姐さん、事件です~『ブリジット・ジョーンズの日記』第三作?!

なんと、『ブリジョ』パート3が製作されるようです!
しかし、まだ原作は未完成、おまけにその内容たるや・・。
「ブリジットがダニエルの子どもを産む寸前」ってアンタ、どーゆーこと?!?!

で、マーク・ダーシーはどーなるわけ?! あぁ、気になるなぁ・・。
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紳士の真摯な眼差し~『高慢と偏見』BBC版

1995年、イギリスはBBCで製作されたこのTV映画、放映されるや大人気を博し、
Mr.ダーシー役のコリン・ファースは大ブレイク、放映時間には街から人が消えた、
という逸話が残るほどの作品なんです。『プライドと偏見』を観て「このダーシーは
違う!」と思ったものだから、観たい思いは募れどDVDは高値の花。何年も前にNHK
でも放映されたらしいけれど、後の祭り。ああ、再放送してくれぇ。。などと思って
いたところ、なんと貸して下さる方がいらっしゃったのです!その方のご好意に甘えさ
せていただいて鑑賞いたしました。ありがとうございます!
『プライドと偏見』も、2時間少々という尺の中で巧くまとまっていましたし、キーラ
・ナイトレイ嬢の好演とオールロケによる田園風景が美しい素晴らしい作品ではあり
ました。しかし、どうしてもマシュー・マクファディン演じるMr.ダーシーに不満だ
ったんですね・・。私は『ブリジット・ジョーンズ』のMr.ダーシー=コリン・ファース、
が大好きですから。
実際に鑑賞してみて、『ブリジョ』の原作者ヘレン・フィールディングの気持ちが
よ~くわかりました。このTV映画の放映時、翌日のオフィスではOLさんたちがランチ
ルームや給湯室で「Mr.ダーシー素敵よぉ~」「リディア最悪ムカツク!」なんておしゃ
べりしてたんでしょうね。そしてヘレン・フィールディングも、そんな女の子の一人
だったのでしょう。
300分という長尺のこのTV映画は、原作の世界観を忠実に再現することを目的に
製作されたそうです。確かに、映画版と比べると個々のエピソードや人物描写が非常
に丁寧で、わかりやすい。ベネット家の面々やピングリー、ウィッカム、コリンズら、
皆キャラクターが立っていてそれぞれに魅力的です。相変わらずベネット夫人は強烈
キャラだし、優等生タイプでかわいげのないメアリー、世間知らずで我がままな「英国
一のバカ娘」キティとリディアという、妹たちの性格もよくわかります。皆18世紀的
面立ち、というかクラシックな顔立ちで、キャスティングが素晴らしい。
リジー役のジェニファー・エール、分別があって賢明であるけれども、偏見にしばら
れがちな性格でもある勝気な女性を好演していると思いました。まぁ外見は好みがあ
ると思いますが・・(笑)。そしてお目当てのMr.ダーシー=コリン・ファース。
彼の存在なしにはこの作品は成立しないと思わせるほど、滅茶苦茶はまってます。最初
はいかにもお金持ちの鼻持ちならない高慢男、なのですが、中盤以降徐々に彼本来の
内に秘めた情熱や愛情を表すようになるんですね、言葉ではなくその瞳、眼差しで!
これはもう必見です、私も放映当時に戻って、給湯室でイギリスのOLさん方と盛り上
がりたい(笑)。ただ、映画版に負けていると感じたのは(キャサリン)デ・バーグ令夫人。
これはディム・ジュディ・デンチの迫力には敵いませんでしたね。いや~、あれは強烈
過ぎましたから・・。それと、ジェーンがピングリーにようやく求婚されるという待ち
に待った場面が無い!それまで散々悲しい思いをしてきた心優しきジェーンの晴れ舞台
ですから、せめて「彼がひざまずいた!」(by『いつか晴れた日に』)くらいの演出はして
欲しかったな、と・・。「家族に幸せを与えられるのね!」という、どこまでも純粋で
人を疑うことを知らず、家族思いなジェーンのセリフにジ~ンと来ました(涙)。あと、
キスシーンにエンドロール被せるの、止めてくれる?(笑)
そしてこの作品へのオマージュは『ブリジョ』にとどまらず、あの名作『ラブ・アク
チュアリー』にもあるのでは?と思いました。コリン・ファース演じる作家のジェイミー
が、湖に飛び込むシーン。イギリスの皆さんはこの場面でニヤリとしたのではないでし
ょうか? 本当に完成度の高い、観る価値は十二分にある作品だと思います。『プライド
と偏見』お好きな方には是非オススメしたい。『ブリジョ』や『ラブ・アクチュアリー』
再見したくなりました!
(『高慢と偏見』監督:サイモン・ラントン/原作:ジェーン・オースティン
主演:コリン・ファース、ジェニファー・エール/1995・英BBC)
愛の崩壊、家族の再生~『パリ、テキサス』

『アメリカ、家族のいる風景』を観たら、やはりどうしても再見したくなってしまった。
初見がいつだったのか、全く記憶がない。劇場で観たのか、ビデオ鑑賞だったのか
さえ定かでない。実は、あまりいい印象を持たなかったのだ。
とにかく、ハリー・ディーン・スタントン演じるトラヴィスという人物が、当時の
私にとっては理解不能だった。どうして砂漠を歩いているのか、どうしてまた去って
ゆくのか。(精神的に)今よりずっと子どもだった私に理解できたのは、ナスターシャ・
キンスキーの息を呑むほどの美しさだけだったのかもしれない。
少しだけ、大人になった今はわかる。どうしてトラヴィスが去らなければならなか
ったのか。ようやく打ち解けた父と旅に出るハンターの気持ち、一人男たちの声に耳
を傾け続けるジェーンの辛さ、「会いたくて死にそう」になるくらい、細胞の一つ一つに
沁み込んでいる彼女の息子への思い。可愛い盛りの3歳から4年間育てたハンターが
消えてしまうのではないか、というアンの不安。息子と妻と、兄への思いに引き裂か
れ、苛立つウォルトの苦悩。決して多くは語らない彼らの心の中が、美しい映像を通
して響いてくる。ライ・クーダーのギターのように。
そしてやはり、白眉は覗き部屋でのシーン。トラヴィスのモノローグにより、彼ら
の過去がゆっくりと明かされてゆく。頬に流れる涙、背を向けて語る真実、マジック
ミラー越しに重なる二人の顔。愛しすぎた故の不安と嫉妬、そこから生じた狂気と悲劇。
新しい家族は二人の結びつきを強めるかすがいではなく、決定的に引き裂く原因とな
ってしまった。しかしそれは誰にも、どうしようもなかったことなのだ。
静かな母子の再会と抱擁。それを確認して夕陽の中を去ってゆくトラヴィスの横顔
には、涙ではなく微笑がかすかに浮かんでいる。彼は再び「国境の南」を目指すのか。
約束の地、テキサス州パリに辿り着き、そこから彼自身も再生してゆくと信じたい。
乾いたアメリカの風景、透明な空の青、トラヴィスとハンターの着る赤いシャツ。
ああ、これは星条旗の色なんだ・・、と気付く。望遠鏡が探す視線の先にはためく星条旗
がここでも印象的だ。モノクロの8ミリビデオの映像も美しい。ジョン・ルーリーの顔
が一瞬でも観られたのも、懐かしくうれしかった。
「名作」「傑作」は数あれど、多くの人にとって、そして私にとっても忘れられない映画
のひとつであることは間違いない。映像と音楽が調和した、美しさ以上の何かがそこに
ある。
(『パリ、テキサス』監督:ヴィム・ヴェンダース/
主演:ハリー・ディーン・スタントン、ナスターシャ・キンスキー/
1984・西ドイツ、フランス)
紫煙の向こうのダンディズム~『グッドナイト&グッドラック』

1953年、アメリカではいわゆる「赤狩り」、共産主義者の排斥活動が上院議員
マッカーシーの下で激しさを増していた。CBSの報道キャスター、エド・マロー
(ディヴィッド・ストラザーン)と彼を支えるスタッフたちが、本当の自由を守る
ために不当な権力に立ち向かった、実話に基づく物語。
「赤狩り」と言えば、数年前のアカデミー賞授賞式を思い出します。この時代に
密告者としてハリウッドから追放されたエリア・カザン監督が名誉賞を受賞し、
壇上に上がった彼を迎えた会場の反応が印象的でした。スタンディング・オベー
ションする人、座ったまま拍手する人、ブーイングはしないまでも身じろぎもしな
い人、それぞれが混在していて、ハリウッドでもこの問題は終ったわけではないのだ
な、と感じたものです。
感動大作というわけでは決してないけれど、物凄く上品でシンプル、巧くまとま
った映画、という印象を受けます。ジョージ・クルーニー監督、素晴らしいじゃな
いですか・・。題材からして、もっと緊迫したサスペンス仕立ての映画にもできた
と思うのですが、劇中に流れるジャズ・ヴォーカルのように心地よく、淡々と物語
は流れていきます。最初と最後に、エド・マローがスピーチに立つパーティのシーン
が挿入されるので、マローvs.マッカーシーの対決がどうなったか、ハラハラせず
に安心して観ることができます。アカデミー賞はじめ多くの映画賞で評価されたの
も納得です。

主演のディヴィッド・ストラザーンもいいです。いつもタバコをくゆらせ(番組
中はもちろん、CBS会長と面談するときでさえタバコを持っている!)、ほとんど
無表情でニュースを伝えるそのアンカーマンぶり。最後の決めセリフ「グッドナイト
、&グッドラック」と言うときもニコリともせず、逆にちょっと俯き加減になると
ころもまた渋いです。彼はハリウッドで、決してメインストリームの俳優ではなかっ
たと思うのですが、こうして主演を張っても全く見劣りしない。ハリウッドの俳優
の層の厚さを感じますね。2006年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた5作品
中、これで4作品『グッドナイト&グッドラック』『カポーティ』『ウォーク・ザ・ライン』
『ブロークバック・マウンテン』を観ましたが(もう一作は『ハッスル&フロー』主演:
テレンス・ハワード)、誰が受賞してもおかしくない、本当にレベルの高い主演男優
たちだと思います。
マローの盟友であり、プロデューサーのフレッドを演じたのは監督・脚本も兼任す
るジョージ・クルーニー。ハリウッドでもっともセクシーな男に選出されるほどの
いい男ぶりと色気をここでは封印して、モノクロの美しい映像の中で静かに権力と
闘う男を演じています。スティーブン・ソダーバーグと組んだ製作会社セクション・
エイトは解散するようですが、今後も彼の監督作品を観たいですね。
ジョー(ロバート・ダウニー・Jr)とシャーリー(パトリシア・クラークソン)が
夫婦であることを隠している、社内結婚はご法度、というエピソードには驚きました。
アメリカ、全然自由の国じゃないじゃん(笑)。
ジャーナリズムの中核にありながら、スポンサーに支配されるテレビという媒体が
内包せざるを得ない問題や、自由を守るために異端者を排斥することが逆に万人の
自由を奪うことになる、という現代にも通じる、まさしく『See it Now』な問題が
提起された社会派の作品でした。とは言ってもガチガチの硬派な映画と言うよりは、
男たちのダンディズムをクールに描いた秀作、という感じでしょうか。ジョージ・
クルーニーがキング・オブ・ハリウッドの座に君臨していることも納得、の一本です。
(『グッドナイト&グッドラック』監督:ジョージ・クルーニー/
主演:ディヴィッド・ストラザーン、ジョージ・クルーニー/2005・USA)
迷う男、強い女~『アメリカ、家族のいる風景』

カンヌでパルムドールを受賞した、言わずと知れた名作『パリ、テキサス』の監督・
脚本コンビ、ヴィム・ヴェンダースとサム・シェパード。彼らが20年ぶりにタッグを
組んだ本作。主演にも、ヴェンダース念願のサム・シェパードが登場している。
落ちぶれた西部劇俳優ハワード・スペンス(サム・シェパード)は、ある日突然撮影
現場から逃走し、30年間音信不通だったネバダ州の母の元へ向かう。思いもかけず、
母から子どもの存在を知らされたハワードは、父の遺した車を走らせ、モンタナのかつ
ての恋人のもとへ向かうのだった・・。
ヴェンダースの念願だったというこの作品の製作が資金面から頓挫したとき、気分転
換の為にわずか16日間で撮られたのが『ランド・オブ・プレンティ』。ミシェル・ウィリ
アムズ主演のこの作品に感銘を受けてから、ずっと観たいと思っていた。期待に違わぬ、
素晴らしい作品でした。
★以下ネタバレします★
主演のサム・シェパードはもちろん文句なしの存在感なのだけれど、私が感銘を受け
たのは三人の女優たち。ハワードの母を演じたエヴァ・マリー・セイントは、往年の名
女優だという。30年ぶりに会う息子に対する距離感がいい。恨み言を並べるわけでも、
涙の再会に積もる話を添えるわけでもない。ただ淡々とそこに立つ息子を受け入れ、
寝床と食事を用意し、匿い、また見送る。一見醒めた親子関係に見えるけれど、息子の
記事を収集し続けた一冊のスクラップブックに、十分すぎる愛情が込められている。
ハワードの元恋人ドリーンを演じるのは、これもアメリカが誇る大女優、ジェシカ・
ラング。私生活でもサム・シェパードのパートナーである彼女、皺は増えてもスタイル
を維持し、美しくまとめた髪は色香が匂い立つよう。任されたダイナーには古いポスター、
「ジンジャーエール」その声を聞いただけで、長い長い年月を瞬時に飛び越えられるほど
思っている男にさえ執着しない。こんなに魅力的な女なら、郵便配達も二度ベルを鳴ら
すだろう。
息子の存在を知り、結婚を申し込んできたハワードを一喝する場面の彼女の演技は
圧巻。老境にさしかかり、人生に迷ったからって勝手なことを言わないで!私には私の、
息子には息子の人生がある!甘えないでよ!とばかりに突き放しながらその刹那、熱く
熱く抱き合うふたり。愛憎という言葉があるけれど、ハワードを憎みながらハワード
を愛した、何年経っても昇華しきれない思いが溢れ出したような演技には感動させら
れる。突然父親の存在を知らされた息子から「fuckしたんだろ」と罵倒される場面の
表情もいい。「あれはfuckじゃない、Make Loveよ」そう叫びたい気持ちをグっと
押さえ、母親として、息子の混乱を引き受ける彼女。

『マディソン郡の橋』は、やっぱりこのコンビで観たかったなぁ、と思うのは私だけ
だろうか?
そして、ハワードの娘スカイを演じたサラ・ポーリー。青い骨壷を抱えた不思議な
雰囲気のこの少女、ミシェルだったらどうかな・・、と思わないでもないけれど、ずっと
求め続けた父を目の前に、思いを告げる彼女は美しく、ハワードを包み込むような母性
さえ感じてしまった。
この三人の女性に共通する強さ。逃げ出したトレイラーに残った「Don't come
knocking(原題)」のボードが表すハワードの身勝手さとは対照的に、異性である
息子、元恋人、父に対する彼女たちの姿勢は、私自身の人生訓「決して逃げず、引き受け、
愛し、立ち去る」これを体現しているようで、理想の女性像を見たような思いだった。

音楽も非常に印象的。『パリ、テキサス』ではライ・クーダー、『ランド・オブ・プレン
ティ』ではレナード・コーエンのスコアが耳に残った。そして本作でも、T=ボーン・
バーネットが、美しい映像の背景としての音楽を奏でてくれる。
ユタ、ネバダ、モンタナ州というアメリカ北西部の乾いた風景、青空に映える星条旗
が眩しい。『ランド・オブ~』でも星条旗は象徴的に使われていたが、本作でも主人公
たちを見守るようにはためくのが印象的だった。
(『アメリカ、家族のいる風景』監督:ヴィム・ヴェンダース/
主演:サム・シェパード、ジェシカ・ラング/2004・米、独)
春樹をめぐる冒険~『A Wild Haruki Chase 世界は村上春樹をどう読むか』

2006年3月、国際交流基金の主催により、東京・神戸・札幌で行われた国際シンポ
ジウム&ワークショップ「春樹をめぐる冒険~世界は村上春樹をどう読むか」の全記録。
先日、フランツ・カフカ賞を受賞した村上春樹が、世界でどう読まれ、どう翻訳され
ているのか。そしてなぜ、世界は村上春樹を読むのか。世界17カ国から翻訳者、作家、
研究者が一同に会し、村上春樹作品について語り合っている。第二部のパネル・ディ
スカッションの模様は、NHKにより録画放映もされた。なお、タイトルの「A Wild
Haruki Chase」は、アルフレッド・バーンバウム氏により初めて英訳された長編
『羊をめぐる冒険』の英訳タイトル「A Wild Sheep Chase」をもじって銘打たれ
ている。
現在、朝日新聞紙上で「ふたつのMを追って~マンガと村上春樹」というシリーズが
連載されている。マンガと村上春樹という、日本発のふたつの文化が海外でどのように
受け入れられ、人気を博しているかを追ったこのレポートにも、村上春樹はフランス
でブランド化しているとあった。アジアの中国語圏でも「非常村上(すっごくムラカミ)」
「絶対村上(ばっちりムラカミ)」といった言葉が流行語として、新聞や雑誌に飛び
交い、韓国でも村上文学に影響を受けた「ハルキセデ(春樹世代)」なる若手作家たち
が出現しているという。
一般公募により参加者を募ったこのシンポジウム、私は参加は叶わなかったが、こ
うして一冊の本になった記録を読むだけで、会場の熱い空気が伝わってくるようだっ
た。本来黒子であるはずの翻訳者が一人の作家の吸引力によって一同に会し、自分た
ちが魅せられたその文学世界を語っているわけだから、村上春樹ファンにとっては面白
くないわけがないだろう。翻訳者は、一番熱心に、深く作品を読み込んでいる読者で
あるはずだから。漢字、ひらがな、カタカナの混在する日本語を、どう自国の言語に
置き換えるのか。私、僕、俺、などの一人称をどう訳し分けるのか、あるいは訳さな
いのか。彼らの翻訳という作業への情熱と、村上作品への敬意と愛が隅々にまで感じ
られる。興味のある方には、是非手にとっていただきたいと思う。
本書の詳しい内容は読んでいただくとして、一つ、興味深かった内容を紹介したい。
四方田犬彦氏による「村上春樹と映画」という短い章があり、そこでは村上作品と
映画との関わりが述べられている。私が驚いたのは、王家衛による『恋する惑星』から、
村上春樹の『風の歌を聴け』など初期作品の影響が圧倒的に感じられる、という部分。
私は『恋する惑星』は大好きで何度も観ているけれど、この作品から村上春樹の影響は
考えたことがなかった。確かに原題は『重慶森林』で、「明らかに」『ノルウェイの森』
に由来している、らしい。う~む、これって常識だったんだろうか、ちょっとショック
でした。
とても充実した内容の本書だけれど、村上作品の翻訳の先達、アルフレッド・バーン
バウム氏の発言が(氏の意志により)反映されていないことは非常に残念。「カズオ・
イシグロと村上春樹の文化的無臭性の相違についてのきわめて興味深い指摘」、う~ん、
読んでみたいじゃないですか。
(『A Wild Haruki Chase 世界は村上春樹をどう読むか』
柴田元幸、沼野充義、藤井省三、四方田犬彦・編/文藝春秋/2006)
~真紅的電車バトン~
皆さま、こんにちは。本日は、いつもお世話になっておりますブログ、映画を観よう
のDさまより、「電車バトン」なるものをいただきました。Dさまのブログは温かく、やさ
しさに溢れた素敵な場所です。私も見習わなければ!さて、今回のバトンは・・。
ルール
1.指定された【人物】について回答する。
2.バトンを回す人が【人物】を指定する。
Dさまが私に指定された人物とは・・・。ジェイク・ジレンホール!!

『Zodiac』の公開が待ち遠しいジェイク。ファンの皆々さま、お許し下さい。妄想
させていただきます!! それではスタート!
*電車待ちの列に【ジェイク】を発見!どうしますか?
え~、もうそれは舞い上がるでしょう!さりげなく接近します。でもかなり挙動不審
になってしまうと思います!
*【ジェイク】がとなりの席に!どうしますか?
キャー!さりげなくファッションチェック!スニーカーはいつものナイキかな?
それからチラリと、あの長過ぎる睫毛も確認!! sumisuさんからご指摘のあった
眉毛もチェーーック!(でも実際、そんな見てたらジェイクが席移りそう)
*【ジェイク】が寝てしまいました。どうしますか?
ここぞとばかりに寝顔を見つめますよ! 髪の毛はどんな感じかな? 腕時計は?
イエローバンドはしてる?「LIVESTRONG」の刻印も確認するですよ!
*爆睡中の【ジェイク】。突然あなたに寄りかかってきました! どうしますか?
ギャー!しかしここでうろたえていてはいけません。平静を装い、ジェイクを起こ
さぬよう、私も狸寝入り。うふふふふふふ
*もう直ぐあなたの降りる駅。まだ【ジェイク】は眠っています。どうしますか?
う~~む仕方無い!会社の同僚にメール「ごめん、今日休むわ。体調不良って伝え
といてくれる?」←いいんかい、こんなんで・・・(汗)
*終着駅に到着しても起きない【ジェイク】。どうしますか?
これは、車掌さんが点検に来る前に私が起こしてさしあげねば!
そ~っと揺り動かします。「あの~、終点ですよ~」
*やっとお目覚めの【ジェイク】。ちょっと寝ぼけている様子。どうしますか?
「ここは終点ですよ。ぐっすり眠っていたから・・・」と上目遣いで♪
*平謝りの【ジェイク】。お詫びに何でもしてくれるって!どうしますか?
じゃあ、お茶でも行きましょうか? ジェイクと好きな映画についてお話したいなぁ。
ジェイクって、一番好きな映画は何なんだろう? 一番好きな映画監督は?
これからどんな役をやってみたい? 製作に興味はあるの?
私は『ブロークバック・マウンテン』にいかに感銘を受けたか、語りたいです。
時間あったら、一緒に映画観に行きたいなぁ・・(でもジェイクが気になって、映画
どころじゃないかも)。
*もう直ぐ【ジェイク】とお別れです。最後に【ジェイク】に一言
今日はありがとう、楽しかったです・・と言おうとして目が覚めました。
私、英語しゃべれなかったんだ。。
夢だったのね。Dさま、いい夢をありがとうございました。
----------------------------------------
さて。お次は 日々散策 の くっちさんにお願いします!
人物は市川海老蔵で! よろしくお願いしま~す♪
海老サマ。「呼んだ?」
<<コピペ用>>
ルール
1.指定された【人物】について回答する。
2.バトンを回す人が【人物】を指定する。
*電車待ちの列に【】を発見!どうしますか?
*【】がとなりの席に!どうしますか?
*【】が寝てしまいました。どうしますか?
*爆睡中の【】。突然あなたに寄りかかってきました! どうしますか?
*もう直ぐあなたの降りる駅。まだ【】は眠っています。どうしますか?
*終着駅に到着しても起きない【】。どうしますか?
*やっとお目覚めの【】。ちょっと寝ぼけている様子。どうしますか?
*平謝りの【】。お詫びに何でもしてくれるって!どうしますか?
*もう直ぐ【】とお別れです。最後に【】に一言
P.S.ロバート・アルトマン監督が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。
のDさまより、「電車バトン」なるものをいただきました。Dさまのブログは温かく、やさ
しさに溢れた素敵な場所です。私も見習わなければ!さて、今回のバトンは・・。
ルール
1.指定された【人物】について回答する。
2.バトンを回す人が【人物】を指定する。
Dさまが私に指定された人物とは・・・。ジェイク・ジレンホール!!

『Zodiac』の公開が待ち遠しいジェイク。ファンの皆々さま、お許し下さい。妄想
させていただきます!! それではスタート!
*電車待ちの列に【ジェイク】を発見!どうしますか?
え~、もうそれは舞い上がるでしょう!さりげなく接近します。でもかなり挙動不審
になってしまうと思います!
*【ジェイク】がとなりの席に!どうしますか?
キャー!さりげなくファッションチェック!スニーカーはいつものナイキかな?
それからチラリと、あの長過ぎる睫毛も確認!! sumisuさんからご指摘のあった
眉毛もチェーーック!(でも実際、そんな見てたらジェイクが席移りそう)
*【ジェイク】が寝てしまいました。どうしますか?
ここぞとばかりに寝顔を見つめますよ! 髪の毛はどんな感じかな? 腕時計は?
イエローバンドはしてる?「LIVESTRONG」の刻印も確認するですよ!
*爆睡中の【ジェイク】。突然あなたに寄りかかってきました! どうしますか?
ギャー!しかしここでうろたえていてはいけません。平静を装い、ジェイクを起こ
さぬよう、私も狸寝入り。うふふふふふふ
*もう直ぐあなたの降りる駅。まだ【ジェイク】は眠っています。どうしますか?
う~~む仕方無い!会社の同僚にメール「ごめん、今日休むわ。体調不良って伝え
といてくれる?」←いいんかい、こんなんで・・・(汗)
*終着駅に到着しても起きない【ジェイク】。どうしますか?
これは、車掌さんが点検に来る前に私が起こしてさしあげねば!
そ~っと揺り動かします。「あの~、終点ですよ~」
*やっとお目覚めの【ジェイク】。ちょっと寝ぼけている様子。どうしますか?
「ここは終点ですよ。ぐっすり眠っていたから・・・」と上目遣いで♪
*平謝りの【ジェイク】。お詫びに何でもしてくれるって!どうしますか?
じゃあ、お茶でも行きましょうか? ジェイクと好きな映画についてお話したいなぁ。
ジェイクって、一番好きな映画は何なんだろう? 一番好きな映画監督は?
これからどんな役をやってみたい? 製作に興味はあるの?
私は『ブロークバック・マウンテン』にいかに感銘を受けたか、語りたいです。
時間あったら、一緒に映画観に行きたいなぁ・・(でもジェイクが気になって、映画
どころじゃないかも)。
*もう直ぐ【ジェイク】とお別れです。最後に【ジェイク】に一言
今日はありがとう、楽しかったです・・と言おうとして目が覚めました。
私、英語しゃべれなかったんだ。。
夢だったのね。Dさま、いい夢をありがとうございました。
----------------------------------------
さて。お次は 日々散策 の くっちさんにお願いします!
人物は市川海老蔵で! よろしくお願いしま~す♪

<<コピペ用>>
ルール
1.指定された【人物】について回答する。
2.バトンを回す人が【人物】を指定する。
*電車待ちの列に【】を発見!どうしますか?
*【】がとなりの席に!どうしますか?
*【】が寝てしまいました。どうしますか?
*爆睡中の【】。突然あなたに寄りかかってきました! どうしますか?
*もう直ぐあなたの降りる駅。まだ【】は眠っています。どうしますか?
*終着駅に到着しても起きない【】。どうしますか?
*やっとお目覚めの【】。ちょっと寝ぼけている様子。どうしますか?
*平謝りの【】。お詫びに何でもしてくれるって!どうしますか?
*もう直ぐ【】とお別れです。最後に【】に一言
P.S.ロバート・アルトマン監督が亡くなったそうです。ご冥福をお祈りします。
永遠の定番・オースティンの世界~『プライドと偏見』

ジェーン・オースティン原作『高慢と偏見』の映画化。18世紀のイギリス中流家庭
を舞台に、5人の姉妹が繰り広げる、恋と結婚の顛末。製作は「作る映画に外れナシ」
ご存知ワーキング・タイトル。
ちなみに、私古典ドラマとかコスチュームものって苦手なはずだったのですが、観
始めてからそのことを思い出しました。でも何の違和感もなく物語に入って行けたし、
すごい既視感。ああ、これは『いつか晴れた日に』の世界なんだ・・、原作者が同じね、
と気付きました。女ばかりの中流家庭、手紙を書き、姉妹が寝室で恋のおしゃべりに花
を咲かせ、来客が来れば大慌てで自然な態度を装い、プロポーズに泣く・・。全く同じ
世界です。エマ・トンプソンにはエンドロールでSpecial Thanksが!
★以下ネタバレします★
18世紀、イギリス中流家庭の女性って、つくづく大変だったのですね。相続権はな
く、働くなど論外、生きる術は結婚が全て。家柄と財産で値踏みされ、舞踏会で血眼
になっていい男を捜す。悲惨な境遇ですが、お金持ちやかっこいい将校たちにキャア
キャア言っている彼女たちを観ていると、現代の女性も精神的にはそう変わらないな
と思ってしまいます。「医者、弁護士、ヤンエグ(死語)」「高学歴、高収入、高身長」
男性にこんな理想を求めている時代が、ちょっと前にもありました(今もかな?)。
ヒロインはキーラ・ナイトレイ嬢扮するエリザベス(リジー)・ベネット。勝気で
行動的、あの時代でも自分の意志と理想を持った、当時としては新進の気質ある女性
です。キーラは『パイレーツ』シリーズでも役名エリザベス、今がまさしく旬の女優
さんとして、光り輝く美貌と演技を魅せてくれました。
そのリジーの恋のお相手となるMr.ダーシーはマシュー・マクファディン。この方
は初見ですが・・。う~ん、「どうしてこんなにいつも眉間に皺寄せて、苦しそうな表情
なんだろう?」と思って観ていたのですが、あれは彼の「高慢さ」を表現していたのです
ね、全然気付きませんでした(笑)。朝靄の中、歩いてくる彼のシャツがはだけて、胸毛
が見えるのにはすぐ気付いたのですが。
他のキャストも、娘の結婚しか頭に無い、ちょっと品が無さ過ぎる母親をブレンダ・
ブレッシン、そんな妻と年頃の娘たちに囲まれて引き気味の、それでも愛情深く見守
る父親をドナルド・サザーランド。ベネット家の末娘で、一番先に結婚していくリディア
をジェナ・マローン、という安心して観られる役者さんが揃っています。特にドナルド・
サザーランドの、リジーへの思いが溢れ出すラストシーンの演技は素晴らしい。思わ
ずもらい泣きしてしまいました。
しかし、一番印象に残った役者はというと・・。ディム・ジュディ・デンチ様。

一言いいですか? キャサリン夫人、怖過ぎ(笑)。夜中、アポ無しで訪問して来るその
傍若無人ぶり。リジーに甥のダーシーと付き合うなと迫る(脅す?)その様は鬼の形相、
というか昔懐中電灯を顔の下から当てて「お化け~」と遊んだ日々が甦ります。並みの
女優なら、ちゃぶ台をひっくり返して降板しそうなカットです(イギリスにちゃぶ台はない
と思いますが)。さすが、爵位を持つ大女優!根性据わってます。貫禄の演技でした。
リジーとダーシーは結ばれるわけですが、こんな大姑がいたらリジーは苦労するなぁ、
といらぬ心配をしてしまうのでした。あんな啖呵切ってるし、結婚しても絶対「ミセス・
ダーシー」とは呼んでくれなさそう、「ミス・エリザベス?」とか言われてそう、嫌味
全開で(笑)。
同一原作で、1995年にBBC製作でドラマ化された『高慢と偏見』は一大ブームを起こ
し、放送時間には女湯が空になるほどの人気だったそうです(イギリスに銭湯はないと
思いますが)。原作は当分未読だと思いますが、こちらは是非観たいと思っています。
コリン・ファースが観たいんですよ、早い話(笑)。
(『プライドと偏見』監督:ジョー・ライト/主演:キーラ・ナイトレイ、
マシュー・マクファディン、ジュディ・デンチ/2005・英)
I can hardly wait!~『Zodiac』
ファンタジーでくるんだ反戦映画~『トンマッコルへようこそ』

2005年韓国で公開され、その年の興行収入第一位を記録した大ヒット作。一年
以上公開を楽しみに待っていた本作を、ようやく鑑賞することができた。日本では
「ノー・スター映画」などと紹介されていたが、私的にはシン・ハギュンとカン・ヘ
ジョンが出ているだけで十分「スター映画」。座席について上映を待つ間、流れる
音楽が心地よい。どこか聴覚えのあるメロディーだ。
1950年、朝鮮戦争が激しさを増す中、深い山奥に戦闘とは無縁な小さな村があっ
た。トンマッコルと呼ばれるその村に、空から連合軍の飛行機が降ってくる。乗っ
ていたのはアメリカ人パイロット、スミス。時を同じくして、韓国軍の脱走兵二人
と、人民軍の残兵三人が、村に迷い込んで来る・・。
★以下ネタバレします★
私にはこの映画は「反戦映画」以外の何者でもないと感じられた。ファンタジーの
オブラートで甘くくるんであるけれど、口にしてみると溶け出してくるのは苦く、悲
しい「戦争」という現実だ。明るく楽しげな劇場用ポスターに「騙されていた」と言うと
語弊があるかもしれないけれど、戦場から逃れてきた兵士達が、敵味方無くトンマッ
コル村で幸せに暮らすお話、だと思い込んでいた。だから、水墨画のようなオープニ
ングの「山奥の村も攻撃された」という字幕に不吉な予感。特に後半は観るのが辛く、
自宅に戻ってからもしばらく涙が止まらなかった。
前半、韓国軍と人民軍の兵士たちが村で対峙するあたりまでは冗漫で退屈に感じら
れる。しかしその後、不思議な少女ヨイル(カン・ヘジョン)ら村民の影響で徐々に
兵士たちが和解していく過程は心地よく、幸せな気分にさせてくれる。しかし幸せの
光が強ければ、必然的に影は濃く、静かな村にも次第に戦争の魔の手が忍び寄る。

キャストは皆素晴らしかったと思う。避難民の渡る橋を上層部の命令で破壊し、多
くの犠牲者を出したことを悔やむ脱走兵ピョを演じたシン・ハギュンは、内に秘めた
苦悩とやさしさがにじみ出る演技で涙を誘う(シン・ハギュンって、とても魅力的だ
と思うのです。私の中で韓国人俳優№1、ソル・ギョングと並ぶくらい、大好き)。
人民軍の将校リを演じたチョン・ジェヨンも、諦観の中にも包容力を感じさせてさす
が。陽気な衛生兵サンサンのソ・ジェギョンは、『春夏秋冬そして・・春』の男の子だと
知って驚いた。そして何と言ってもカン・ヘジョン!トンマッコルの象徴のような
ヨイルの無垢な愛らしさを、画面いっぱいのアップにも耐える豊かな表情で演じて
説得力十分。彼女が連合軍の犠牲になる最期は辛過ぎた。
そして、この既視感は・・、宮崎アニメ!初メガホンであるというパク・クァンヒョン
監督は、間違いなくジブリ作品の影響を受けていると思う。村の入り口にある置物や
巨大なイノシシ、無数に舞う蝶を観て『千と千尋の神隠し』や『もののけ姫』を思い出
してしまう。音楽も(監督の希望で)久石譲とくれば、これはジブリの世界だろう。
イノシシ退治の場面では、いきなり大昔のウルトラマン@円谷プロのような合成画像に
なるものだから、もうビックリ(笑)。
トンマッコルを守る為、兵士たちは村を去る。彼らの願いが叶えられたとき、雨のよ
うに降り注ぐ爆弾とその火花の中で、微笑むピョとリ。彼らの犠牲的精神と散り行くも
のの美しさが感じられて感動的なシーンなのだけれど、私は号泣しながら心の中で「ダメ!
死なないで!」と叫んでいた。同じ笑顔なら、トンマッコルでいつまでも幸せに暮らす
彼らの笑顔が観たかった。何かを守るためには、誰かが犠牲になるべきなのか。それが
戦争の大義なのだろう、どうして全ての人間が「生きて」いける世界は実現しないのだ?
天国の情景かと見まがうラストシーンは、ヨイルに恋した人民軍の少年兵の耳に挿さ
れた花の理由と、彼の思いが一方通行でなかったことを示して救われる。しかしそれで
もなお、戦争の悲惨さと理不尽さが胸に残る、重い作品だったと思うのだ。
(『トンマッコルへようこそ』監督:パク・クァンヒョン/
主演:シン・ハギュン、チョン・ジェヨン、カン・ヘジョン/2005・韓国)
テーマ : トンマッコルへようこそ
ジャンル : 映画
この美しく騒々しい世界で~『イノセント・ラブ』

マイケル・カニンガムの小説『この世の果ての家』(角川文庫刊・原題:A Home
at the End of the World)の映画化である本作は、2004年にアメリカで製作・
公開された。日本では未公開であり、2006年11月、DVDが発売(レンタルも有り)。
監督は本作が初メガホンのマイケル・メイヤー、脚本は原作者であるマイケル・
カニンガムが書き下ろしている。主演はボビーにコリン・ファレル、クレアに
ロビン・ライト・ペン、アリスはシシー・スペイセク。ジョナサンは『ウォーク・
ザ・ライン/君につづく道』のレコーディング・ディレクター役が印象的だった
ダラス・ロバーツが演じている。
私はこの映画の原作に入れ込みすぎているので、冷静な眼で観ることができて
いないかもしれない。まず、その点はご容赦いただきたい。
映画を「読んでから観た」場合、大抵頭の中で創り上げたイメージと違う、と
ガッカリすることが多いものだ。しかし、この映画では不思議とキャストに違和感
はなかった。コリン・ファレル、ダラス・ロバーツの名前を聞いたときは心底驚い
たが、映画を観ているうちに、自然とこの二人はボビーとジョナサンなんだ、と思
えてくる。自分が魅了された小説世界が映像化されている、それだけで感無量。
★以下ネタバレバレ、しかも長文!失礼します★
しかし、言いたいこともある。映画と小説は別のもの、と考えるのは当然だけれ
ど、映画の脚本を原作者が書いた、となるとちょっと話が変わってくるのではない
だろうか。まず、原作では重要な登場人物であるエリックが切られ、彼のキャラク
ターはジョナサンへと吸収されている。そのためか、クレアが彼らの元を去る理由
がかなり単純に見えてしまって残念。クレアが去る場面では、それが一時的な里帰
りではないとボビーが悟る(そしてジョナサンを選択する)演出になっている。
ジョナサンの母アリスの、女性として、母として生きる苦悩が深く描かれなかっ
たのは仕方ないにしても、ジョナサンがボビーとクレアの間に生まれた娘、レベッ
カに対して抱いていた底抜けの愛情と、レベッカが一番愛していた人物はジョナサ
ンであったことは、もっと描写して欲しかったと思う。
クリーブランドでは常にジョナサンをリードしていたボビーが、成人してからは
いきなり無垢そのものとなるように感じられるのも解せない。実はこの疑問は原作
を読んだときにも感じていた。ボビーは兄の死によって死者の世界に惹かれ、兄が
生きていた年齢までは現実的に生きられたが、その年齢を超えた時点で、成長する
術を見失ってしまったのかもしれない、と今は理解できるのだけれど。
そして何よりも、ジョナサンがエリックと四月の冷たい水の中に入り、自分の人生
が何であったのかを悟る、感動的なラストシーン。あの場面が映像で観られなかっ
たことが一番残念だ。尺は100分弱と短めなのだから、あと20分少々足すことで、
なんとかもう少し原作を消化できなかったのかな、と思ってしまう。映画のラスト
シーンも、原題の『A Home at the End of the World』を象徴しているようで
素晴らしいとは思うのだけれど・・。
(それにしても、一番気に入らないのは邦題『イノセント・ラブ』だ。何かダサく
ないですか?センスなくない??)
ジョナサンとボビーのダンスシーンの美しさは特筆ものだし、音楽が二人を繋い
でいる様がわかる演出はよかったと思う。それにしても、原作の愛読者としては
「どうして?」と言う思いを打ち消せないし、脚本を書いたのが原作者であるマイ
ケル・カニンガムであればこそ、尚更その思いは強くなる。

ボビー・モローと言う不思議に魅力的な人物を肯定できるかどうかがこの映画を
評価できるかどうかの分かれ目のような気がする。コリン・ファレルは、好き嫌い
がはっきり分かれる俳優だと思うのだが、本作では常に受け身で、心やさしいボビー
と言うキャラクターを巧く演じていたと思う。私はジョナサンが好きで、だから彼
に「あなたがどんなに欲しかったか!」と感情をぶつけるクレアに思いっきり感情
移入して号泣してしまった。新しい家族を作ろうとしながら、それを放棄してしま
ったクレア。そこにはジョナサンとボビー、二人への決別だけでなく、死への恐れ
や娘への思いがあったことも、やはり描写して欲しかったと思うのだ。

ラスト近く、父の遺灰を撒くジョナサンとボビー。死者は自分達と同じ、この美
しく騒々しい世界にいる、とジョナサンに話した遠い日の自分を回想するボビー。
自分の遺灰もここに撒いて欲しいと言いながら、「この美しく騒々しい世界では、
何でも起こりうる」と、遠い日のボビーと同じ言葉を口にするジョナサン。全てを
口に出さなくても分かり合えるこの二人はまさしく互いの半身であり、そう遠くな
い日に死がジョナサンを連れ去っても、彼の魂はずっとボビーと共にあるのだろう。
メイキングや、キャストインタビューが観られる特典映像では、シシー・スペイ
セクが「原作はとても深い話。読んでない人は今すぐ買いに走るべき」と語ってい
るのがうれしい。しかし今更ながら、原作の世界観をあそこまで映像化した傑作
『めぐりあう時間たち』は、つくづく奇跡的に成功した映画だったのだなぁ・・・と
思うのであった。
(『イノセント・ラブ』監督:マイケル・メイヤー/原作・脚本:マイケル・カニンガム
主演:コリン・ファレル、ダラス・ロバーツ、ロビン・ライト・ペン/2004・USA)
懐かしの80's満載!~『ウェディング・シンガー』

4年越しの恋人の住む町に越してきたジュリア(ドリュー・バリモア)は結婚式場の
ウェイトレスとして働き、ウェディング・シンガーのロビー(アダム・サンドラー)と
知り合う。結婚式当日に花嫁に逃げられ、傷心のロビーを励ますジュリアは、遂に
恋人にプロポーズされて幸せいっぱい。結婚式の準備をロビーに手助けしてもらう
うちに、ジュリアは自分の本当の気持ちに気付き始める・・。
という、ストーリーはベタな王道ラブコメなんですが、とにかくドリュー・バリモア
がかわいいんです!ただかわいいだけなら『E.T.』が一番かわいいんだけど、この
作品の彼女のキュートさ、健気さはもう、ピカイチ!ウェイトレスの制服とエプロンも、
最高に似合ってます。ドリューともう一人の主人公、アダム・サンドラーもまた、いい!
今の時代じゃありえない髪型、『パンチドランク・ラブ』に使い回した(?)ジャケット
で登場するから最初は引くけど、結婚願望が強くて思いやり深い、純粋な青年を好演
しています。その他のキャスト、奔放自慢のロジーおばあちゃんもキュートだし、一番
笑えるキャラ、ロビーの音楽仲間(ボーイ・)ジョージがアレクシス・アークェット。
『25年目のキス』にもデイヴィッド・アークェットが出ていました。アークェット家、
とっても個性的(笑)。そして何と言ってもスティーブ・ブシェーミ!あんなに場を
さらってもノン・クレジットとは驚きです。でもあの顔と妙な動きじゃ、誰でも彼だ
ってわかるよね(笑)。最初と最後に登場して、ブックエンドにふさわしい存在感でした。
そして音楽がまた、たまりません。カルチャー・クラブ、デッド・オア・アライブ、
マドンナ・・。1985年の時代設定ゆえ、みんな大好き、懐かしの80'sが満載なんです。
私のような、80年代に思春期・青春真っ盛りだった世代にはド真ん中、涙チョチョ切
れものの選曲でしょう。洋楽には全く疎い私のような人間でも、ほとんどのメロディー
に聴き覚えがありましたよ。Do you really want to hurt me・・
80年代、本当に素敵な時代でした。テレビも音楽も面白くて、キラキラ輝いていた。
もちろん、裏を返せば軽薄で拝金主義がまかり通ったケシカラン時代でもあったのだ
ろうけど(そしてこの作品がお金より愛、と言っているのも実はあの時代への反感なの
かもしれないけど)、あの頃の空気には厭世感や失速感は微塵もなかったなぁ・・。
イケイケだったんですよ。ただ単に私が若かっただけ、なのかもしれないけど。
輝ける80年代から失われた90年代を経て、21世紀を生きる私は当然挫折も知り、人生
そんな夢のような甘いもんじゃないよ~ってこともわかっています。それでもロビー
とジュリアのカップルは心から応援し、祝福したい。相性ってあるんですよね。偶然の
キス(このキスシーンはMTVムービー・アワードのベストキス賞を受賞)から、二人は
自分の本当の気持ちに気付くのです。恋人と何年付き合おうと、婚約していようと自分
の掴むべき幸せに向かっていった二人に拍手。絶対幸せになってよね。。(涙)
わかりやすく、心温まる、万人にオススメしたい素敵な映画です。尺もちょうどいいよ。
(『ウェディング・シンガー』監督:フランク・コラチ/
主演:ドリュー・バリモア、アダム・サンドラー/1998・USA)
人生の最期に愛があれば~『アイリス』

イギリスの女性作家アイリス・マードック。大英帝国勲章を授与され、デイムの
称号を得た偉大な作家であり、哲学者でもあり、「イギリスで最も素晴らしい女性」と
称えられていた彼女は、アルツハイマーに侵されその人生を閉じた。同じく作家で
ある夫のジョン・ベイリーの回想録を元に、夫婦の永遠の愛と人間の尊厳を描き出
した物語。
若き日のアイリスをケイト・ウィンスレット、晩年をアイリスと同じくデイムの
称号を持つ大女優ジュディ・デンチが演じている。夫のジョンは若き日をヒュー・
ボネヴィル、晩年はジム・ブロードベントが演じ、アカデミー助演男優賞を受賞した。
水中を泳ぐ二組の男女、幻想的なオープニングにかぶるクレジットにアンソニー
・ミンゲラ、シドニー・ポラックの名前を見つけて驚く(二人は製作総指揮を務めて
いる)。監督はリチャード・アール。
★以下ネタバレします★
この作品、何の予備知識もなく、NHKBS-2で放映されたものを観たのだが、地味
ながら心に残る作品だった。一時間半ほどの尺が、私には珍しく「短い」と感じられ
たのだ。
アイリスとジョン、二人の若き日々と晩年が交互に描写される、その繋ぎと対比が
絶妙。輝くばかりの若かった日々、傷つきながらも一途にアイリスを愛そうとする
ジョン、自由奔放に生きながらもジョンの朴訥な誠実さに惹かれていくアイリス。
二人で生き、老いてもなおアイリスへの愛と尊敬の眼差しに溢れたジョン、作家とし
て、学者として称えられ、旺盛に活躍するアイリス。そんな二人にアルツハイマーと
いう病魔が忍び寄る。
主演の4人がそれぞれ、本当に素晴らしい演技を見せてくれる。ケイト・ウィンスレ
ットは、今作のような自由奔放で気高く強い女性に見事にハマる。全裸で泳いでも、
複数の男女と寝る役柄でも、品の良さと知性を感じさせる演技はさすが。ジュディ・
デンチも、知性と自信に溢れたアイリスが徐々に病に冒されて無表情になっていく様
を自然に、誰もが納得するであろう渾身の演技で見せてくれる。
『A Lark in the Clear Air』を唄う、二人の澄んだ歌声はいつまでも耳に
残るだろう。
ジョンを演じたヒュー・ボネヴィルとジム・ブロードベント、この二人は容貌も似
ており、少し吃音が出るしゃべり方もそっくりで違和感が全く無い。若き日々、魅力
と才気に溢れ、自由に生きるアイリスを愛し、彼女の全てを引き受けようとするジョン。
時々疼く痛みを抱えながら、終生アイリスを見守り愛し抜く彼の寛容さ、魂の深さに
打たれる。晩年まで、アイリスが作家として数々の作品を書き得たのも、結局はジョン
との愛の交歓がその源であったのだと思う。記憶を失いつつあるアイリスに、オース
ティンの『高慢と偏見』をジョンが読み聞かせる場面は感動的だ(マーク・ダーシィ、
と聞こえて一瞬『ブリジット・ジョーンズ』が頭を掠める。ジム・ブロードベントは
ブリジットのパパでもあるから)。
イマジネーションを言葉に託し、自由と幸福を追い求めたアイリス。彼女が自らの
分身でもある「言葉と思考」を失う病に冒されているという事実は、死刑宣告に等し
い残酷さだ。徘徊し、失禁し、人間としての尊厳をも失っていくアイリス。それでも
ジョンは葛藤しながらも彼女を受け止め、赦し、献身的に支え続ける。
人間同士が愛し合ったとき、その愛は周囲の動物や植物や、石さえも慈しむと語っ
たアイリスの言葉。彼女が人生を閉じたとき、ベッドから滑り落ちた石が水の中に還
る。命は終っても、アイリスが追い求めた愛と自由の精神は果てることなく受け継が
れるだろう。
老いは他人事でなく、誰の身にもやがて訪れる。人生の最期をどう生かされ、誰と
何処で迎えるのか。私は受け継がれるべき愛を残せるのだろうか。しばし考え込んで
しまった。
(『アイリス』監督:リチャード・アール/主演:ジュディ・デンチ、
ジム・ブロードベント、ケイト・ウィンスレット、 ヒュー・ボネヴィル/2001・英)
あの頃は・・~『地下鉄(メトロ)に乗って』

直木賞作家、浅田次郎の同名小説を映画化した本作。平凡な営業マン長谷部真次
(堤真一)はある日、死んだ兄に似た面影の少年に惹かれて地下鉄の階段を上がる。
そこは東京オリンピックを間近に控え、高揚した昭和39年の東京だった・・。タイム
スリップを題材にし、過去に向かい合った主人公が父との軋轢や兄の死を乗り越え、
未来に向かって生きていく物語。
原作小説は、かなり以前に読んでいた。シニカルな友人(男)が「泣いた」と言った
のが意外で読んでみたのだが、私も落涙した記憶がある。しかし、東京の地下鉄を
舞台にするタイムスリップ作劇、という以外、ストーリーの細かい部分は忘れてし
まっていた。映画は親と子、特に父と息子の間にある溝、その底に確かに存在するは
ずなのに掴めない愛情と、人が生まれて生きていくことの不思議、その尊さを描いた
作品となっていた。
自分が子どもだった頃の親の年齢になって初めて、あの頃の親の気持ちがわかる
気がする。自分が生まれたときから親は親だけれど、親になる前の父母の人生も
確実に存在していたはずで、例え「ワケあり」なんかじゃない、傍から観れば平凡
な人生でも、人はひとりひとり、その来た道にドラマがある。純粋な一人の青年が
戦争を経て傷つき、戦後の混乱を生き抜くためにどれほどの犠牲を払ったか。物語
として観ている間は誰にも感情移入できなかったけれど、自分と親の人生として引
き受けたとき初めて涙がこぼれ、ラストまで止まることはなかった。
キャストはそれぞれはまり役で、素晴らしかったと思う。真次の父である小沼佐吉
を演じた大沢たかおは、「カッコイイけど大根」(失礼!)という思い込みがあったの
だが、3人の息子の父として、愛人と家庭の間を揺れる男として、自分の運を信じて
成り上がろうとする鬼気迫る演技が素晴らしかった。また、映画の最初と最後に登場
する老教師役の田中泯、天使のようにも闇からの使者のようにも取れるその表情は、
ブックエンドの役割を果たすに十分な存在感だ。
そして私は堤さんファンなので甘いかもしれないけれど、彼の演技はいつだって
安心して観られる。自分を「舞台人」だと言う堤さんだけれど、彼の立ち姿の美しさ
は映画のスクリーンで、たとえ冴えない中年男を演じていても輝いている。ヒロイン
みち子を演じた岡本綾も、憂い顔の内に愛しさと悲しみを秘め、抑えた演技が光って
いたと思う。
そう、十分いい映画だとは思うのだけれど、それでも納得行かない部分もあった。
★以下重要ネタバレします、ご注意下さい!★
一つは、時代設定の問題。真次とみち子がトリップする時代はわかるのだが、彼ら
が生きる現代が、いつ頃の年代設定なのかはっきりしないのだ。
昭和39年、事故死した昭一は大学受験を控えていたわけだから17歳くらい、弟真次
は15歳くらいか。その頃みち子はお時のお腹にいたわけだから昭和40年生まれ、と
すると平成18年の現在では41歳になっている。劇中では田中泯の「この平成の世に」と
いうセリフがあるから時代設定が平成であることは間違いないが、みち子の容貌から
して25歳としても平成2年頃ということになる。その時真次は41歳、これで時制の辻褄
は合うが、小道具の設定がいただけない。
映画冒頭、真次が携帯電話の留守電を聴く場面がある。その携帯のコンパクトさは、
どう見ても平成2年頃のものではない。この場面があることで、観るものは時制に混乱
を来たしてしまうと思う(私も泣きながら彼らの歳を計算していた)。
もう一つは、真次とみち子が異母兄妹だと知ったときの真次の反応。常識的に考え
れば、不倫相手が妹だった、というのはかなりショッキングな事実ではないだろうか?
しかしそれを知っても、真次はさほどショックな素振りは見せない(ように私は感じた)。
これはどういう演出意図なのか、監督に聞いてみたいと思ったほど、違和感が残った。
しかしこれらの疑問点を差し引いても、十分鑑賞に値する作品だと思う。エンドロ
ールとともに流れる主題歌、Salyuの『プラットホーム』がまた素晴らしい余韻を残す。
音楽は小林武史、彼の音楽世界はやはり、掴みどころを心得ています。
あの頃は 夢の向こうに見えて
音の隙間を流れていく
そっと そっと 追いかける
空の果て 世界の向こう側
そんな場所で 出会えるときが
きっと きっと やってくる
あの時 あたしが選んだ道の端は
途切れて 見えなくなってしまっても
あなたを呼ぶそのために
歌い続ければ
隔てられた世界にも
二人のプラットホームは
きっと現れる
そこでまた出会ってる
(『地下鉄(メトロ)に乗って』監督:篠原哲雄/
主演:堤真一、岡本綾、常盤貴子、大沢たかお/2006・日本)
テーマ : 地下鉄(メトロ)に乗って
ジャンル : 映画
Keep on Dancin'~『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』

「はじめから認めておこう。私は村上春樹ファンだ」
こんな一文から始まる、元ハーバード大学日本文学教授にして、村上春樹作品の
英訳者でもあるジェイ・ルービンによる村上春樹論。と言っても小難しい話は一切
なく、「本当に元ハーバードの先生が書いたの?」と思ってしまうほどわかり易く、読み
易い本。言い換えるとすれば「究極のハルキ・ムラカミおたくが語り倒した、村上春樹
全作品!」という感じだろうか。
冒頭の一文を読んでもわかる通り、著者の「村上春樹愛」に溢れた作品である。日本
でも、これほど愛情を持って語られる村上春樹論にはそうお目にかかれないのでは
ないかと思う。本当に、村上春樹が好きでたまらないという著者の気持ちが伝わっ
てくるのだ。(私もそうだから、その気持ちがとってもわかるんです)
先日のノーベル賞騒ぎ、フランツ・カフカ賞受賞のニュースは映像でも流れたし、
朝日新聞は数日間特集記事を掲載していた。村上春樹に興味が無い人でも、彼の作品が
世界的に評価され、各国に受け入れられていることは認識されつつあると思う。
村上作品を評してジェイ・ルービンはこう言う、
「文学はもう死んでいる、と言われるが、果たしてそうだろうか。もしそうだとすれ
ば、誰かがその葬儀に村上春樹をよび忘れてしまったのだろう」
「たしかに村上の長編小説は、独特の、心に変化をもたらすような旅を続け、読者を
引き込む」
「国籍も、超自然現象をどれだけ信じるかということも関係なく、事実上あらゆる人
が共有している、人生の一瞬一瞬の「意義」という感覚を彼は捉えることができるのだ」
私が村上春樹の作品の中で一番読み返したのは『ねじまき鳥クロニクル』か『ノルウェイ
の森』だと思う。しかし一番好きな作品、となると『羊をめぐる冒険』かもしれない。
面白くてどうしようもなくて早く読みたいんだけど、終わりのページがくるのは嫌で、
残りのページ数を確認しながら読み進む、優れた長編小説を読むときに必ず囚われる
この「逆説的な魔力」に初めてはまった本だった。その日から今日まで約20年間、村上春樹
の作品はずっとその魔力を失わない。昨年一年間で読んだ本の中で、ベストはやっぱり
『東京奇譚集』だったし、近年の世界的評価の高まりを見聞きするにつけ、この地球の
いろんな国で、自分と同じ気持ちで村上作品を読んでいる人がたくさんいるのだと思う
と不思議に温かい気持ちにもなる。(ちなみにジェイ・ルービンの一番のお気に入りは
『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』のようだ)
この本は元々海外の、日本語が読めない村上春樹作品の愛読者のために書かれている
から、村上の生い立ちや作品の年代順の展開、村上の翻訳作品についての情報が網羅さ
れている。(私のような)古くからの読者にとってはおなじみの情報でもあり、日本語が
読める、新しい読者にとっても格好の読書案内にもなり得るだろう。もちろん、村上春樹
(と陽子夫人)個人と親しい著者ならではの情報も盛り込まれているから、春樹ファンなら
誰でも受け入れられると思う。
読み進みながら、今まで読み込んできた村上作品を追体験している気分になった。
同時代に、この稀有なる作家のオリジナルを読める幸せを、改めて噛み締めている。村上
春樹の言葉の音楽で踊り続けたい、これからもずっと、ずっと。
ジェイ・ルービンに感謝。
(『ハルキ・ムラカミと言葉の音楽』ジェイ・ルービン著/畔柳和代・訳/新潮社・2006
"Haruki Murakami and the Music of Words" by Jay Rubin /2002・USA)
気軽に観られて幸せ気分~『25年目のキス』

シカゴの有名新聞社で原稿校正係として勤務するジョジー(ドリュー・バリモア)は、
キスも未経験のオクテで冴えない25歳。いつかは新聞記者になること、運命の人と出逢
い、その人とキスをして添い遂げることを夢見ている。そんな彼女が、潜入記者として
高校で取材するチャンスを得る。真面目でダサイいじめられっ子だった、悪夢のような
高校時代を再び生き直すジョジー・・。果たして運命の人は現れるのか?
ドリュー・バリモアが主演・製作総指揮を務めた青春学園ラブコメディ。この作品、
ジェームズ・フランコの映画初出演と知って観ました(単純でお恥ずかしい)。ドリュー
・バリモアがオクテで冴えない女の子を可愛く好演しています。彼女はこの作品が初
プロデュースで、その後『ドニー・ダーコ』『チャーリーズ・エンジェル』などの製作
も手がけています。才女ですね~。
ある程度年齢を重ねた人なら、「あの頃に戻ってもう一度人生やり直したい」と思った
ことが一度ならずあるでしょう。主人公のジョジーは暗黒の高校時代に戻りますが、彼女
にとってそれは記者になるという夢を叶えることであると同時に、自分の辛い過去と向き
合うことでもありました。最初はやはりうまく高校に適応できず、悲しい記憶がフラッシュ
バックする度、トイレで嘔吐を繰り返すジョジー。そんな彼女を見かねた弟のロブ(デヴィ
ッド・アークェット)も高校に潜り込み、陰ながら彼女をサポートします。この弟、どう
観ても高校生に見えない(笑)。ロザンナやパトリシアら、アークェット家の末弟なので
すね、この方。そう思って見れば、パトリシアにちょっと似ています。
素敵な英文学の教師コールソン先生(ミシェル・ヴァルタン)と出逢い、お互い好意を
もつようになる過程や、ダサダサだったジョジーがロブの後押しで高校のアイドル・ガイ
(ジェレミー・ジョーダン )とカップルになってプロム・クィーンにまで上り詰める様
は「出来過ぎ」感もありますが、純粋で一生懸命なジョジーにほだされ、彼女の同僚たち
(ジョン・C・ライリー、相変わらずいい味出してます)と同じ気持ちで応援してしまい
ます。過去のトラウマを乗り越え、プロムで啖呵を切って取材も恋も、弟の好意もフイに
してしまうジョジー。ここから、彼女の新しい、本当の人生が始まります。
お目当てのジェームズ・フランコは、ガイの取り巻きの一人ジェイソン・ウェイを演じ
ていますがノン・クレジットなのですね!いくつかセリフもあり(ルーファス!とか)、
結構存在感はあるのですが、意識して追わなければ目に入らないポジションでもあります。
そしてこの作品、ジェシカ・アルバも出ているのですね~。今やハリウッドの美の象徴に
君臨しつつあるジェシカですが、若い頃からそりゃあもうかわいい!高校の美女グループ
の一員役にピッタリでした。
一人の女の子の勇気ある行動が周囲の人間を変えていき、それぞれが自分の人生と折り
合いをつける。単純明快で誰でも楽しめる、王子様つきの夢物語。お気軽にどうぞ。
(『25年目のキス』監督:ラジャ・ゴズネル/主演:ドリュー・バリモア、
デヴィッド・アークェット、ミシェル・ヴァルタン/1999・USA)
テーマ : 私が観た映画&DVD
ジャンル : 映画
ソル・ギョングのオーラを観る~『公共の敵』

2002年に韓国で公開され、大ヒットしたという本作。2005年には続編『公共の敵2』
も公開され、一作目を上回る興行成績を挙げたという。日本ではシネフェスなどでの
限定公開にとどまり、残念ながら一般公開はされなかった。今回DVDが発売され、ず
っと観たかった本作を鑑賞。監督は『シルミド』のカン・ウソク、主演はご存知(?)
韓国の名優ソル・ギョング!韓国の俳優さんでは、私は彼が一番好きだ。
元ボクシング選手で、メダル枠で警察に採用された刑事カン(ソル・ギョング)は、
ヤクザまがいの暴力刑事。妻を強盗に殺された過去を持ち、計算も漢字も覚束ない男
だ。そんなカンが、ある老夫婦の殺人事件を担当し、金融エリートであるギュファン
(イ・ソンジェ)を犯人として追い詰めてゆく。
粗野で凶暴だが、どこか憎めない男・カン刑事を、ソル・ギョングが相変わらず熱演
している。自らを「民衆の盾」と呼び、「公共の敵」に向かって牙をむく彼の迫力は圧倒的。
彼の出演作はどうしても「ソル・ギョングを観る」ための映画になってしまう、これは
作品にとって幸か不幸か。そんなカン刑事に追い詰められるエリート・ギュファンを
演じるイ・ソンジェも好演していると思うのだが、どうしてもソル・ギョングの「神
がかり的俳優オーラ」の前では影が薄い。手に負えない問題刑事のカンだけれど、同僚
も街のチンピラも彼のことは嫌いになれず、むしろ好ましく思っているのが伝わって来
る。それは映画を観ているこちら側も彼の行動原理に振り回され、笑わされつつ、カン
刑事というユニークな人物に引き込まれているからに他ならないだろう。
脇の俳優陣も皆巧いのだが、個人的に大好きなアン・ネサンがカン刑事の同僚として
出演しているのがうれしかった。『オアシス』で主人公の兄、『マラソン』で主人公の父を
演じたこの人、韓国映画界の隠れた名脇役だと勝手に思っているのだ。
しかし正直、作品としてオススメか?と問われればイエスとは言い難い。『シルミド』
同様、色恋沙汰のかけらも無い、汗と血しぶきにまみれた100%男の映画だし、暴力描写
もガチンコで容赦ない。ソル・ギョングファンならば観て損は無いと思うけれど、私
以外に彼のファンなんて、そういるとも思えないし(笑)。
『グエムル』にがっかりで私の中の韓国映画パワーは放電しっぱなしなのだが、この秋・
冬は何本か観たい作品が公開される。できる限り劇場に、足を運びたいと思っています。
(『公共の敵』監督:カン・ウソク/主演:ソル・ギョング、イ・ソンジェ/2002・韓国)
~真紅的指定型バトン~
皆さま、こんにちは。ちょっと早いけど、クリスマス仕様に模様替えしてみました。
いよいよクリスマスシーズン到来ですね! いつの間にか11月、喪中欠礼状も届いた
りして、今年も残すところあと2ヶ月。今後ともよろしくお付き合い下さいませ。
さて、今日はいつもお世話になっている大好きなブログ悠雅的生活の悠雅さまより
バトンをいただきました。悠雅さま、いつもありがとうございます! アップが遅く
なりましてごめんなさい。お題はこちら、
『指定型バトン』
【ルール】
●回してくれた人からもらった「指定」を「」の中に入れて答えること
●また回す時その人に指定する事
悠雅さまの指定は「いちばん好きな映画俳優」キターーー!
【指定内容】
●最近思う「」
●この「」には感動!
●直感的「」
●こんな「」はいやだ!
●次に回す人5人!指定付き
う~む、ちょっと迷いましたが、やはり「アジアの影帝」、我らがトニー・レオン
(Tony Leung Chiu Wai、梁朝偉、愛称:偉仔ワイチャイ)、にご登場願いたいと
思います!
青残剣さま~♪
では、スタート!
●最近思う「トニー・レオン」
トニーは今、ご存知アン・リー監督の新作映画「色・戒(Lust, Caution)」の撮影
真っ最中、だと思います。
トニー&アン・リーは意外や、初タッグ。どんな作品が出来上がってくるのか、もの
っすごく楽しみにしております!

そしてその後はジョン・ウー監督の下、渡辺謙さんと共演、さらにその後は待望の
ウォン・カーウァイ監督の作品が控えています! あぁ~待ち遠しい、今から身悶え
してしまいます、フフフ。
(トニー、身体に気をつけて、頑張ってね)
●この「トニー・レオン」には感動!

やはり、『ブエノスアイレス』での演技でしょうか。テープレコーダーを手に号泣
するシーン、パスポートをめぐるやりとり、ラストの微笑み・・。
カンヌ映画祭では、ショーン・ペン『シーズ・ソー・ラブリー』に一票差で敗れ、
主演男優賞を逃しています。でも本当に名演技でしたよね・・。

そして私がトニーに堕ちたのが『花様年華』です。この作品・・。もう大人のエロス
が充満しております。未見の方は是非!
この作品で、トニーはカンヌ映画祭主演男優賞をアジア人俳優として初めて受賞した
のです。拍手喝采!!
●直感的「トニー・レオン」

トニーファンの皆さまは、彼のどこに惹かれたのでしょうか?
「眼神」と称されることもある、やはりあの眼。。というか彼の「視線」ですね。
目ヂカラとも違う・・。見つめられたら最後、もう動けない。
●こんな「トニー・レオン」はいやだ!
・・ウソです。こんなトニーが大好きだもん♪
う~ん、やはりカリーナ・ラウ劉嘉玲、カーリンと添い遂げて欲しいです。
今更「破局」、で別の女優さんと・・とかいうのはナシで!お願いしますよ!
末永くお幸せに!
●次に回す人5人!指定付き
畏れ多くも大好きな以下のお二人に・・。受け取っていただけるとうれしいです。
気分転換にいつでもど~ぞ♪
★☆カゴメのシネマ洞☆★ カゴメさま
姫のお楽しみ袋 チュチュ姫さま
お題は「いちばん好きな映画監督」でお願いします!
私、トニーファンのはしくれですがまだ未見の作品も多いのです。香港映画好き
な方、またいろいろ教えて下さいませ。よろしくお願いします♪
さあ、香港映画を観に行こう
いよいよクリスマスシーズン到来ですね! いつの間にか11月、喪中欠礼状も届いた
りして、今年も残すところあと2ヶ月。今後ともよろしくお付き合い下さいませ。
さて、今日はいつもお世話になっている大好きなブログ悠雅的生活の悠雅さまより
バトンをいただきました。悠雅さま、いつもありがとうございます! アップが遅く
なりましてごめんなさい。お題はこちら、
『指定型バトン』
【ルール】
●回してくれた人からもらった「指定」を「」の中に入れて答えること
●また回す時その人に指定する事
悠雅さまの指定は「いちばん好きな映画俳優」キターーー!
【指定内容】
●最近思う「」
●この「」には感動!
●直感的「」
●こんな「」はいやだ!
●次に回す人5人!指定付き
う~む、ちょっと迷いましたが、やはり「アジアの影帝」、我らがトニー・レオン
(Tony Leung Chiu Wai、梁朝偉、愛称:偉仔ワイチャイ)、にご登場願いたいと
思います!

では、スタート!
●最近思う「トニー・レオン」
トニーは今、ご存知アン・リー監督の新作映画「色・戒(Lust, Caution)」の撮影
真っ最中、だと思います。
トニー&アン・リーは意外や、初タッグ。どんな作品が出来上がってくるのか、もの
っすごく楽しみにしております!

そしてその後はジョン・ウー監督の下、渡辺謙さんと共演、さらにその後は待望の
ウォン・カーウァイ監督の作品が控えています! あぁ~待ち遠しい、今から身悶え
してしまいます、フフフ。
(トニー、身体に気をつけて、頑張ってね)
●この「トニー・レオン」には感動!

やはり、『ブエノスアイレス』での演技でしょうか。テープレコーダーを手に号泣
するシーン、パスポートをめぐるやりとり、ラストの微笑み・・。
カンヌ映画祭では、ショーン・ペン『シーズ・ソー・ラブリー』に一票差で敗れ、
主演男優賞を逃しています。でも本当に名演技でしたよね・・。

そして私がトニーに堕ちたのが『花様年華』です。この作品・・。もう大人のエロス
が充満しております。未見の方は是非!
この作品で、トニーはカンヌ映画祭主演男優賞をアジア人俳優として初めて受賞した
のです。拍手喝采!!
●直感的「トニー・レオン」

トニーファンの皆さまは、彼のどこに惹かれたのでしょうか?
「眼神」と称されることもある、やはりあの眼。。というか彼の「視線」ですね。
目ヂカラとも違う・・。見つめられたら最後、もう動けない。
●こんな「トニー・レオン」はいやだ!

う~ん、やはりカリーナ・ラウ劉嘉玲、カーリンと添い遂げて欲しいです。
今更「破局」、で別の女優さんと・・とかいうのはナシで!お願いしますよ!

●次に回す人5人!指定付き
畏れ多くも大好きな以下のお二人に・・。受け取っていただけるとうれしいです。
気分転換にいつでもど~ぞ♪
★☆カゴメのシネマ洞☆★ カゴメさま
姫のお楽しみ袋 チュチュ姫さま
お題は「いちばん好きな映画監督」でお願いします!
私、トニーファンのはしくれですがまだ未見の作品も多いのです。香港映画好き
な方、またいろいろ教えて下さいませ。よろしくお願いします♪

廻る命の環~『星々の生まれるところ』

ニコール・キッドマンにオスカーをもたらした映画『めぐりあう時間たち』の原作者、
マイケル・カニンガムの最新作。『この世の果ての家』を読んで以来、カニンガムの
著作は翻訳されれば必ず読みたいと思っている。ピュリッツァ賞とペン/フォークナー賞
を受賞し、ミリオンセラーとなったという『めぐりあう時間たち』よりも『この世の果ての家』
のほうが私は好きだ。翻訳文体の好みかも知れないけど・・。
本作の原題は『Specimen Days』(見本の日々)。
★以下ネタバレします★
この作品は『機械の中』『少年十字軍』『美しさのような』というそれぞれ独立しつつ
共通点も持った三篇からなる長編小説。三篇を貫いているのはアメリカの大詩人
ウォルト・ホイットマンの言葉だ。彼の代表作『草の葉』からの引用文が作品全体に
通奏低音として流れ、読む者にどこか現実離れした浮遊感を与えてくれる。三篇は
それぞれ過去(19世紀)、現代(9.11後)、未来(メルトダウンにより地球は汚染さ
れている)のニューヨークが舞台で、登場人物は設定は違えど、同じ名前を与えられ
ている。
過去の偉大な文学作品に想を得、時間軸の異なる3つの物語から成る、と聞けば、
それは前作『めぐりあう時間たち』の二番煎じではないかと思ってしまうかもしれない
が、実際は前作とは全く異なる物語だと言っていいと思う。特に未来篇はSF的要素が
濃い作品となっており、かなり奇異な印象を受ける。
死と、死者のイメージが全編を覆っていることは前作と同じだけれど、本作では更
に「死は生の終わりではない」という輪廻転生に基づく死生観や、宇宙や星々も我々の
生の一部であるという哲学的思想が展開されている。
一番小さな芽を見ても、死など本当は存在しないことがわかる
僕に属する原子は全て君にも属する
死ぬことは誰が考えたのとも違って、もっと幸運なことなのだ
これらホイットマンの詩の引用は、三篇の中で繰り返し主人公達によって語られる。
兄サイモンを工場内の事故で亡くした弟ルークは機械の中に兄を感じ、兄の婚約者キャ
サリンを救うため自らの命を差し出す。子どもを亡くした犯罪心理学者キャットは自責
の念から逃れられず、自爆テロ集団の少年に我が子と同じルークという名を与え、彼と
ともに生きる道を選ぶ。アーティフィシャル(人造人間)サイモンと異星人カタリーン
との旅は死への道程でもあり、新世界目指して宇宙船に乗り込む人々を見送った後、サ
イモンは馬を駆り西部へ向かう。カニンガムの作品に共通する、主人公が水に入る場面
は本作でも登場し、そこでまた主人公は「何か」を理解する。
それらは死の用意をさせる、しかし、終わりではなく、むしろ出発だ。
それは人を、男も女も、終着点に連れて行きはしないし、満足させようともしない。
それらは連れて行く者を宇宙の空間に連れて行く、星々の誕生を見、世界の意味の
一つを悟り、確固たる信念を持って船出し、休むことのない環を廻り行き、二度と
ふたたびじっとしていることのないように。
現代篇でキャットが目を通すこの『草の葉』の一節をもう一度読めば、奇異に思えた
未来篇も、カニンガムがホイットマンの詩を自分の言葉に置き換えたオマージュである
ことがわかるだろう。
何故カニンガムに惹かれるのか。一言で表すとすれば、彼の作品が「美しい」から。
流麗でいて詩的、シュールでいて繊細な文体(カニンガム節、と言ってもいい)は読む
ものを惹き付け、酔わせ、豊かな読後感を与えてくれる。9.11後のアメリカの小説と
して、アメリカが支配する世界を批判するメッセージも含まれてはいるが、作品自体
は決して政治的なものではなく、むしろ人間の普遍的な問い、生と死、魂の行方、宇宙
の果てと人類の未来を見通そうとした意欲作であると考えていいだろう。
尚、この作品もスコット・ルーディン(『めぐりあう時間たち』のプロデューサー)が
映画化権を獲得した模様。監督やキャストは不明だが、この壮大でシュールな小説
世界がどんな風に映像化されるのか、今から楽しみです。
(『星々の生まれるところ』マイケル・カニンガム著/南條竹則・訳/集英社・2006
"Specimen Days" by Micheal Cunningham/2005・USA)