はマ
イケル・マン。ジョニー・デップとクリスチャン・ベイルの「夢」の共演に、期待
度100%だった本作。さすがは職人マイケル・マン、外しません! 141分
の長尺もあっという間、鳴り響く銃声に眠気も吹っ飛ぶ快作。面白かった!

「最もセクシーな男」ジョニーがカッコイイのは当たり前、なんだけど、デリン
ジャーのロマンちっくな名セリフの数々にクラクラ来てしまった。
「俺は絶対に撃たれない、お前と一緒に老いて死ぬ」 「二度と俺の目の前から
消えないと誓え」 「人は過去ばかり見たがる、重要なのは明日だ」。あの目に見
つめられながら愛される女、それはマリオン・コティヤール演じるビリー。マリオ
ンがね、すっごい綺麗なんですよ! デリンジャーが一目惚れし、生涯愛した夢
の女に説得力十分。「眠りたくない、時間が惜しい」って、わかりますとも・・・。
そして、デリンジャーを追う警察側のトップ、メルヴィン・パーヴィス捜査官
がクリスチャン・ベイル。クリベー大好きな私、あの薄い薄い唇から発せられる、
いつもの掠れた声に痺れます。しかしどうしても彼を観ると「ブルース・ウェイン」
って名前が頭に浮かんでしまう・・・。デリンジャーに逃げおおせて欲しいと願い
ながら、部下を次々と失い、デリンジャーを捕えられないメルヴィンが次第に気
の毒になってくる。敵の懐に自ら入り込むデリンジャー、カッコ良すぎなんです
から・・・。しかし、あの結末には驚愕。バイバイ・ブラックバード。。

音楽もカッコイイ! 特に予告から流れていた銀行強盗のテーマ(?)、「テン・
ミリオン・スレイヴス」が最高! どこを切ってもカッコイイ男(と美しい女)の映画
だったなぁ。ジョヴァンニ・リビシやデヴィッド・ウェンハムも結構重要な役で出演
していてうれしい♪
しかし、観ながら一箇所だけわからないところが・・・。隠れ家を襲撃され、逃げ
る手負いのデリンジャーとベイビーフェイス・ネルソン(スティーブン・グレアム)。
同じ車で逃げていたハズなのに、横転した車にはデリンジャーは乗っていなかっ
た。どうして? 私の見落とし? 勘違い? だったらいいけど。
(『パブリック・エネミーズ』 監督・製作・脚本:マイケル・マン/
主演:ジョニー・デップ、クリスチャン・ベイル/2009・USA)
14歳の友だち、25歳の神様~『浮世でランチ』

25歳の丸山君枝は、馴染めない会社を辞め、海外を旅する。タイからマレー
シアに移動し、最終目的地はミャンマーだった。
山崎ナオコーラの『人セク』に続く第二作。相変わらず、モラトリアム全開な
ナオコーラ節。あまりにも「閉じた」性格の主人公にウンザリするか、共感する
かで評価が割れそうな作品。私はと言うと、ランチはいつも一人で食べている
ので共感派、かな。。しかし私は彼女ほどは「反体制」ではありません、念の
ため(笑)。
25歳の君枝の旅と並行して、14歳の君枝の中学時代が交互に描かれる。
異性の幼なじみ、クラスの「女子」との関係、片思いごっこ、見え隠れする神様
と「宗教」。幼さ故に残酷で、取り返しがきかない友情。十数年の時を経て、君枝
の外見は変わっても、内面は14歳のまま。傷ついたことにさえ気付かず、周囲
と馴染まず、いつも一人な少女のままなのだった。なんとなく、『女の子ものが
たり』を思い出す。14歳といえば、『ヘヴン』も思い出す。中学時代って、どうし
てあんなにコントロールが利かない感じがしたんだろう。心と身体が、アンバラ
ンスな感じが。
「いつもひとり」な君枝に、作者は旅の最後にご褒美をくれる。そして、この
「全世界」を肯定するラスト。本を閉じたら、胸の奥から熱いものがこみ上げ
てきた。
ETERNAL SUNSHINE OF THE SPOTLESS MIND・・・
(『浮世でランチ』 山崎ナオコーラ・著/河出書房新社・2006)
冒険しようよ~『カールじいさんの空飛ぶ家』【3D・吹き替え版】

UP
幼い頃から「冒険家精神」を共有してきた妻エリーを亡くし、ひとりぼっちに
なったカール。彼は亡き妻との夢を叶えるべく、自宅に大量の風船をくくり付
け、大空へと飛び立つのだったが・・・。
毎年恒例、ディズニー/ピクサーのアニメ。今年はピクサー初の3D上映も
ありということで、ずっと前から楽しみにしていた。安心して観られる映画ブラン
ド、ピクサーは絶対に期待を裏切らない。監督は『モンスターズ・インク』のピー
ト・ドクター。加えて、製作総指揮にジョン・ラセター&アンドリュー・スタントンが
控えているんですからもう、無問題でしょう! 私はコレ、昨年の傑作『ウォー
リー』より好きでした。今年のベストに入れたいかも・・・。

何と言っても「風船」ですよ! あの、大空いっぱいに色とりどりのヘリウム
風船が浮かぶ風景が観られただけでも感涙モノ。『赤い風船』しかり、風船っ
ていいよね。。風船握ってたら、自然と顔が上を向くし。
でも、この映画はただの「おじいさんと少年の風船旅行記」ではない! 寂し
いおじいさんと少年が出逢い、温かい心の交流が生まれる、という定番の物語
ではあれど、『未来少年コナン』もビックリの、飛びっきりの冒険譚でもあるの
です。
妻に先立たれたカールおじいさんは、それでもすっごく幸せ者だと思うな~。。
幼い頃から純粋培養してきた愛情が枯れることなく、相手の死後も続くなんて
・・・。と、傍目には最高の人生でありながら、カールには「妻との誓いを果たせ
なかった」という負い目がある。 「パラダイスの滝に、あなたが連れてってね!」
しかも、妻と暮らした家は、バージニア・リー・バートンの『ちいさいおうち』状態。
エージェント・スミスに包囲されて、遂にカールは旅立つ決心をする。。ここから
が、物語の始まり。

天然キャラの少年ラッセルもよかったけど、何といってもおバカ犬、ダグが最高!
こんなにも「犬」たちが大活躍するお話だとは思いも寄らず、すっごく得した気分。
エリザベスカラーって、着けられている犬は恥ずかしいと思ってるんだなぁ(笑)。
カールとエリーが憧れる冒険家チャールズ・ムンツの存在も効いていて、冒頭から
伏線が巧く張られていると感心。う~ん、しかし彼が悪役になって、飛行船から落
ちてしまうラストはちょっと残念だったかな。そこを差し引いても、本当に素晴ら
しい作品でした。アルバムの最後の言葉に、涙、涙・・・。
おっと、忘れるところだったゼ・・。毎度お馴染み、本篇前のショート・フィルムは
『晴れ ときどき くもり』。コウノトリと、雲の上の神様のお話。こちらも、とって
も、とっても素敵なお話でした♪

PARTLY CLOUDY
(『カールじいさんの空飛ぶ家』 監督・原案・脚本:ピート・ドクター/2009・USA)
どの口が言う~『わたくし率イン歯ー、または世界』

川上未映子のデビュー小説にして、芥川賞候補作。饒舌で大阪弁な口語体は
発表当時、さぞかし衝撃を持って文壇に迎えられたことだろう。芥川賞候補作の
中に本作を見つけた時、「(こんな変テコリンな題名の小説)絶対、読みたくない」
と思った、恥ずかしながら・・・。
「山崎ナオコーラ」と同じで、読まず嫌いしていた私が浅はかでした。芥川賞は
受賞できなかった本作だけれど、選考委員の中には「まずは様子見」 「次回作
を待つ」的な気分が充満していたんじゃないかな。
ところで『ヘヴン』は09年度の「キノベス」に選ばれたそうで。。真紅的にも
『1Q84』より、天国かなぁ、と思っていたから。うれしい、素晴らしい、おめで
とう!! このデビュー作を先に読んでいたら、『ヘヴン』に対してまた違った
感想があったかもしれない。「わたし」は「コジマ」の未来なんじゃないか、とか。
「いじめ」は未映子さんの、根っこにあるテーマなのかも、とか。
しかし、この溢れ出る母性はどうよ! 『ヘヴン』の執筆は随分な産みの苦し
みがあったようだけど、作品からこの獰猛な母性を封印するだけでも、相当な
葛藤があったに違いない。今後、川上未映子はどんな作風の、どんな小説を
発表するのか。めっちゃ楽しみ。期待してますよ。あんまり待たさんといてなー。
(『わたくし率イン歯ー、または世界』 川上未映子・著/講談社・2007)
迷宮劇場~『脳内ニューヨーク』

SYNECDOCHE, NEW YORK
NY在住の人気演出家ケイデン(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、画家の妻
アデル(キャサリン・キーナー)と4歳の娘オリーブと暮らしていた。9月22日、
朝7時44分。平凡な朝の目覚め。だがどこか、何かが違う…。
「天才」脚本家、チャーリー・カウフマンの監督デビュー作。彼が書いた『エタ
ーナル・サンシャイン』は大・大・大好きで、真紅的殿堂入りしている映画。だか
ら本作も、とっても期待して待っていました。しかしこれはもう、思った以上に
「作家性」大爆発、カウフマン節全開の作品。これは観る人、選ぶだろうな~。
劇場はレディースデーにもかかわらず、ガッラガラ(泣)。豪華キャストなのに
ね。。観た方それぞれ、解釈が異なる映画だと思う。で、私の解釈はと言うと…。

映画冒頭、ケイデンが目覚める。寝ぼけ眼で新聞を取りに行く彼を、老人が通り
の向こうから見ている。「死神か?」と思うんだけど、彼はケイデンの人生の節目
節目に現れ、後にオーディションを経てケイデンのお芝居に俳優として参加する。
「君をずっと観察していた。君を演じられるのは僕だけだ」と言いながら・・・。
新聞の日付や賞味期限で過去と現在、未来が混沌とし始め、ケイデンは心も
身体も病んでいく。次々と周囲の人が去ってゆき、満身創痍で舞台を作り続け
るケイデン。「一体いつ上演するんだ? 17年も経ったぞ!」というセリフで、ケイ
デン自身も、観ている我々も時間の感覚を取り戻す。ただ、それも一瞬のこと。
ボックスオフィスでチケットの売り子だったヘイゼル(サマンサ・モートン)はケイ
デンのアシスタントとなり、お抱え女優だったクレア(ミシェル・ウィリアムズ!)
とは娘までもうけながら別れてしまう。ケイデンの作りたい芝居は自分の人生
そのもの、だから身近な人間の「コピー」を作り、時制だけでなく現実と虚構まで
が混沌とし始める。俺があいつで、あいつが俺で・・・。
ケイデンが眠りにつくラストシーン、全ては彼の妄想、というか夢だったのか?
という気がした。ファーストシーン、ベッドの中にいたケイデンは既に死んでいて、
描かれる全ては黄泉の国にいる彼が見た幻だったんじゃないか、と。人は二度
死ぬ、と言われます。一度目は肉体的な死、二度目はその人を覚えているもの
が全て亡くなったとき。すなわち「記憶からの死」ですね。ラストのケイデンの死
は、彼の二度目の死だったのではないか、と・・・。
ちなみに原題の”SYNECDOCHE”とは、「提喩による修辞法」のことだそう。
更に「提喩」とは、比喩法の一つで、全体と部分との関係に基づき、「花」(全体)
で「桜」(部分)を、「小町」(部分)で「美人」(全体)を表現すること、とわかれば、
そんなに小難しいことでもないんだな~、って思える。我々も無意識に使って
いる修辞法なんだけど、この映画のストーリーを思えば、なるほど、と納得す
る感もあり。。上手く言えないんだけどね。

サマンサ・モートンとエミリー・ワトソンが意外と似ている、っていうのは
新しい発見。とにかくキャスティングが渋い! PSHの妻はキャサリン・キ
ーナーだし、ミシェル・ウィリアムズも彼女自身に重なる役柄がピッタリ。
ダイアン・ウィーストが登場するに至っては、ああ、これはやっぱりニュー
ヨークの映画だな、と思ったのでした。
しかしこの映画、繰り返しますが解釈・評価が千差万別でしょうね。とても
「面白い!」とは言えないけれど、何かを感じさせる、考えさせられる映画
であることは間違いないでしょう。劇中、カウフマンが美術スタッフとしてカメ
オ出演していたと思うのだけど、記念すべき監督デビュー作品、愛着あるん
だろうな~って、微笑ましかった。これから皆さんの感想、伺うのが楽しみ
です。
(『脳内ニューヨーク』 監督・製作・脚本:チャーリー・カウフマン/
主演:フィリップ・シーモア・ホフマン、サマンサ・モートン/2008・USA)
たくさん食べて、学びなさい~『ホノカアボーイ』

サンフランシスコの大学を卒業したばかりのレオは、父と旅行したハワイ島・
ホノカア村で、映写技師として働くことになる。
映画『ホノカアボーイ』の原作。あの素敵な映画を観てから随分たつけれど、
最近観た方の感想を読んで、原作に触れたくなった。
主人公であり、原作者でもあるレオは吉田かばんのご子息、吉田玲雄。モデ
ルもしていた彼はマライアの彼氏として映画にも出演していた、らしい。
感想は・・・。う~ん、これすっごく巧く映画にしたな、という印象。文体に深み
がなくて、時間の流れや人間関係が読んでいてしっくりこない。レオの父、克幸
やエヴィアン、タイチさん、もちろんビーさんなど、魅力的な人物は多数登場す
るのに、もったいない! 素敵なエピソードは多々あれど、フィクションにしてし
まうのか、エッセイ(ノンフィクション)として読ませるのかも中途半端な感じ。
映画はレオとビーさんの関係、マライアとの恋に焦点を絞り、ホノカアの風景
とおいしいごはんを全面に押し出して成功していたと思う。岡田将生くんは原作
のレオとは随分イメージが違うけれど、それはそれは素敵だったもの。。
映画のエンディングテーマを唄っていた小泉今日子が、なんと原作に登場し
ている! キョンキョンって、人間国宝だったんですね(笑)。
(『ホノカアボーイ』 吉田玲雄・著/幻冬舎・2008)
名誉なき野郎ども~『イングロリアス・バスターズ』

INGLOURIOUS BASTERDS
第二次大戦末期、ナチ占領下のパリ。「ユダヤ・ハンター」の異名を取るハンス
・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)により、家族を皆殺しにされた少女ショシャナ
(メラニー・ロラン)は、名前を変えて小さな映画館のオーナーとなっていた。プレ
ミアの夜、復讐劇の幕が上がる・・・。
クエンティン・タランティーノによる、史実無視、ちょっと変わった戦争映画。
少女の執念がナチを滅ぼし、消せない鉤十字が刻まれる。好き嫌いがハッキリ
と分かれるタイプの作品だけれど、タランティーノフリーク、映画マニアには堪ら
ないだろう娯楽作品。そのどちらでもない私だけれど、やられました。凄かった。。

物語は五つの章に分けられ、中心にいるのは狡猾で切れ者のナチSS、ハン
ス・ランダ。カンヌ映画祭において男優賞を獲得した、クリストフ・ヴァルツの七
変化演技は必見! 英、仏、独、伊の四ヶ国語を自在に操り、瞬時にギアが切
り替わる彼の言語中枢は凄いの一言!! この映画吹き替えにできないよね?
できたとしても、面白さが半減すると思う。もちろん言語だけでなく、タラ映画独特
のコミック風味な悪役キャラが板に付いて、お見事。
ダニエル・ブリュールやダイアン・クルーガーもそうだけれど、ヨーロッパの
俳優さんは何ヶ国語も操れて羨ましい限り。「君たちアメリカ人は、英語以外
に何かしゃべれるのか?」っていうセリフ、タランティーノの自虐かな。ブラッド・
ピットも、南部訛りの田舎者に徹していて、偉い。アメリカ南部から「ナチ狩り」
のためにパリに潜入した、アルド・レイン中尉(ブラッド・ピット)率いる「イングロ
リアス・バスターズ」。「ユダヤの熊」がバット振り回してる間、中尉がパン食べ
てたのがツボでした。
しかし、ナチを滅ぼすためにプレミアを利用して、映画館を丸ごと燃やしてしま
え!っていう発想自体、タランティーノのオリジナリティが溢れまくっていて素晴
らしい。映画や映画館について知り尽くし、絶大な愛と信頼があるからこそできる
ことなんだろうな、と思うのだった。映画への愛に制約はない。「面白い映画を作
るべし」、ただそれだけの、暗黙の掟が守られる限りは。

クライマックス、劇中映画「国民の誇り」がショシャナの「復讐」に乗っ取られる
場面は圧巻、の一言。饒舌で過剰でバイオレントで血まみれの、タランティーノ
節が全開。時折挿入されるスローモーション、「やり過ぎ!」と叫び、目を背けた
くなるような残虐場面もお約束。しかし第三章の地下の居酒屋シーンだけ、ちょ
っと間延びしてしまった印象。あの辺りをもう少し端折って、映画館主ミミューが
マギー・チャンだった頃の挿話を入れて欲しかったかな、個人的には。
(『イングロリアス・バスターズ』 監督・脚本:クエンティン・タランティーノ/
主演:ブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、ダイアン・クルーガー、
メラニー・ロラン/2009・米、独)
テーマ : この映画がすごい!!
ジャンル : 映画