一瞬の夏~『太陽がいっぱい』

PLEIN SOLEIL
パトリシア・ハイスミス原作、ルネ・クレマン監督、アラン・ドロン主演、言わずと
知れたサスペンスの名作。古今東西、シネフィルや批評家に語り尽くされてき
たであろうこの作品について、私ごときドレミファ素人がもはや言うこともないか
もしれない。それでも何か書かずにはいられない、心の奥底に眠る情動を突き動か
されるような作品。地中海の碧さのように、色褪せない名作がここにある。
同じ原作を、1999年にアンソニー・ミンゲラが『リプリー』として再映画化している。
ジュード・ロウがその美しさと演技力で大ブレイクしたあの作品も私は好きだし、
とても印象に残っている。
広く知られている「同性愛的視点」については、残念ながら私の感性でははっきりと
認識することができなかった。フィリップ・グリーンリーフ(モーリス・ロネ)とトム
・リプレー(アラン・ドロン)の間に在ったものは、確かに友情ではなかったと思う。
しかしそれが「愛情」だったとも言い切れない気がした。「愛憎」という言葉が一番しっ
くりくるだろうか。断末魔のフィリップの叫び、それは彼のヨットの名でもある。

フィリップとトムの関係ではなく、ルネ・クレマンの「アラン・ドロン愛」は画面か
らほとばしらんばかりに溢れていたと思う。特に、トムが魚市場をうろつくシーン。
市場に出された魚たちを見るトム、トムを見る魚たちの交互のアップ。この美しい
青年の「今」をフィルムに焼き付けたい、一挙手一投足を見つめていたい・・・という
監督の願いを、アンリ・ドカエのカメラが痛々しいまでに叶えている。
ルネ・クレマンだけでなく、多くの女性を虜にしたであろう、アラン・ドロンの
完璧なまでの悪魔的な美しさ。どこか妖気漂うギラついた眼差しと黒い髪、口角の
上がり具合はジャック・ニコルソンにも似ている。嫉妬、憎悪、憧憬、欲望。トム
がフィリップに抱いた全ての感情を、有り余る自己愛とともに表現した彼の演技も、
十二分に称賛に値すると思う。
色。地中海の紺碧の海、白い太陽の陽射し、ヨットの帆、素足に映えるデッキシュ
ーズ。青と白が溢れる中、「赤」の不在が逆に印象的だった。フィリップも、フレディ
も、血を流すことなく死んでゆく。それ故に、オープニングの「PLEIN SOLEIL」
の緋文字が眼に焼きついて離れない。
音楽。あまりにも有名なニーノ・ロータによるこの名曲を口ずさんでいるうちに、
『ゴッドファーザー』のテーマとこんがらがってくるのは私一人だろう。。哀切な調べ
は若さの過信と残酷さ、トムが成そうとしたことの稚拙さを哀れんでいるようにも
聴こえる。
完全犯罪をもくろみ、あと一歩のところで成功を逃した「罰当たり」な青年の一瞬の
夏。映画の完成から50年近くたった今も、100年先でも、トム・リプレーの儚い青春
は人々の記憶に刻まれ続けるだろう。
(『太陽がいっぱい』監督・脚本:ルネ・クレマン/原作:パトリシア・ハイスミス/
音楽:ニーノ・ロータ/主演:アラン・ドロン、マリー・ラフォレ/1960・仏、伊)
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花は私が買ってくるわ~『ダロウェイ夫人』

MRS. DALLOWAY
1923年、第一次世界大戦後のロンドン。国会議員リチャード・ダロウェイの妻
クラリッサ(ヴァネッサ・レッドグレーヴ)は、その夜自宅で開くパーティのために
花を買いに出かける。陽光輝く6月のロンドンで、クラリッサは若かった青春の
日々を思い出していた・・。
20世紀最高の文学作品とも評されるヴァージニア・ウルフ著『ダロウェイ夫人』
の映画化。20世紀初頭のロンドンの風景、上流社会の人々の暮らしぶりを忠実に
再現した映像が美しい。ダロウェイ夫人を演じるのは英国の大女優ヴァネッサ・
レッドグレーヴ。『ジュリア』でオスカーを受賞し、反体制の闘士として印象深い
彼女が上流階級の夫人を演じるのか、と観る前は違和感もあったが、人生の終幕
に差し掛かった初老の夫人を美しく、気高く演じ切って見事。
若き日のクラリッサをナターシャ・マケルホーン(『ラヴェンダーの咲く庭で』)、
クラリッサの親友サリーをレナ・ヘディ(『300』)、シェルショック(戦争神経症)
に悩む青年セプティマスをルパート・グレイヴス(『モーリス』)が演じる豪華な
キャスト。
若かったあの日、この道ではなく、もしも向こう側を選択していたら・・・。
ある程度の年齢を重ねた者ならば誰しも一度はそう考えることだろう。ロマンチ
ストで強引なピーターと、安定した人生を約束してくれるリチャード。安定を選
び、国会議員夫人として首相をパーティに迎えるほどの地位にあっても、「ダロウェイ
夫人」としか呼ばれることのない、名前を失ったクラリッサの心の揺れ。「○○さん
の奥さん」「○○ちゃんのママ」としか呼ばれなくなった経験のある女性にとっては、
痛いほど共感できる思いなのではないだろうか。そして青春の日、彼女の心を占
めていたのはピーターでもリチャードでもなく、同性であるサリーであったこと
が印象深い。サリーとキスを交わした後の、クラリッサの歓喜に満ちた表情。
「いつまでもいつも一緒よ」と誓った後で、他の男と楽しげに語り合うサリーを見る
クラリッサの、失意に満ちた表情。奔放に見えて現実的なサリーよりも、子ども
っぽいピーターよりも、クラリッサが一番夢見がちな少女であり、それは何十年
と月日が過ぎた後でも変わることはない。

「死への憧憬」で繋がったクラリッサとセプティマス。指からこぼれる砂のように過
ぎ去ってゆく時間をいとおしみ、欺瞞に満ちた生の世界、パーティへと戻ってゆ
くクラリッサ。過去へ戻ることはできない、しかし記憶の中に閉じ込めた過去の
中では、時間は永遠に止まっている・・・。
雰囲気のある、普遍的な人間の生と死、老いについて描いた映画ではあるが、
『ダロウェイ夫人』をモチーフに、時を隔てた三人の女性の「ある一日」を描いた傑作
『めぐりあう時間たち』には及ばない。窓辺に立つクラリッサのモノローグの場面や、
クラリッサとセプティマスの繋がりは、もう一工夫して欲しかった気がして残念。
原作を読んで再見すれば、また新しい視点が生まれるのかもしれないけれど・・。
『めぐりあう時間たち』がもう一度観たくなった。
(『ダロウェイ夫人』監督:マルレーン・ゴリス/1997・UK、USA、オランダ
主演:ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ナターシャ・マケルホーン)
アレン流夫婦漫才~『おいしい生活』

SMALL TIME CROOKS
NYに住む自称切れ者犯罪者のレイ(ウディ・アレン)は、銀行強盗の新しいアイデア
を思いつく。銀行近くの店舗を借り、地下道を掘って一獲千金!というもの。妻の
フレンチー(トレイシー・ウルマン)を説得し、借りた店舗でカムフラージュのために
クッキー店を始めたらそれが大繁盛!店をフランチャイズした二人はたちまち「クッキー
成金」となり、憧れのセレブ生活の仲間入り。熟年夫婦の「おいしい生活」の顛末や、
いかに?
ウディ・アレンが愛する故郷NYを舞台に、自ら主演・監督したドタバタコメディ。
ヒュー・グラント出演作ということで鑑賞。アレンの映画といえば、おしゃれで
スノッブかつコンサバで神経症的で、主人公はアイデンティティに悩んでないと
ダメなのかな? そんなことないよね、ベタな笑いが満載のシンプルなコメディ
を、気軽に楽しんだっていいじゃない。私は「アレン復活!」と大絶賛された『マッチ
ポイント』より、こっちのほうが好きかも?しれない、映画の完成度は別の話とし
て。原題は「三流の詐欺師」くらいの意味だろうか。

ウディ・アレンとトレイシー・ウルマン夫婦の、機関銃のような会話の応酬が楽
しい。英語が聴き取れなくても、センスのいい字幕で十分楽しめる。往年の名画の
ような軽快な音楽もいい!
さて、お目当てのヒュー・グラント。富豪となったフレンチーに近づき、彼女を
『マイ・フェア・レディ』のイライザに、自分をヒギンズ教授になぞらえ、美術や音楽
やワインのウンチクを垂れ、「ボキャ貧」(古~。。字幕にも賞味期限アリ?)を改善
させてあげるとささやくインチキ美術商ディヴィッドを演じている。ヒュー様には
珍しく、真っ当な(?)小悪人。DVDのキャスト紹介には「奔放な女性に振り回される、
真面目で人は良いがちょっと皮肉屋の美男子、という芸風を確立した」とあり笑ったが
(芸風って・・)、あの爽やかな美男子ぶりはそのままに、熟女をコロリとその気にさ
せるわかりやすい悪役を好演。う~ん、何をやらせてもさすが、巧いですね。でも
やっぱりヒュー様には「生涯一ラブコメ職人」でいて欲しいなぁ。
ディナーの席には必ず「フィンガーボウル」、リネンは豹柄、ワインは赤よブルゴー
ニュよロマネコンティよ、みたいな、突然成金になった夫婦の生活ぶりが可笑しい。
チーズバーガーを恋しがり、ワイングラスでペプシを飲む夫レイを「卒業した」つもり
だったフレンチーが、結局は元サヤに収まるところもホンワカ。予定調和でクダラン
と言われる方もいらっしゃるかもしれないけれど、とにかく「楽しい」映画です。
(『おいしい生活』監督・脚本:ウディ・アレン/主演:ウディ・アレン、
トレイシー・ウルマン、ヒュー・グラント/2000・USA)
夏休みの課題図書~『カラマーゾフの兄弟』

近畿地方は昨日梅雨明けが発表され、いよいよ夏本番でございます。皆さまの
お住まいの地域はいかがでしょうか。
世間では夏休み真っ盛り。夏休みといえば宿題の定番は「課題図書の読書感想文」
ですね。書店では各出版社の「文庫100冊」が並ぶ時期でもあります。読書の夏。
昨年秋から刊行が始まったドストエフスキー著『カラマーゾフの兄弟』新訳が遂に
完結しました。この作品は村上春樹にとっての「これまでの人生で巡り会ったもっ
とも重要な三冊の本」のひとつであり、私の人生の課題図書でもありました。
長い、難しそう、でも絶対に読むべき本なんだ・・という思い。新訳が出ると知っ
たとき、全巻刊行されたら一気買いして一気読みするぞ!と誓ったのでした。
夏の終わりには会員制クラブ「バー・スメルジャコフ」の会員証を手に入れたいと
思っています、わくわく。皆さまにとっても、記憶に残る一冊と出逢える「熱い夏」
でありますように。
良い子は観ちゃダメ?~『セクレタリー』

SECRETARY
自傷癖があり、精神病院を退院したばかりのリー(マギー・ジレンホール)は、弁護
士事務所で秘書として働き始める。雇い主のE.グレイ(ジェームズ・スペイダー)に
よる「教育」で、内気だったリーは自らの内に疼くものを感じ始める・・・。
サンダンス映画祭で絶賛され、主演のマギー・ジレンホールに数々の演技賞をも
たらしたという異色作。ジェイクのお姉さまの出世作ということで、ずっと観たい
と思っていた本作、深夜のTV放映を録画して鑑賞。サンダンス、男と女一対一の
ほぼ室内劇、ということで先日記事にした『ハード・キャンディ』をちょっとだけ連想
させる。しかしあそこまで過激ではなく、ラストは納まるところにちゃんと納まる
「割れ鍋に閉じ蓋」映画。面白いです、でも良い子は観ちゃダメ?

「良い子は観ちゃダメよ~」
これ、主演の二人が物凄いハマリ役です。ジェームズ・スペイダーって、こうい
う「セックスがらみ」の役に滅茶苦茶フィットしますね(偏見?)。神経症的で暗い目
つきがたまりません。巧いです。虐められ、いたぶられる「快感」に目覚めるマギー姉
も、女優根性お見せします!って感じの大熱演。このリー役、当初はグウィネス・
パルトロウ嬢が演じる予定だったそうで・・・。それって観たいような観たくないよ
うな(笑)。しかし、この演技がマギー姉のブレークスルーになったことは間違いない
ですね。頑張ったね~。

幼い頃から自傷癖のあったリーは、生きている実感がずっと持てなかったのかも。
自分が何をうれしいと感じ、何に幸せを求めるか。それは人それぞれだし、大多数
の人たちが理解できないところにあるものならば、見つけるのに時間がかかること
でしょう。暗くてダサダサだったリーが、グレイに出逢えて初めて自分の欲望にま
っしぐらになれて、殻を破って花開くように美しく変身していく様は素晴らしい!
マギー姉の演技が見事です。目元や、笑った時に口角がニュ~っと上がるところは
やっぱり、ジェイクと似ているな~と思ってしまいました。

自慢の弟?
暖色系の室内装飾の弁護士事務所(赤いカーテン)や音楽に、『ツイン・ピークス』
を連想してしまいました。音楽のアンジェロ・バダラメンティという方は『ツイン~』
をはじめ、ディヴィッド・リンチ作品を全て手がけたそうで納得です。
(しかし『ツイン・ピークス』って、我ながら例えが古い!『インランド・エンパイア』
とか言えたらカッコイイんですけどね)
ちょっと妖しくてアブナイ世界、でもエンターテインメント作品として十分楽しめる
映画です。マギー姉の熱演&J.スペイダーの怪演、よい子の皆さんも是非観て
下さい(笑)。
(『セクレタリー』監督・製作・脚本:スティーヴン・シャインバーグ/
主演:ジェームズ・スペイダー、マギー・ジレンホール/2002・USA)
そして少し、河合隼雄さんのこと~『ゲドを読む。』

『ゲドを読む。』とは、スタジオジブリが『ゲド戦記』7・4DVD発売プロモーション
の一環として6月6日から無料配布した「文庫本のかたちの」フリーペーパー。そう
そうたる執筆陣、デザインは佐藤可士和、100万部発行という信じられない程
の太っ腹ぶり。プロデュースはおなじみ糸井重里氏。
『ゲド戦記』はまだ原作も映画も読んでも観てもいないのに、探し回ってなんとか
「ピンク」をゲットした時はうれしかった。「赤」が欲しかったのだけれどゼータク
は言うまい。宗教学者の中沢新一氏が、平易な言葉でアーシュラ・K・ル=グウィン
の世界を語ってくれているのもありがたい。自分は日本に(もしかしたら世界中に)
何万人もいるであろう「宮崎駿チルドレン」の一人だと思っているけれど、映画
作品以外で宮崎駿の言葉に接したことは、今までほとんどなかったことにも気付
いた。
このフリーペーパーが全国で配布開始されてから一ヶ月以上が経つし、DVDも
既に発売・レンタルされている。今頃になって何か書こうかと思い立ったのは、
『ゲドを読む。』の執筆者の中に、先日亡くなられた河合隼雄さんがいらっしゃる
から。宮崎吾朗監督との対談は河合さんが倒れる直前に行われたものであり、
ここに収められているのはまさに氏の「最後の言葉」であるのかもしれない。
私は河合さんの言われた「自己実現」という言葉はあまり好きではないし、何冊
か読んだ著作も心の底からは理解できていないと思う。しかし、村上春樹氏を
はじめ、多くの方に慕われたユーモアと思いやり溢れるお人柄は大好きだった。
これから改めて、著作に触れてみたいと思う。
謹んでご冥福をお祈りします。
人類の子どもたち~『トゥモロー・ワールド』

CHILDREN OF MEN
西暦2027年、世界は原因不明の不妊症により、子どもが生まれなくなって既に
18年が過ぎていた。世界各国が崩壊する中、鎖国政策を取る英国は厳格な不法入国
者の取り締まりにより、何とか秩序と治安を維持している。エネルギー省に勤務す
るセオ(クライヴ・オーウェン)は、かつて学生運動の同志だった元妻・ジュリアン
(ジュリアン・ムーア)をリーダーとする反政府組織からある依頼を受ける・・。
大好きな『天国の口、終わりの楽園。』の監督、アルフォンソ・キュアロンによる
近未来SFということで鑑賞。彼と、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ、
ギレルモ・デル・トロとで「メキシコのスリー・アミーゴス」って言うのですね。
かなりシリアスで、ドキュメンタリータッチなサスペンス。これは大きなスクリ
ーンで観たかった!
とにかく、長回し(ワンカット)を多様した映像が迫力満点!緊迫感に溢れ、自分
もその場に居合わせたかのような臨場感。セオを演じたクライヴ・オーウェンは
ほぼ出ずっぱりで、さぞかし大変な撮影だったろうと思いました。私は彼の出演
作は初見なのですが、彼って・・彼ってジェイクに似てないですか??ジェイクの
15年後って感じがしたなぁ。(ファンの皆さん、怒らないでね)

現代日本でも少子化社会が問題とされ、議論がなされていますが、この映画で
描かれるのはなんと「無子社会」。一番若い人間が18歳!教育に関する体制や産業
は全て成り立たなくなりますし、世界が滅亡する日が確定してしまうって何と怖
いことか。セオがアートを収集している叔父に「100年後、これを誰が見る?」って
いうセリフがあります。100年後には確実に誰もいない世界、想像できますか?
100年後にも、あのブタのバルーンは空を飛んでいるのでしょうか・・・。
しかも劇中では、2008年に大流行したインフルエンザによって、多くの人命
が喪われた設定。2008年って、来年じゃないか~!ここのところ毎冬、新型イ
ンフルエンザの流行が懸念されていますから、この映画全くの絵空事ではない
のかもしれない。希望を託す子どものいない世界は、暴力と憎しみで荒廃して
いる・・。
ストーリー的には捻りも裏もないストレートなお話ですが、生まれてくる生命、
赤ん坊っていうのがどれだけ人々の心に希望の灯をともすか、庇護されないと
生きられない、無力な赤ん坊がどんなに大切な存在か、赤ん坊の泣き声がどん
なに荘厳な響きであるかが感動的に描かれます。考えさせられてしまう、世界
の成り立ちについて。
監督以外にこのDVDを手に取った理由であるピーター・ミュラン(『マイ・ネーム・
イズ・ジョー』)、マイケル・ケイン爺やも渋く、いい味出してます。世界の現状
に警鐘を鳴らしつつ、圧倒的な映像で魅せる力作でした。
(『トゥモロー・ワールド』監督・脚本・編集:アルフォンソ・キュアロン/
主演:クライヴ・オーウェン、ジュリアン・ムーア/2006・USA、UK)
テーマ : この映画がすごい!!
ジャンル : 映画
三個年代、三種時光、三段情縁~『百年恋歌』

最好的時光
(THREE TIMES)
先日亡くなったエドワード・ヤン監督作で、チャン・チェンくんのデビュー作で
もある『クーリンチェ少年殺人事件』をレンタルで探したのですが見つからず(無念)、
同じ台湾の世界的名匠であるホウ・シャオシェン監督作であるこちらを鑑賞。チャン
・チェンくんと、先日記事にした『傷だらけの男たち』のスー・チー主演。この映画、
関西で公開された頃には既にDVDが出ていました。映画館で観たいと思っていたの
ですが、鑑賞後はもっと、映画館で観ればよかったと「思う」だけでなく「後悔」して
います。少ないセリフと美しい映像の中で、3つの時代の3つの愛の物語が展開する。
泣かせる演出も派手なVFXもないけれど、二人の俳優が演じ、生きている時間と空間
(時光)の、なんと静謐で陰影深いことか。こういう作品を観ると、自分がアジアの
一員であることが誇らしくなるのは私だけでしょうか。素晴らしい作品です。
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「恋愛夢」1966年、高雄。兵役を控えた青年はビリヤード場で働く秀美に恋をし、
手紙を書くと約束する。兵務休暇で戻った青年は秀美を訪ねるが、彼女はいなかっ
た。青年は秀美を探し・・・。

「自由夢」1911年、日本統治下の台北。娼館の芸妓と妻子持ちの文人は互いを思い
つつ、妾と旦那の関係は結ばない。辛亥革命が起こり、文人は日本へと旅立つ。

「青春夢」2005年、台北。歌手の靖は、カメラマンのチェンと出会い、恋に落ちる。
しかし二人には互いに恋人がいる・・・。

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3つの時代の物語はそれぞれ独立したオムニバス形式ですが、演じるはどの時代
もスー・チーとチャン・チェン。二人ともさすがの存在感ですが、特にスー・チー
が素晴らしく美しく撮られています。こんなにも演技力のある女優さんだとは知
りませんでした。
3つの物語の中で、一番好きだったのは「恋愛夢」1966年編。恋が芽生える瞬間
の初々しさや照れ臭さなど、スー・チーが全身で体現していてこちらまでうれし
くなります。映像が印象的だったのは「自由夢」1911年編。チャン・チェンの弁髪
姿や高級娼館の内装、スー・チーの衣装、全てが正に夢のように美しい。蓋をず
らせて飲む中国茶が香り立つようです。しかもこのパートはサイレントであるた
め、美し過ぎて静か過ぎて、心地良く夢の世界へ行ってしまわないようご用心。
ちなみに撮影は、『花様年華』で私をクラクラにしたリー・ピンビン。
そしてどのパートにも、手紙(現代編ではメール)が印象的なアイテムとして登場
します。ケータイもパソコンもない時代から現代へ、通信手段は飛躍的に進歩し
ているけれど、恋愛は逆に困難になっている。3つの時代それぞれに恋愛の障害は
あるのですが、66年編だけが希望を感じさせるラストになっています。妻子や
相手の恋人という「生身の」障害でなく、兵役という逃れがたいけれど自身で克服す
べき問題であることが、66年編に活き活きとした前向きな恋の息吹を感じさせる
のかもしれません。
エドワード・ヤンの追悼という意味で作品を観たかったのですが、ホウ・シャオ
シェンの映画を続けて観たくなってしまいました。
(『百年恋歌』監督:ホウ・シャオシェン/主演:チャン・チェン、スー・チー
/2005・台湾、仏)
アルモドバルのミューズたち~『神経衰弱ぎりぎりの女たち』

WOMEN ON THE VERGE OF
A NERVOUS BREAKDOWN
テレビ女優兼声優のペパ(カルメン・マウラ)は、同棲相手のイヴァン(フェルナ
ンド・ギリェン)から別れを切り出される。イヴァンからの電話を待って苛立つ
ペパの元に、テロリストに利用されたモデルのカンデラ(マリア・バランコ)、ペン
トハウスの見学に来たカルロス(アントニオ・バンデラス)とマリサ(ロッシ・デ・
パルマ)がやってくる・・。
恋に悩み、神経を擦り減らす80年代の「プッツン」女たち。愛を込めて、彼女た
ちを明るく美しくコミカルに描き、様々な映画賞で高い評価を受けたスペイン
の名匠ペドロ・アルモドバルの出世作。
『オール・アバウト・マイ・マザー』以前のアルモドバル作品を初めて観た。オー
プニングのファッション雑誌のようなビジュアル、「赤」が印象的な色彩設計、
一筋縄ではいかない女たちの生態に、今も変わらぬアルモドバル印を感じる。

『ボルベール<帰郷>』でペネロペの母を演じていたカルメン・マウラが主演。
彼女は初期のアルモドバル作品に欠かせない女優であったようだが、本作以降、
アルモドバルとは袂を分かったと言われていたらしい。情熱を漲らせて見開か
れた大きな瞳、身体ごと相手にぶつかってゆく激情。電話を引きちぎり、ベッ
ドを燃やし、レコードを投げ捨てる彼女は身勝手なようで、どこか憎めない。
母と娘をはじめ、様々な「回帰」が描かれていた『ボルベール<帰郷>』は、カル
メン・マウラの「アルモドバル作品への回帰」でもあったのだ。

若き日のアントニオ・バンデラス演じるカルロスが、父親譲りのジゴロぶり
を発揮するのも可笑しい。カルロスの母ルシアの60年代風メイクも、彼女の思
いが20年間変化していないことを表しているのだろう。ちゃんと目薬を常備し
てくれたマンボタクシーも楽しい、あんなタクシー乗ってみたい!
ペパがどうしてあんなにもイヴァンに執着したのか、ラストのセリフで明か
される。恋を失っても、これからの人生に何が起こるのか、わくわくしている
ような女二人が語らうラストシーン。この映画は多分、アルモドバルから全て
の女たちへの応援歌なんだ。
★アルモドバルの新旧ミューズ★

(『神経衰弱ぎりぎりの女たち』監督・製作・脚本:ペドロ・アルモドバル/
主演:カルメン・マウラ、アントニオ・バンデラス/1988・スペイン)
2007年10月5日!~『恋愛睡眠のすすめ/スペシャル・エディション』

THE SCIENCE OF SLEEP
わ~い、わ~い♪ 皆さ~ん、『恋愛睡眠のすすめ』DVD発売決定!ですよ~♪
10月5日金曜です。うれしい~~♪
特典内容は、コメンタリやメイキングなど、など。楽しみ~~。コメンタリは
フランス語でしょうか? 何でも、ミシェル・ゴンドリー監督の母国フランスで
は、DVD発売を記念して「Bバージョン」なるものの上映があったとか。捨てカット
を繋いだ一時間弱のダイジェスト版だったらしいのですが、それも観たいなぁ~。
上映館が少なかったので観逃した方が多いと思うのですが、秋には是非、皆さま
ご覧になって下さいませ。そして「ステファンと一緒に夢の中に行きたい!」と思われ
た方、一緒に盛り上がりましょう! 間違いなく私はまた(一人で)騒いでいると思い
ますので・・(笑)。
秋を楽しみに、厳しい夏を乗り切りましょう♪

踊りましょう 夢の中へ 行ってみたいと思いませんか・・・
犬のような人生でも~『街のあかり』

LIGHTS IN THE DUSK
フィンランドの巨匠にして「酔いどれ詩人」ことアキ・カウリスマキの新作。
『浮き雲』(失業)、『過去のない男』(ホームレス)に続き、(孤独)をテーマにした
敗者三部作の最終章。東京のユーロスペースでしか公開がないと思い込んでいた
本作、こちらでも公開と知り慌てて電車に乗って観に行く。実は、カウリスマキ
作品を劇場鑑賞するのは本作が初めて。少ない台詞、ほとんど無表情の主役たち、
陰影の深い映像、印象的な音楽。78分という時間のなかで、カウリスマキ節を
十二分に堪能できる佳作。劇場も満席でした。
ヘルシンキに住むコイスティネン(ヤンネ・フーティアイネン)は、警備会社で夜警
の仕事に就く孤独な男。朴訥で人付き合いが上手くない彼は、友達も家族もいない。
上司や同僚からは疎まれ、ローン申請に行った銀行員からは馬鹿にされ、酒場でも
影のように扱われる。そんな彼にマフィアが目を付け、コイスティネンはある事件
に巻き込まれる・・・。

コイスティネンに降りかかる不幸は半端ではなく、彼が気の毒でたまらない気持
ちになる。ただ愚直で、生き方が下手なだけなのに、誰もが彼に距離を置く。仕事
帰りに立ち寄るグリルスタンドのアイラ(マリア・ヘイスカネン)だけがコイスティネン
とまともに口をきいてくれる相手で、彼女と話をするためだけにソーセージを買う
コイスティネンが哀しい。『かもめ食堂』ではあんなにも輝いていたヘルシンキという
街が、とても侘しく冷たい場所に見える。
マフィアの情婦とは露知らず、ミルヤ(マリア・ヤンヴェンヘルミ)に恋するコイス
ティネン。デートの仕方もわからず、初めての会話で「結婚するのか?」と言う彼が
また哀しい。裏切られても、決して相手は裏切らず、「犬のように」忠実に、誠意を
貫くコイスティネン。彼はローンも組めない「負け組」に属する人物であり、「成功」
という概念を土台にして成立しているアメリカ(ハリウッド)的価値観とは対極にある
映画だと言えると思う。当たり前のようにタバコを吸う登場人物たちも、健康志向
や嫌煙運動とは無縁のようだ。
「立ち直れない」ほど痛めつけられても、まだ希望は失っていないコイスティネン。
ずっと前からそこで待っていた愛を、回り道してやっと握り締めた彼。さり気なく、
余韻を残すラスト。犬のような人生でも、誠実に生きていれば幸せは必ず訪れると、
人生を肯定するカウリスマキに拍手。「やさしい老人」とは、ちょっと言えないと思う
けれど(笑)。
カウリスマキ作品のミューズ、カティ・オウティネンがスーパーのレジ係として
登場するのもうれしい。アルモドバルとは全く違う色彩だけれど、「赤」が印象的なの
は本作も同じ。そしてエンドクレジットの『VOLVER』の文字にあっ!と驚く。
オープニングで流れていたあの印象的な音楽は、『ボルベール<帰郷>』だったのか・・。
これからご覧になる方、どうかお聴き逃しなく。
(『街のあかり』監督・製作・脚本・編集:アキ・カウリスマキ/
主演:ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤンヴェンヘルミ/
2006・フィンランド、独、仏)
喪失と再生~『傷だらけの男たち』

傷城(Forlorn City)
CONFESSION OF PAIN
5年越しの恋人を喪った元刑事のポン(金城武)は酒浸りの私立探偵。ポンの元同僚
であり、親友でもあるヘイ(トニー・レオン)は富豪の娘スクツァン(シュー・ジンレイ)
と幸せな新婚生活を送っていた。そんなある日、スクツァンの父が惨殺される。
スクツァンに事件の捜査を依頼されたポンは、ある真実に辿りつく・・・。
『インファナル・アフェア』で大成功を収めたアンドリュー・ラウ、アラン・マックの
コンビが再びタッグ、「傷ついた街」香港を舞台に二人の男の喪失と再生を描いた
ノワール劇。言わずと知れたアジアの大スター、トニー・レオンと金城武の共演作、
待ってました!と心の中で叫びつつ鑑賞。
待ちくたびれたわりには我慢し、ほとんど前知識を入れずに観たため、トニーが
とても「わかりやすい」悪役を演じていて意外に思う。しかしその「わかりやすさ」も、
後半に明かされるヘイの傷と正体によって、簡単にわかったような気になっていた
自分を恥じることになる。眼ヂカラのひとトニー、今回は眼鏡でその「眼力」を半ば
封印しつつ、悪人の貌と傷ついた善人の貌を使い分ける。『インファナル・アフェア』
で悶絶した「ワイ?」も聞けてうれしい!
金城くんは相変わらずの男前っぷり&こもった低音が素敵。2003年のクリスマス、
先輩刑事に甘える姿はまさに天然!死の面影に悩まされ、酒に溺れてグダグダに
なった姿も様になっている。無精髭であろうと、ボサボサ頭であろうと、どこか
茫洋として、決してやさぐれないのは彼の資質だろうか。
ヘイとポンの絆はとても深く強く・・、友情を超えた愛情のようにも見える。
もちろんそれは性的な意味ではなく、同じ痛みを持つものだけが共有し、理解す
ることができる感情。スクツァンの実家に入った瞬間、ポンには事件の顛末が
「見えた」ように、彼はヘイの心情に共鳴できる何かを持っていたように思える。

死に捉えられていたポンが惹かれる酒場の女性、フォンを演じたスー・チーは
スタイル抜群、明るく勝気で魅力十分。ポンが彼女の中に「生」を見、再生していく
ラストには救いを感じる。『ノルウェイの森』の「緑」を少し、思い出してしまった。
うれしかったのは、『インファナル~』で印象的だったキョンことチャップマン・トー
が出てきたこと!彼は今後、どんなタイプの映画に出ようと私の中では「キョン」とし
て記憶され続けるに違いない。エンディングでは日本語の歌が聴こえてきたけれど、
激怒するほど合ってなくはなかったと思う(意外と、そう悪くはなかった、という意味
です)。でもやっぱり、トニーと金城くんの贅沢デュエットが聴きたかった。映像
も美しく、仏教的な「因果応報」の思想も感じられる一作。必見ですよ!
(『傷だらけの男たち』監督:アンドリュー・ラウ、アラン・マック/
製作・撮影:アンドリュー・ラウ、脚本:アラン・マック、フェリックス・チョン/
主演:トニー・レオン、金城武、スー・チー/2006・Hong Kong)
テーマ : ★傷だらけの男たち★傷城/CONFESSION OF PAIN★
ジャンル : 映画
恋の期限は2週間~『トゥー・ウィークス・ノーティス』

TWO WEEKS NOTICE
環境保護と歴史的建造物保存に情熱を傾けるリベラル派弁護士と、ハンサムで女
たらしの大富豪の次男坊。正反対な二人が恋に落ちる、NYを舞台にしたロマンティ
ック・コメディ。主演はサンドラ・ブロックと、毎度お馴染みラブコメ職人ヒュー・
グラント。監督はブルックリン在住、同じくヒュー・グラント主演の『ラブソングがで
きるまで』のマーク・ローレンス。
先日鑑賞記事にした『9か月』のエンディングで使われていた、ヒュー・グラントの
赤ん坊の時の写真が、本作ではタイトルバックに使用されていて驚いた。全く同じ
写真なのだから!幼い頃から見目麗しいヒュー様でございます。
『トゥー・ウィークス・ノーティス』、語感はいいけど意味がわからないこのカタカナ
邦題、「2週間の契約解除予告」という意味らしい。ハーバード卒、5歳で政敵リストに
載ったというバリバリのリベラル派弁護士であるルーシー(サンドラ・ブロック)が、
公私混同する上司のジョージ(ヒュー・グラント)に業を煮やして退職を決めた途端、
自分の気持ちに気付く・・という王道ラブストーリー。後任のジューン(アリシア・ウィ
ット)に嫉妬しつつも、素直になれないルーシー。そこでジョージはどう出るか?
サンドラ・ブロックはあまり好きなタイプの女優さんではないけれど、本作は製作
も兼ねているためか好感度は大。頭が良すぎて嫌味なほど知識があり、かわいくな
れない「出来る女」を好演。我がまま放題、でもやさしくて憎めない、ハンサムで素敵
な御曹司を演じるヒュー・グラント、例によって「本人キャラ」はお手のもの。演じて
て飽きないのだろうか、なんていうのは野暮というもの。ただ、ヒューはどうも
ニューヨーカーには見えず、それがちょっと難点かもしれない。英国アクセントを
修正しているのかどうかは私のヒアリング能力ではわからないけれど、彼はあくま
でも「Englishman in New York」というイメージだ。

マーク・ローレンスの最新作『ラブソングができるまで』では、ニューヨークが舞台
であるにもかかわらず街の雰囲気が活かされていないことを残念に思ったものだが、
本作ではNYの美しさと魅力が程よく切り取られている。予算の事情からカナダでの
撮影が予定されていたらしいが、プロデューサーであるサンドラ・ブロックがNY
ロケを主張したとか。これは英断だったと思う。
パーティの場面で、情感溢れるピアノの弾き語りを披露しているのはノラ・ジョ
ーンズ。NY出身の歌姫をカメオ出演させるところがニクイ。ルーシーとジョージが
メッツ・ファン(ヤンキースでなく)というところもちょっと通なのかな?しかも打席
に新庄が立っているし!ストーリーには目新しさが感じられないけれど、サンドラ
&ヒューという熟練の役者が魅力たっぷりな凡作にして佳作。お気軽にどうぞ。
(『トゥー・ウィークス・ノーティス』監督・脚本:マーク・ローレンス/
製作:サンドラ・ブロック/主演:サンドラ・ブロック、ヒュー・グラント
/2002・USA、豪)
赤ちゃんが来る!どうする、俺?~『9か月』

NINE MONTHS
小児精神科医のサミュエル(ヒュー・グラント)は、サンフランシコに住む英国人。
ある日、5年間同棲している恋人のレベッカ(ジュリアン・ムーア)から妊娠を告げら
れる。親になることに戸惑い、苦悩するサミュエル。レベッカとの衝突、別離を
経て、彼が本当の家族を受け入れるまでの9ヶ月間を描くドタバタコメディ。
監督は『ホーム・アローン』のクリス・コロンバス、音楽はハンス・ジマー。大いに
笑わせていただきました、ちょっと涙も。
★以下、ややネタばれします★
ラブコメ職人のヒュー様作品の中でも、これはかなりドタバタ度が高い映画だと
思う。ヒューはほとんどコメディアン状態で、ジム・キャリーもビックリの顔芸&
オーバーアクト。私はかなり爆笑したのだけれど、「やり過ぎ」と捉える方もいらっしゃ
ると思う。特に、破水から病院までのカーチェイス(?)、分娩室でのケンカ騒ぎはちょ
っといただけない(面白かったけど)。自由な生活を謳歌する独身貴族が、恋人に結婚&
妊娠を迫られたら・・というのはよくあるプロットだし、ありきたりなハッピー・エン
ディングは最初から見えてるよ、と言われるかも知れない。でも、あのラストダン
スは最高でしょ!
私は女だけれど、サミュエルの気持ちもわからないでもない。仕事も恋も順調、
夢の車(赤のポルシェ・コンバーチブル)も手に入れた、一体何が足りないの?と。
16年間も一緒に暮らした猫を手放せと言われたら、私だって怒り狂うと思う。
児童精神科医という子どもに近い仕事だからこそ、彼らを取り巻く現実を知り、
親になることを尻込みするのも仕方ないのかも。でもね、女のほうがもっと不安
なんだよ~。。30過ぎたレベッカの微妙な女心もわかる。幸せだけれど、どこ
か満ち足りないこの気持ちは何? この人と、本当の「家族」になれるのだろうか・・。

胎児の性別を知り、不安がほどけていくヒューの表情がいい。超音波の映像に
見入り、心臓の動きに瞳を潤ませるサミュエル。愛の謎が解けた瞬間!この辺り
のヒュー・グラントの演技は本当に巧い。こちらまでグっときてしまう。演技だけ
で、実生活ではトホホ(笑)なところがまた、このヒトの憎めないところ。
脇を固める名コメディアン、ロビン・ウィリアムズ、ジョン・キューザックの
お姉さんジョーン・キューザック、ジェフ・『蝿男』ゴールドブラムらもそれぞれ芸
達者で楽しめる。自らも娘の誕生にインスパイアされて作曲したというハンス・
ジマーの音楽も、大いに盛り上げてくれました。エンディングはモノクロ写真の
赤ん坊たち。その笑顔に、また心和むのであった。
(『9か月』監督・製作・脚本:クリス・コロンバス/音楽:ハンス・ジマー/
主演:ヒュー・グラント、ジュリアン・ムーア/1995・USA)
共犯者たち~『がらくた』

「文章には--書いたものであれ、訳したものであれ--底流として性質が流れる」
翻訳家である45歳の柊子と、帰国子女の高校生美海、15歳。リゾートホテルの
プライベートビーチで出会った二人の女性を語り手に、愛と性、愛と裏切り、愛と
成熟(または若さと老い)について描く長編小説。
新刊を心待ちにし、出たら必ず読む作家は何人かいて、江國香織もその一人。
絵本や翻訳ものは未読のものもあるが、小説は全て読んでいる。大ファン、という
わけでもないけれど、常に気になる作家の一人。直木賞受賞以来、刊行ペースが
ゆっくりになって来たのかな、と思っていたので、この久々の長編は堪能した。
最初の数ページ、やや固い文体に変わったのかと感じたけれど、徐々にいつもの
「恋愛至上」江國ワールドが展開する。
配偶者以外に複数の愛人と関係し、それが夫婦の暗黙の了解になっている柊子
と夫。友達を作らず、年上の者としか関係を築けない美海。本を読むことだけを
して生きてきたという柊子の母、75歳の桐子。ゲームのような人間関係、今この
時、目の前にいる相手の存在だけが真実であり、信じることも裏切ることも意味
のない不思議な世界。『がらくた』というタイトルに込めた、作者の真意はどこに
あるのだろう。
(『がらくた』江國香織・著/新潮社・2007)
猟奇的な少女~『ハードキャンディ』

HARD CANDY
出会い系サイトで知り合った14歳の中学生ヘイリー(エレン・ペイジ)と32歳の
フォトグラファー、ジェフ(パトリック・ウィルソン)。チャットで言葉を交わし、
カフェで会った二人はお互いを一目で気に入り、ジェフの自宅へと向かう。スク
リュードライバーを片手に、スタイリッシュなインテリアのリビングで始まった
フォトセッションは、惨劇の序章に過ぎなかった・・・。
サンダンス映画祭で絶賛されたという低予算スリラー。密室で展開されるSM
ちっくかつサイコなサスペンスから目が離せない。ミュージックビデオ出身だと
いうデヴィッド・スレイドは初監督作ながら、驚くべき完成度の高さ。後味は決し
ていいとは言えないし、万人向けの作品では全くないが、猟奇的な場面を排除し
つつ観るものを戦慄させ、アイデア一つでここまでスリリングでスタイリッシュ
な映画が撮れるのかと感動すら憶える異色作。

PCのモニターに流れる会話、主人公二人のクローズアップが延々と続くオー
プニング。平行移動するカメラと暗転する画面、膨大な量の会話から、二人劇の
舞台を観ているような感覚に陥る。先に「アイデア一つ」と書いたけれど、この舞台
を成立させるためには勿論、主演の二人には相当の力量が求められることは間違
いない。パトリック・ウィルソンとエレン・ペイジの二人は、制裁を受ける哀れな
オオカミと、無垢に見せかけて巧妙に罠を仕掛ける残酷な赤頭巾を圧倒的な熱演
で体現し、この映画にリアルな痛みと恐怖を植えつけることに成功している。
撮影は18日間で、ほぼ台本に沿って進められたというが、このテンションを
維持するのは並大抵の集中力ではないと思う。実際、手術のシーンでパトリック・
ウィルソンは気絶したらしい(気の毒!)。彼の出演作『オペラ座の怪人』『エンジェ
ルス・イン・アメリカ』ともに未見だけれど、他の出演作も観てみたいと思わせる。
ケイト・ウィンスレットと共演の『リトル・チルドレン』が待ち遠しい。
小児性愛者への異常な憎悪と怒り、復讐心を全身に漲らせながらジェフをいた
ぶり、追い詰めてゆくヘイリー。最後まで彼女は何者か明かされず、目的を果た
した後の一言が恐ろしくかつ不気味だ。彼女は善人なのか、悪人なのか? そん
な問いさえ意味を失くしてしまいそうなヘイリーの苛立ちに、ラストまで強引に
引っ張られてしまう。
日本の援交とオヤジ狩りにインスパイアされたという本作。『赤い航路』を観た後
だったので、「ポランスキーはオスカー受賞したわ」というセリフにドキリ。テーマ
カラーである赤、しかも「血の赤」が強烈な印象を残す。観て損はない、というより、
観ないと損するゾ。「・・・なんてね」
(『ハードキャンディ』監督:デヴィッド・スレイド/2005・USA/
主演:パトリック・ウィルソン、エレン・ペイジ)
テーマ : この映画がすごい!!
ジャンル : 映画
母と娘、女たち~『ボルベール<帰郷>』

VOLVER
ライムンダ(ペネロペ・クルス)は美しく働き者で、激しい気性の女性。三年前に
両親を火事で亡くし、姉のソーレ(ロラ・ドゥエニャス)や一人娘のパウラ(ヨアンナ
・コボ)らと墓参りを欠かさない。失業中の夫、育ての親である伯母、二つの身近な
死によって、ライムンダは無理やり蓋をして生きてきた過去と向き合うことになる・・。
『オール・アバウト・マイ・マザー』『トーク・トゥ・ハー』に続く、スペインを代表する映画
監督、ペドロ・アルモドバルによる「女性賛歌三部作」の最終章。
2006年のカンヌ映画祭では脚本賞と主演女優賞(6人のアンサンブル演技による)を
受賞し、ペネロペ・クルスは初めてアカデミー主演女優賞にノミネートされた。
現代社会が抱える問題を盛り込み、シリアスだった前二作に比べ、重いテーマは
そのままにコミカルな作劇が加味された感動作。生老病死、人生の節目で交錯する
女たちの因果を、生命力溢れる「赤」をテーマカラーに描き出している。アルモドバル
作品はここ10年ほどのものしか観ていないが、その中では一番好きかもしれない。
全ての女性に観て欲しい。
カンヌの女優賞が6人の主演女優に対して贈られたことからわかるように、本作
では女性たちが皆、実に活き活きと輝いている。中でもペネロペ・クルスの美しさ
は特筆に値する。くっきりと引かれたアイラインとマスカラは意志的な瞳を際立た
せ、小さな顔に完璧な造作、美しく伸びた手足に豊かな谷間。彼女を観るためだけ
に映画館に足を運んだとしても、誰も無駄足だったとは思わないだろう。

勿論、ペネロペの容姿だけを称賛するつもりはない。若くして決して望まない形
で母となり、夢を捨て、逞しく生きるライムンダという女性。ペネロペ・クルスは
髪の先まで彼女に成り切って、どっしりとした大地のように生き、娘を守る母親を
演じる姿は母性そのもの。圧巻はやはり、生ギターの伴奏で『ボルベール<帰郷>』を
唄う場面。母への思慕、若く夢に輝いていた頃への郷愁が情感溢れる歌声から伝わ
り、思わず涙してしまった。
そんな彼女が、母との再会後はすっかり「娘」の顔になっているところがまた凄い!
生きていた頃は見失ってしまった絆が、死を乗り越えて戻ってくる。「ママ、話したい
ことがたくさんあるの」一人で抱えてきた重荷を、これからは母と二人で抱えることが
できる。安堵とともに、犯した罪と喪われたものたちへの畏れに満ちた母娘の抱擁が
切ない。
ペネロペの脇を固めるライムンダの家族たちも、それぞれ味わい深い名演を披露
する。母イレネ(カルメン・マウラ)の、いたずらっぽい笑顔に隠された悲しみと苦悩。
故郷の隣人アグスティナ(ブランカ・ポルティージョ)の孤独、姉ソーレの思いやり。
母であり、娘であり、そして何よりも「女」である彼女たち。コミカルでありながら、
生命を生み出し、見送る女性への敬意と愛情がひしひしと伝わってくる作品。
女であることに誇りを持ち、強く生きていこうと思わせてくれた。
(『ボルベール<帰郷>』監督・脚本:ペドロ・アルモドバル/2006・スペイン/
主演:ペネロペ・クルス、カルメン・マウラ、ロラ・ドゥエニャス)
~バトン、いただきました~
7月に入り、今年も既に上半期が終わってしまったのですね~。。しかしまだ
今年は半分残ってます!暑さにメゲズ、今日は元気にバトン記事をアップいたし
ます。お題は「題名に名前がある人がビックリして受け取るバトン」です。
このバトン、前にもいただいたのですが設問が全く異なります。バトンってホント、
尽きないですよね~。。いつもお世話になっております「UkiUkiれいんぼーデイ」
のなぎささまからいただきました!なぎささま、ありがとうございます!ルール
は以下の通りです。
1)必ずバトンを回す4人の大切な方々を題名に書いて驚かせてください!
→すみません、今回これはパス!アンカーということでお許し下さい。
2)回ってきた質問には等身大の自分で答えましょう!
→はい、では162cmの私で答えます!
3)やらない子は、月に変わってお仕置きです!
→やりますからぶたないで~。
4)ルールは必ず記載してください!
→はい、書きましたからぶたないで下さい。
それではスタートです。等身大の当ブログ管理者:真紅に興味ある方だけお付き
合い下さいませ~。
--------------------------------------
1 おいくつですか?
あ、お砂糖は結構です。(古典的ボケ)
2 ご職業は?
現在無職&求職中です。雇ってくれ・・。
3 資格は持ってる?
フィリップ・マーロウによると、「やさしくなければ生きている資格がない」
そうですよ。生きる資格、あるかな~??
4 今、悩みが何かありますか?
いくつかありますが・・。最も下らない(と自分で思う)悩みは、
9月に出る『ラブソングができるまで』のDVD特別版を買おうか、どうしようか?
ということ。絶対欲しいのですが、な~んかすぐに廉価版が出そうじゃないですか?
あ~、『恋は突然』のPVをウチのテレビで観たい~。。

これこれ。もう、大爆笑
5 あなたの性格を一言で言うと?
真面目(ほんまか・・)
6 誰かに似てるって言われたことある?
今井美樹が「ハナマルキ」のCMで「合わせるのが、味噌」と言っていた頃、よく
似てると言われました。あと、木村佳乃に似てると言われたこともある!
「誰それに似てる」って、褒め言葉なんですかね? そう言えば最近言われない気が
するな~、これって新しい出会いがないってことかも。
7 人見知りしちゃう?
全然しません。
8 ギャンブルは好き?
好きじゃないし全くやりませんが、GⅠで勝った馬は気になります。
9 好きな食べ物飲み物、嫌いな食べ物飲み物は?
好き:甘いもの、紅茶、お水、アルコール類(全く飲めないけど好き!)
甘いものが好きですが、飲み物は甘くないのがいい!
嫌い:練り物全般、牛乳
10 恋人はいる?
恋人はいませんが、想い人はいつもいます。
11 彼氏・彼女にするならこんな人が理想(5つ)
1.やさしくて、2.背が高くて、3.包容力があって、4.知識が豊富で、
5.ドライブが好きな人!きゃ~♪
12 彼氏・彼女と喧嘩した時、自分から謝れますか?
自分が悪いと思ったら謝ります。
13 親友と呼べるお友達は何人いる?
4人。いつもありがとう。
14 バトンを回してきたあの人…正直この人のコトは○○である。
なぎささま・・・正直なぎささまのコトは大好きです。
なんだか、すっごくパワーのある女性のような気がします。私はヘタレで勇気が
ないので、見習わなければ~と思うこと多々です。HNの由来にはビックリ!
今後ともよろしくお付き合い下さいませ~。
15 ペットは何を飼っている?
魚がいます。
16 今までの自分の経験で面白い事や自慢できる事は?
面白くも自慢でもないですが・・。藤原紀香と陣内智則が婚約発表した頃、御堂筋
沿いを歩いていると陣内さんがタクシーから降りてきたところに遭遇!
急いでいたようで、走り去ってゆく彼に思わず「陣内さ~ん、おめでとうございま~す」
と声をかけると、なんと振り向いて会釈してくれたのですよ!
陣ちゃん、好感度高いわ~と思いました。お幸せに。
17 このためなら1食抜ける!
何が何でも何かを口に入れるタイプ。クッキー一個でも一食とします。
血糖値が下がると何もできない~(by『ダイ・ハード4.0』のマット)
18 趣味・特技(いくつでもOK)
映画鑑賞と読書。そしてその感想を書くこと。特技はないです(悲)
19 好きなブランドはある?
ラルフローレン
20 今、行きたいとこは?
東京に行って映画いっぱい観たい!『街のあかり』とかケン・ローチ特集とか。
21 もし、自由に使える100万があったら何に使う?
↑上の答え、東京での豪遊費用に。
22 未来の夢を語ってください
まだ行ったことのない、世界の国々を旅してみたいです。イグアスの滝、NY、
ヨーロッパならオランダ、ベルギー、北欧諸国やアイスランド。プラハやウィーン
にも。留学もしてみたい。
23 その夢のために何かしていることはある?
実は、↑上の設問に、ハタと考え込んでしまいました。最近、夢や目標に向かっ
て頑張るってことをしていないなぁ、と・・・。夢について考えることさえなかった
ような。これって、現状に満足しているのか、それとも日々の生活に追われて夢を
失ってしまったかのどちらかですね。もう一度、自分の人生を見つめなおしてみた
いと思いました。
バトンを回す4人の紹介をお願いします。
アンカーですが、どうぞご自由にお持ち帰り下さいませ~。
以上です、なぎささま、そしてお付き合いいただいた方、ありがとうございます。
お疲れ様でした~♪
----------------------------------------
コピペ用
●ルール●
1)必ずバトンを回す4人の大切な方々を題名に書いて驚かせてください!
2)回ってきた質問には等身大の自分で答えましょう!
3)やらない子は、月に変わってお仕置きです!
4)ルールは必ず記載してください!
1 おいくつですか?
2 ご職業は?
3 資格は持ってる?
4 今、悩みが何かありますか?
5 あなたの性格を一言で言うと?
6 誰かに似てるって言われたことある?
7 人見知りしちゃう?
8 ギャンブルは好き?
9 好きな食べ物飲み物、嫌いな食べ物飲み物は?
10 恋人はいる?
11 彼氏・彼女にするならこんな人が理想(5つ)
12 彼氏・彼女と喧嘩した時、自分から謝れますか?
13 親友と呼べるお友達は何人いる?
14 バトンを回してきたあの人…正直この人のコトは○○である。
15 ペットは何を飼っている?
16 今までの自分の経験で面白い事や自慢できる事は?
17 このためなら1食抜ける!
18 趣味・特技(いくつでもOK)
19 好きなブランドはある?
20 今、行きたいとこは?
21 もし、自由に使える100万があったら何に使う?
22 未来の夢を語ってください
23 その夢のために何かしていることはある?
バトンを回す4人の紹介をお願いします。
今年は半分残ってます!暑さにメゲズ、今日は元気にバトン記事をアップいたし
ます。お題は「題名に名前がある人がビックリして受け取るバトン」です。
このバトン、前にもいただいたのですが設問が全く異なります。バトンってホント、
尽きないですよね~。。いつもお世話になっております「UkiUkiれいんぼーデイ」
のなぎささまからいただきました!なぎささま、ありがとうございます!ルール
は以下の通りです。
1)必ずバトンを回す4人の大切な方々を題名に書いて驚かせてください!
→すみません、今回これはパス!アンカーということでお許し下さい。
2)回ってきた質問には等身大の自分で答えましょう!
→はい、では162cmの私で答えます!
3)やらない子は、月に変わってお仕置きです!
→やりますからぶたないで~。
4)ルールは必ず記載してください!
→はい、書きましたからぶたないで下さい。
それではスタートです。等身大の当ブログ管理者:真紅に興味ある方だけお付き
合い下さいませ~。
--------------------------------------
1 おいくつですか?
あ、お砂糖は結構です。(古典的ボケ)
2 ご職業は?
現在無職&求職中です。雇ってくれ・・。
3 資格は持ってる?
フィリップ・マーロウによると、「やさしくなければ生きている資格がない」
そうですよ。生きる資格、あるかな~??
4 今、悩みが何かありますか?
いくつかありますが・・。最も下らない(と自分で思う)悩みは、
9月に出る『ラブソングができるまで』のDVD特別版を買おうか、どうしようか?
ということ。絶対欲しいのですが、な~んかすぐに廉価版が出そうじゃないですか?
あ~、『恋は突然』のPVをウチのテレビで観たい~。。

これこれ。もう、大爆笑
5 あなたの性格を一言で言うと?
真面目(ほんまか・・)
6 誰かに似てるって言われたことある?
今井美樹が「ハナマルキ」のCMで「合わせるのが、味噌」と言っていた頃、よく
似てると言われました。あと、木村佳乃に似てると言われたこともある!
「誰それに似てる」って、褒め言葉なんですかね? そう言えば最近言われない気が
するな~、これって新しい出会いがないってことかも。
7 人見知りしちゃう?
全然しません。
8 ギャンブルは好き?
好きじゃないし全くやりませんが、GⅠで勝った馬は気になります。
9 好きな食べ物飲み物、嫌いな食べ物飲み物は?
好き:甘いもの、紅茶、お水、アルコール類(全く飲めないけど好き!)
甘いものが好きですが、飲み物は甘くないのがいい!
嫌い:練り物全般、牛乳
10 恋人はいる?
恋人はいませんが、想い人はいつもいます。
11 彼氏・彼女にするならこんな人が理想(5つ)
1.やさしくて、2.背が高くて、3.包容力があって、4.知識が豊富で、
5.ドライブが好きな人!きゃ~♪
12 彼氏・彼女と喧嘩した時、自分から謝れますか?
自分が悪いと思ったら謝ります。
13 親友と呼べるお友達は何人いる?
4人。いつもありがとう。
14 バトンを回してきたあの人…正直この人のコトは○○である。
なぎささま・・・正直なぎささまのコトは大好きです。
なんだか、すっごくパワーのある女性のような気がします。私はヘタレで勇気が
ないので、見習わなければ~と思うこと多々です。HNの由来にはビックリ!
今後ともよろしくお付き合い下さいませ~。
15 ペットは何を飼っている?
魚がいます。
16 今までの自分の経験で面白い事や自慢できる事は?
面白くも自慢でもないですが・・。藤原紀香と陣内智則が婚約発表した頃、御堂筋
沿いを歩いていると陣内さんがタクシーから降りてきたところに遭遇!
急いでいたようで、走り去ってゆく彼に思わず「陣内さ~ん、おめでとうございま~す」
と声をかけると、なんと振り向いて会釈してくれたのですよ!
陣ちゃん、好感度高いわ~と思いました。お幸せに。
17 このためなら1食抜ける!
何が何でも何かを口に入れるタイプ。クッキー一個でも一食とします。
血糖値が下がると何もできない~(by『ダイ・ハード4.0』のマット)
18 趣味・特技(いくつでもOK)
映画鑑賞と読書。そしてその感想を書くこと。特技はないです(悲)
19 好きなブランドはある?
ラルフローレン
20 今、行きたいとこは?
東京に行って映画いっぱい観たい!『街のあかり』とかケン・ローチ特集とか。
21 もし、自由に使える100万があったら何に使う?
↑上の答え、東京での豪遊費用に。
22 未来の夢を語ってください
まだ行ったことのない、世界の国々を旅してみたいです。イグアスの滝、NY、
ヨーロッパならオランダ、ベルギー、北欧諸国やアイスランド。プラハやウィーン
にも。留学もしてみたい。
23 その夢のために何かしていることはある?
実は、↑上の設問に、ハタと考え込んでしまいました。最近、夢や目標に向かっ
て頑張るってことをしていないなぁ、と・・・。夢について考えることさえなかった
ような。これって、現状に満足しているのか、それとも日々の生活に追われて夢を
失ってしまったかのどちらかですね。もう一度、自分の人生を見つめなおしてみた
いと思いました。
バトンを回す4人の紹介をお願いします。
アンカーですが、どうぞご自由にお持ち帰り下さいませ~。
以上です、なぎささま、そしてお付き合いいただいた方、ありがとうございます。
お疲れ様でした~♪
----------------------------------------
コピペ用
●ルール●
1)必ずバトンを回す4人の大切な方々を題名に書いて驚かせてください!
2)回ってきた質問には等身大の自分で答えましょう!
3)やらない子は、月に変わってお仕置きです!
4)ルールは必ず記載してください!
1 おいくつですか?
2 ご職業は?
3 資格は持ってる?
4 今、悩みが何かありますか?
5 あなたの性格を一言で言うと?
6 誰かに似てるって言われたことある?
7 人見知りしちゃう?
8 ギャンブルは好き?
9 好きな食べ物飲み物、嫌いな食べ物飲み物は?
10 恋人はいる?
11 彼氏・彼女にするならこんな人が理想(5つ)
12 彼氏・彼女と喧嘩した時、自分から謝れますか?
13 親友と呼べるお友達は何人いる?
14 バトンを回してきたあの人…正直この人のコトは○○である。
15 ペットは何を飼っている?
16 今までの自分の経験で面白い事や自慢できる事は?
17 このためなら1食抜ける!
18 趣味・特技(いくつでもOK)
19 好きなブランドはある?
20 今、行きたいとこは?
21 もし、自由に使える100万があったら何に使う?
22 未来の夢を語ってください
23 その夢のために何かしていることはある?
バトンを回す4人の紹介をお願いします。
愛より速く~『赤い航路』

BITTER MOON
妻と結婚七年目のクルーズ旅行に出たナイジェル(ヒュー・グラント)は、船上で
車椅子に乗ったオスカー(ピーター・コヨーテ)と知り合う。彼は自分と妻ミミ(エマ
ニュエル・セニエ)との関係を語りはじめ、ナイジェルはあからさまな性生活の暴露
に嫌悪感を憶えつつも好奇心に抗えず、次第にミミの虜となってゆく・・。
監督は鬼才ロマン・ポランスキー、製作と脚色(共同)も手がけている。ヴァンゲリスの
音楽も印象的な異色作。
この映画を観たいと思ったきっかけは、先日紹介した沢木耕太郎氏の『「愛」という言葉
を口にできなかった二人のために』で取り上げられていたから。沢木氏も随分賞賛して
いたし、調べてみるとヒュー・グラント主演ではないか!ビデオの裏には「『愛人/ラマン』
より叙情的、『氷の微笑』より衝撃的、愛の天国と地獄」という宣伝文。これはちょっと、
よい子は観ちゃダメ!系な映画かも?と思いつつ鑑賞。
彼らがクルーズしているのは地中海(もしくはエーゲ海)なはずなのに、海はオープ
ニングからエンドクレジトに至るまで暗く、厳しい。ナイジェル夫婦は念願のクル
ーズのはずなのに、全く楽しそうに見えない。後にこの夫婦には子どもを巡る意見
の相違があり、倦怠期を乗り切るための旅行であることがわかる。閉じ込められた
洋上の、退屈な船旅。
オスカーの語る、ねじれた愛憎物語。観るものは聞き入るナイジェルに同化し、
愛と憎しみ、欲望と倦怠、加虐と被虐が交錯し、逆転する流れから目が離せなくな
る。乗りかかった船から降りることはできない、本作ではオスカー夫妻に翻弄され
る、情けなさ100%のヒュー・グラントの演技が光っている。

オスカーは祖父から莫大な財産を相続し、作家を夢見てアメリカからパリに移り
住んだ高等遊民。働かずとも水準以上の生活を維持し、酒と女遊びに明け暮れる。
しかし彼の内面は、40歳になっても何も成し遂げていない、本の一冊も世に問うて
いない負い目で病んでいた。その歪みが、極端な性生活やミミへの加虐に現れる。
ダンサーを目指しつつウェイトレスとして働くミミもまた、オスカーとの果てし
ない愛欲に溺れ、自分を見失ってゆく。中身のない二人の関係に倦怠が訪れ、破綻
してゆくのもただ時間の問題だった。
過激そうに見える性描写も、さほど官能的ではない。あまりにも極端なため、
健全ではないスポーツの一種のように見えてしまう。意外な愛の行方には「それも
ありか・・」という感じ。偶然の出会いと再会、後戻りできない場所まであまりに速く、
深みまで堕ちてしまった彼らの最期は、ある意味納得かもしれない。
肉欲を貪り、愛に気付くのが遅すぎたオスカーとミミ。彼らとあまりに対照的に
見えたナイジェルとフィオナ(クリスティン・スコット・トーマス)夫妻も、結局は
同じ船上の囚われ人なのかもしれない。抱き合う二人に幸多かれ。
(『赤い航路』監督・製作・脚本:ロマン・ポランスキー/1992、英・仏/
主演:ピーター・コヨーテ、エマニュエル・セニエ、ヒュー・グラント)
それでも生きてゆこう~『マイ・ネーム・イズ・ジョー』

MY NAME IS JOE
スコットランドの町で、一人暮らしのジョー(ピーター・ミュラン)。断酒会に通い、
失業中ではあるが仲間たちと結成したサッカーチームのコーチとして、厳しくもさ
さやかに暮らしていた。健康管理センターの保健婦セーラ(ルイーズ・グッドール)と出会
い惹かれ合うが、甥のリアム(デヴィッド・マッケイ)が起こしたいざこざが元で、二人
の仲はこじれてしまう・・。
ケン・ローチがスコットランド・グラスゴーを舞台に描く、労働者階級の人々の
厳しい生の現実と、それをさらに狂わせるアルコールとドラッグの恐ろしさ。ユー
モアを交えながら、主人公たちを温かい視線で包むケン・ローチのやさしい語り口
が、観るものの心を捉えて離さない。ジョーを演じたピーター・ミュランは、1998年
のカンヌ映画祭主演男優賞を受賞している。
英国の至宝と謳われるケン・ローチの映画をいくつか観てきた。徹底したリアリ
ズムで英国労働者階級の厳しい現実を描く手法ながら、彼の作品がただ暗く、滅入
るだけの映画にはならないのは、ケン・ローチのヒューマニズム、温かくやさしい
まなざしが画面から常に感じられるからだと思う。厳しいけれど、やさしい。声高
に悪を糾弾することなく、公平に、冷静に事実を提示する。どの作品も本当に素晴
らしく、ダイレクトに胸に響いてくる。私はまだケン・ローチ初心者だけれど、彼
を心の中で「お父さん」と呼んでいます。
この映画は、先日観た『SWEET SIXTEEN』と対になる作品のような気がする。
本作のリアムは、やさしさゆえにヤク中の妻を切れず、叔父のジョーを慕い、「自分
さえいなければ」と取り返しのつかない行動に出てしまう。あまりに悲惨な最期ゆえ、
彼をもう一度、聡明で勇気ある少年リアムとして生き直させた作品が『SWEET
SIXTEEN』であるような気がした。

面倒見がよく、ユーモアと不器用なやさしさを持つジョーがいい。失業中で後頭
部も薄く、持っているのは「ジョーという名前だけ」。さえない中年だけれども、常に
彼に寄り添う親友シャンクス(ゲイリー・ルイス)と同じように、観るものもジョーに
寄り添わずにはいられなくなる、魅力溢れた主人公だ。
彼と恋に落ちるセーラも、福祉局に勤め、一人暮らしながら温かさを求めて生き
ていた。断酒したジョーの話を聞きながら「私も自分が許せない」と言うセーラ。
イヤリングはよくても、指輪は受け取れないと言うセーラ。彼女の心の傷は明かさ
れないけれど、過去に心を残して生きている女性だということは暗示されている。
「警察にも行けない、ローンも組めない、スラムから抜け出せず生き方さえ選べない」
ジョーの叫びが胸に痛い。スラムに生きる誰も悪くはない、なのに底なしの人生に
希望も見えないのは何故なのだろう? ジョーは身近な人間を守るために、悪魔に
魂を売ろうとした。それが新たな不幸を生み、貧困を再生産させることに思い至ら
ずに。しかし、一体誰がジョーを責められるというのだろう?
神に祈り、断酒に成功したジョーがどうしようもなく再び酒に手を出したとき、
神への祈りは聞き入れられなかった。リアムの息子スコットの手を握るジョー。彼
と肩を並べて歩き出したセーラの姿に、希望が見えると信じたい。ジョーは父親に
なるのだから。
(『マイ・ネーム・イズ・ジョー』監督:ケン・ローチ/脚本:ポール・ラヴァーティ/
主演:ピーター・ミュラン、ルイーズ・グッドール/1998・スペイン、伊、仏、英、独)