『逢びき』 グレタ・ガーウィグのお気に入り映画12本

初見
言わずと知れた恋愛映画の古典
邦題よりも 「Brief Encounter」 という原題のほうが素敵(有名?)ですね
86分の尺、大作イメージのデヴィッド・リーンってこんなメロドラマも撮っていたのかと驚きました
グレタ・ガーウィグのお気に入り12本の一作ということで気になって鑑賞
もちろんU-NEXT(無双)にて
いや〜、よかった〜
セリフがめちゃくちゃ好き!
スクリプト読みたい! と思った
私、映画内恋愛エピソードにイラッとくる 「恋愛要素いらんねん」 派閥なんですけど、こういう純然たる100%の恋愛映画は大好物です
木曜日ごとの逢瀬、これ秋公開のニノの主演作 『アナログ』 の元ネタですね?
お互いに家庭のある、分別ある大人の純愛
そしてラストシーンの素晴らしさよ(涙)
この映画超ハッピーエンディングですよね
いや〜、夫の人最高では?
ローラもそのことは充分過ぎるほどわかっている
だからこそ深く悩み苦しんだ
でもね〜、恋って落ちるものだから
仕方ないのよ(完)
しかしこの映画第二次大戦のさなか、(1945年)製作って、、
そりゃうちら負けるはずだわ(汗)
(おまけ)
グレタ・ガーウィグのお気に入り、見てほしい映画12本(IndieWire 2023/6/5)
ジャンヌ・ディエルマン、ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地
雨に唄えば
リオ・ブラボー
赤い河
三十九夜
逢びき
キング・オブ・コメディ
家族の庭
ニコール・キッドマンの恋愛天国
プリティ・イン・ピンク
赤い影
ワーキング・ガール
グレタの最高傑作と絶賛に染まる新作 『バービー』 は8月11日公開!
楽しみスギル♪
( 『逢びき』 監督・共同脚本:デヴィッド・リーン/原題:BRIEF ENCOUNTER/
主演:セリア・ジョンソン、トレヴァー・ハワード/1945・UK)
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『山の焚火』

スイスアルプスの人里離れた場所で、ある一家が暮らしている
年老いた両親と姉は聾唖の弟を「坊や」と呼び、愛情深く育てていた
思春期を迎えた弟は度々癇癪を起こし、遂に父の逆鱗に触れ家を出てしまう
スイスの巨匠フレディ・M・ムーラー監督、1985年の作品
ロカルノ国際映画祭で金豹賞(グランプリ)を獲得した本作は、スイス映画アカデミーよりスイス映画史上最高の一作に選定されたのだそう
2020年には監督の作品3作が「マウンテン・トリロジー」特集として35年ぶりに日本でリバイバル公開されている
U-NEXTにて鑑賞(しかしU-NEXTは無双してるよね、もう無しでは生きていけないかも笑)
山登りに興味はないのですが、山の映画や登山家には何故か惹かれます
しかし寡聞にして本作は知らず
きっかけはグラフィックデザイナー・大島依提亜さんのツィート
『LAMB/ラム』 を観て真っ先にこの映画を想起したと(個人的には 『LAMB/ラム』 は特に好きな映画というわけではないのですが)
5月に観た 『帰れない山』 がとても好きで、山の映画をまた観たいと思ったときこのツィートを思い出した
何故か心に引っかかっていたのです
いやぁ、、凄い映画を観ました
こんな作品があったのか、、としばし呆然
スイスアルプスと言えば 『ハイジ』 のおかげで日本人の心のふるさと的な場所ですよね
山肌の緑や雲、湧き水などはアニメそのままの風景です
そこで暮らす一家の、静謐かつ激烈な物語でした
幸い私は核心(ネタバレ)に触れることなく鑑賞できたのですが、あらすじ紹介にもそこははっきりと書いてありますのでなるべくググらずに観ることをお勧めします
※ 以下、やんわりとネタバレ
時代背景は1980年代、しかし一家はテレビも車も所有していない
両親は耳の聞こえない弟を 「下」 の施設にはやらず、山仕事を教えている
教師を目指し一度は 「下」 の学校に通った姉も中退して山に戻り、両親とともに弟の面倒を見ている
自然に抱かれて暮らすということ
描かれていることはタブーですが、何故か 「自然」 に 「そうなるだろうな」 という感覚だった
確かに衝撃ではあるのですが、、、高所には 「下」 の民である自分には計り知れない 「時間(時の流れ)」 や生命の営みがある気がした
人はみな命の炎を燃やし生きているはず
しかし 「下」 にいるとそのことを忘れてしまう
ゆらゆらと揺れる山の焚火を見ながら、姉弟はただ 「自然」 に、シンプルに生きただけなのだろう
息をするように
眠るように
叶わない母の祈り
それでも娘に告げるのは否定の言葉ではない
(自分にはこの母の台詞が一番の衝撃だった)
私に娘がいたら、こんな言葉をかけられるだろうか?
「下」 を最も拒絶していたはずの父の怒りが、「下」 の倫理観に最も近いのもまた皮肉な話
セリフは少なく、余白が多い作品です
悲痛でもあるけれど、どこか神々しくもあり不思議な余韻が残る
観る者に委ねるナラティブは直近で観た 『aftersun/アフターサン』 に近いと感じた(もちろん全く違うストーリーですが)
映画って、いや人間ってほんとうに計り知れない存在ですね
ちっぽけな自分の想像の範疇をはるかに超えていて畏怖さえ覚える
「マウンテン・トリロジー」 の他の作品も観たいと思います
( 『山の焚火』 監督・脚本:フレディ・M・ムーラー/
原題:HOHENFEUER・ALPINE FIRE/1985・スイス)
ダルデンヌ兄弟 『イゴールの約束』 『息子のまなざし』 『ロゼッタ』

ダルデンヌ兄弟の新作 『トリとロキタ』 を観逃してしまった。
ちょっと無理をすれば時間を作れないこともなかったのだけど、彼らの作品は 『サンドラの週末』 くらいしか観たことがなくて
「どうしても観たい!」 という気持ちになれず結局スルー
そこでU-NEXTで観られるダルデンヌ兄弟の監督作品を観てみることに
以下、とりあえず3作品観たところで観た順に感想をメモ
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
『イゴールの約束』 (原題:LA PROMESSE/1996)
父とともに不法移民の就労に手を染めている少年イゴールの物語
アニエス・ヴァルダやグザヴィエ・ドランがフェイバリットに挙げている作品なのだそう
イゴールを演じた少年、かわいい、、どこかで観たことある、、、と思っていたらなんと 『2重螺旋の恋人』 のジェレミー・レニエじゃない!
彼が 「人として」 の善性に目覚める過程がとてもリアル
ラストは 「ここで言うか!」 というタイミングなのだけれど、彼なりにギリギリまで逡巡したのだろうな、、、と思う
『息子のまなざし』 (原題:LE FILS/2002)
職業訓練校で木工を教えているオリヴィエのクラスに、ある少年がやってくる
手一杯だと一度は少年を拒否したオリヴィエだったが、少年の挙動が気になり結局は彼を受け入れるのだが、、
カンヌ映画祭男優賞受賞作
予備知識なく鑑賞したので、少年がオリヴィエの(生き別れた)息子なのか? と思いながら観ていた
これは邦題のミスリードですね
少年とオリヴィエの関係が明かされてからはサスペンスの様相
少年が 「名前で呼んでいい?」 「後見人になって」 と距離を詰めてくるに連れて大きくなるオリヴィエの戸惑い(葛藤)が伝わってくる
言葉少なく、感情をほとんど表に出さないオリヴィエゆえに緊張感が半端ない
最悪の事態を予想させながら、希望を感じるラストシーンに安堵
いや~この映画は凄い!
『ロゼッタ』 (原題:ROSETTA/1999)
酒浸りの母とキャンプ場のトレーラーで暮らす少女ロゼッタが、理不尽な仕打ちを受けながらも懸命に生きようとする物語
カンヌ映画祭パルムドール&女優賞受賞作
う~ん、、これは観るのが辛い作品だった
同性として、あまりにも過酷なロゼッタの境遇が苦し過ぎる
「生活保護を申請して」 と言われても頑なに拒否し、仕事を探して生きるのだと突っ張る
「どうしてそこまで意地を張るの?」 と思う自分がいた
あの母と二人、今までどうやって生きてきたのだろう、、、とロゼッタの来し方に思いを馳せてしまう
救いがない、、しかし最後の最後にロゼッタは変われたのです
そう思いたい
◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇ ◇◆◇
3作ともにオリヴィエ・グルメが出演
彼は2021年のマイベスト作の一本 『私は確信する』 が印象深かったのですがダルデンヌ兄弟作品の常連俳優さんだったのですね
『サンドラの週末』 はオスカー女優マリオン・コティヤールの映画、という印象が強かったのだけれど、ダルデンヌ兄弟は社会的弱者に目を向け、常に問題提起する映画作家なのだとわかった
被写界深度が浅く主人公の視線に観るものを極力近づけるような映像表現と、シンプルなタイトル、最小限の登場人物、セリフ、劇伴、短めなランタイムで主題を明確に描く作風が貫かれている
ケン・ローチに近いものを感じます(尊敬)
彼らを評価し、世界に紹介してきたカンヌ映画祭はやはり凄いなと改めて思う(運営にいろいろ文句はあるにしても)
遅すぎるけどサブスクにあるダルデンヌ兄弟作品は全て観たいし、今後も公開作は観続けたいと思う
彼らはベルギー出身ですがアニエス・ヴァルダ、シャンタル・アケルマン、新作 『クロース』 がもうすぐ公開(超期待♪ ロゼッタ役の女優さんが出演するらしいと知りますます楽しみよ)のルーカス・ドンもそう
いい映画作家が多い印象なのは大国に挟まれた国の成り立ち(歴史)と無関係ではないのかもしれないと思う
ポーランドもそうですよね
そんなことを考えていると、映画を娯楽として観るだけでなく映画史的に勉強してみたいな、、と思ったり
ああ~、人生
時間が足りねぇ
「裸足」の前に~『オーファンズ・ブルース』

記憶障害を抱えたエマは幼馴染のヤンから届いた絵の消印を頼りに、彼を探す旅に出る
昨年観逃して一番残念だった映画 『裸足で鳴らしてみせろ』 を観ました(WOWOWありがとう)
週末に二回観て、それから何度もリピートしています
本作は「裸足」の監督・脚本を担った工藤梨穂(28歳)の京都芸大映画学科卒業制作作品
失われゆく記憶とともに漂う若者たちのひと夏のロードムービー
商業デビュー作である「裸足」の前の作品であり、PFFグランプリ受賞作
学生の卒業制作(自主映画ですよね)でこのクオリティ、小規模ながら全国公開もされたとは凄い!
才能、天賦の才ってやっぱりあるんだなぁと思う
U-NEXTにて鑑賞(アマプラにもあります)
「処女作にはその作家の全てがある」 と言いますが、本作にも「裸足」に繋がるモチーフがたくさんある
タイトルでもある孤児
日本なのにどこか異国のような風景
カセットテープ、レコーダー
多用されるバックショット
その背中に触れようとして触れられない指
そして何より携帯電話、スマホが出てこない
鳴るのは家電、かけるのは公衆電話!
時代設定が気になるところ
「裸足」の主人公のひとり、佐々木詩音が全く違う印象を受けることに驚きます
何この半端ない色気は?
彼が演じるアキみたいな人が現実にいたら伝説的モテ男でしょうよ
やっぱり役者さんって凄いなぁ
彼が独り踊るタンゴ、イエローがかった色調は 『ブエノスアイレス』 を彷彿させる
(監督のTwitter、トプ画がまさにブエノなのです)
その後の疾走は 『汚れた血』 ですね
セリフでも映像でも多くを語らず、想像の余地の中に物語を託した作劇は賛否分かれるところかもしれません
私はとても好きでした
何もかもわかろうとしなくてもいいんじゃないかな
映画も人生も
象が好きなヤンに、もういないフー・ボーを重ねてしまった
ロードムービーだしね(あちらは冬でこちらは夏だけど)
工藤梨穂監督、ずっと撮り続けてください
「裸足」も必ず言葉にします
( 『オーファンズ・ブルース』 監督・脚本:工藤梨穂/
主演:村上由規乃、上川拓郎、佐々木詩音、窪瀬環、辻凪子/2018)
「この愛おしさを どうしたら伝えられるだろう」

『チェリまほ THE MOVIE』 がアマプラに来たぞーー!!
あ、どうも。藤崎です^^ (皆さん殴らないでください)
ドラマ版をビンジ視聴したとき、U-NEXTでの配信が数日で終了するタイミングでした
「気づくのが遅かった。。」 とひとり悲しがっていたのですが、、、
チェリまほドラマ版、Netflixにもあります! 安心してください!!
そしてやっとやっとサブスクに来たよ~、映画版が♡
ああ~、映画館で観たかった。。
( 『チェリまほ THE MOVIE ~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』
監督:風間太樹/主演:赤楚衛二、町田啓太/2022)
2023-03-10 :
BD/DVD/WOWOW/Streaming :
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少女漫画はつよい~『思い、思われ、ふり、ふられ』

同級生の朱里(浜辺美波)と理央(北村匠海)は互いの親が再婚し、義理の姉弟となる
彼らが引っ越したマンションには由奈(福本莉子)と和臣(赤楚衛二)が住んでおり、4人は同じ高校に通う
朝ドラ 『舞いあがれ!』 にハマっております、お察しください、、、、
『チェリまほ』(ドラマ)は一日でビンジ視聴しました(当然)(最高)
本作は所謂 「少女漫画原作」 ものの青春恋愛映画
観るのをかなり躊躇しました、が、、、
そんな自分を殴りたい!(グーで)
三木孝浩監督、参りました! アオハルの巨匠と呼ばせてください!!
U-NEXTにて鑑賞
私のオールタイムベストムービーが2本、劇中で言及されます
そのうち1本は、4人の中のふたりを結びつける重要なキーアイテムとなる
「今日からこれが、俺の一番好きな映画になった」
殺し文句が過ぎるぜ、、、
しかし赤楚衛二を目当てに観たのに、北村匠海のヤバさに焦りました
色気が半端ない、、、
劇場鑑賞していたら我を忘れていたかも(自宅鑑賞でも感電しそうやったもん)
浜辺美波の尋常でない美しさにも驚愕
この二人、巷間 「キミスイ」 コンビと呼ばれているのですね
『君の膵臓を食べたい』 は(主に小栗旬が目当てで)劇場鑑賞しましたがふたりとも成長著しくて素晴らしい!
特に北村匠海は子役(『重力ピエロ』)の頃から知っているので感慨深いです
赤楚衛二はご存じ朝ドラ 「貴司くん」 で全国区やし、福本莉子はTOHOシネマズのシネマナビゲーターですっかりお馴染み
4人とも出世したねぇ
ただ、浜辺美波も福本莉子も華奢過ぎるのが気になります(骨密度、大丈夫?)
思えば、『少年の君』 もTwitterでは 「文脈が少女漫画」 と言われていました
その時は 「だから最強なんです! 少女漫画はつよい!」 とリプライした私なのに、自分の中に 「少女漫画原作映画」 を軽視する傾向があったことに改めて恥じ入る気持ちです
すみませんでした、、、(土下座)
映像美も音楽も素晴らしい作品です
特に劇伴はフィリップ・グラスかと思った()
ロケ地が神戸なのも熱々ポイント(神戸高校!)
三木孝浩監督の映画はこれからも要チェック、なるべく観ていきたいと自分に誓ったのでした
( 『思い、思われ、ふり、ふられ』 監督・共同脚本:三木孝浩/
主演:浜辺美波、北村匠海、福本莉子、赤楚衛二/2020)
「君は世界を守れ 俺は君を守る」
『少年の君』 がアマプラに来たぞーー!!
これは必見!

香港電影金像奨8冠
第 93 回アカデミー賞国際長編映画賞ノミネート
2021年 真紅のthinkingdays Best 10 第2位
エドガー・ライト(好き♡)も大絶賛
アマプラの民は是非! 見てください!! (U-NEXT にもあります♪)
( 『少年の君』 原題:少年的你/Better Days/監督:曾國祥デレク・ツァン/
主演:周冬雨チョウ・ドンユイ、易烊千璽イー・ヤンチェンシー/2019・香港)
テーマ : Amazonプライムビデオ
ジャンル : 映画
2023-02-02 :
BD/DVD/WOWOW/Streaming :
コメント : 6 :
『チャタレイ夫人の恋人』

准男爵と結婚しチャタレイ夫人となったコニー(エマ・コリン)は館の森番オリバー(ジャック・オコンネル)と恋に落ちる
ご存じD・H・ロレンス原作小説の映画化
エマ・コリン&ジャック・オコンネルでNetflixが製作中と知りめちゃくちゃ楽しみにしておりました
配信初日に鑑賞(気合よ)
何度も映像化されている有名過ぎる作品ですが実は初めて観ました
原作も未読です(英米文学専攻だったという義妹に 「卒論は?」 と尋ねると 「D・H・ロレンスです」 と返ってきて慄いた記憶あり笑)
いやぁ~めっちゃよかったです!!
過去作を観たことがないので比較はできないのですが、最高では?
エマ・コリン、頑張るなぁ~
『僕の巡査(My Policeman)』 に続きまたまた三角関係のお話
露出はもちろん多いのですが、彼女とてもスレンダーで手足が長く 「いかり肩」 なのでセクシャル過剰ではない(そこは好みの問題ですが)
そしてジャック・オコンネルよ
もう、もう、超素敵!! 身分の差をものともせずコニーが惹かれるに十分過ぎる魅力を放っております
彼の現在の恋愛事情、即調べたもんね(おい笑)
今はシングルみたい、やったぜ(それでどうする気よ笑)
しかも彼、なんとまだ32歳でビックリ! ジャクロと同い年やん、、
『ベルファスト‘71』 でふたりは共演しているのですが、まさかそんなに若いとは
40過ぎてるかと思った(汗)
ちなみにエマ・コリンは27歳
チャタレイ夫人といえばドロドロしたイメージを勝手に抱いていましたがこのふたり、むしろ爽やかカップルですよ
全裸で雨の中をはしゃぎまわるシーンなんて、、、子どもみたいで微笑ましいくらいでした
結末を知らないので、「この先一体どーなるの???」 と最後までハラハラ
コニーの父が言う 「館は手放すな、好きな人は変わっても館は変わらない」 という 「大人」 な言葉に深く深く肯きつつも、愛を貫いた二人に安堵(涙)したのでした
男爵の介護人ミセス・ボルトンがね~、いい人なんですよ
むしろいい人過ぎる
彼女の亡き夫への愛、何よりも愛を尊いものとする考え方がコニーに与えた影響は小さくないですね
演じたジョエリー・リチャードソンは過去にコニーを演じたことがあるらしく、ナイスキャスティングだと思いました
性愛についての物語ではあるのですが、根底には不条理な身分(階級)制度への怒りが込められていると感じた
ちなみに監督は女性で、ロール・ドゥ・クレルモン=トネールというフランスのお方
『ムスタング』 というマティアス・スーナールツ主演映画の監督です
これも昨年Netflixで観たのですが、地味ながらとってもいい作品で今も胸に残っています
鑑賞後様々に思いを巡らせた記憶があるので、感想を残していない自分が凄く残念、、、
でも 「ああ、あの映画の監督か!」 と納得でしたね
エマ・コリンは 『ザ・クラウン』 のダイアナのイメージが強いし、
ジャック・オコンネルはキャリアがちょっと下降気味かな?と思っていたのですが
この作品でふたりとも評価されるといいな
映像もコスチュームも、英国の風景もとっても美しいです
スコットランドの農場であの後ふたりはどう生きたのか?
それはまた別の話として、若い彼らの幸せを祈りましょう
オススメ!
( 『チャタレイ夫人の恋人』 原題:LADY CHATTERLEY'S LOVER/
監督:ロール・ドゥ・クレルモン=トネール/主演:エマ・コリン、ジャック・オコンネル
/2022・UK、US/Netflix)
My Policeman(僕の巡査)

教職を引退したマリオンは夫のトムと暮らす海辺の家に要介護者となった旧友パトリックを迎え入れる
ハリー・スタイルズがクローゼットの警察官を演じるらしいと知り楽しみに待っていた作品
同名ベストセラー小説の映画化です
ほぼ全世界独占配信の AmazonPrimeVideo にて鑑賞
(大々的に劇場公開されると思っていたので配信スルーはちょっと驚き)
1957年に出会った3人の男女
それは同性愛者が刑罰の対象だった時代
愛し合いながらも共に生きることは許されなかったトムとパトリック
トムを真っ直ぐに愛し結ばれたのも束の間、夫の背信を知り衝動のままに取り戻そうとするマリオン
40年の後、三人三様に傷つき、破壊された人生にそれぞれが向き合います
3人の主人公のうち、誰に寄り添って観るかで印象は変わってくるのかもしれません
私は3人それぞれに感情移入しながら観ていました
誰も悪くないし、自分が彼らだったら同じことをしたと思う
マリオンでも、トムでもパトリックでも
彼らは悪い人間じゃない
悪い時代に生まれただけ
40年後のトムを演じたライナス・ローチ、ハリスタに比べちょっと印象が弱いのでは? と思いながら観ていたのですが
ラスト直前のあのシーンのためだったのですね
もう、嗚咽するほど泣いてしまった、、、
そりゃトム=ハリスタじゃないとね
(トムは 「ハンサム」 と言われていましたけど、ハリスタはファニーフェイスだと思う)
彼らの人生を思うと辛くてたまらなくなる
街で幸せそうなゲイカップルを見かけ涙するトム
刑務所を出た後、パトリックはどんな暮らしをしていたのだろう?
しかし冷静に考えると、一番虚しいのはマリオンですよね
憧れの街ヴェニスに旅立った二人に置き去りにされ、新婚間もない身でどれほどの屈辱だったことか!
それでも彼女は自分のしたことを悔やんでいる
独り去る彼女の何とも言えない表情――泣いても笑ってもいない、吹っ切れたようでいて心をどこかに置いてきたような――が印象的でした
ハリスタは初主演作にこの役を選ぶとか、、さすが過ぎる
これからも音楽活動と並行して俳優業もやっていくのかな?
話題作りにもなるしオファーはひっきりなしでしょうねきっと
エマ・コリンはリリー・ジェームズの代役だそうですが 『ザ・クラウン』 のダイアナと同じ傾向の役
だからこそキャストされたのかもしれないけど、個人的にはリリー・ジェームズより全然いい(好き)と思います
そして40年後のマリオンを演じた女優さん
どこかで観た、、、どこかで、、、と思っていたら 『ひかりのまち』 のヒロイン(ジーナ・マッキー)じゃない!
Time flies...しばし遠い目
ルパート・エヴェレットも歳取ったなぁ
しかし 『僕の巡査』 って邦題はどーよ?
アマプラで配信されると知り 「マイ・ポリスマン」 で検索しても出てこなくて焦りましたよ
カタカナ邦題でよくない? 十分意味は通るでしょう
てか 「僕の」 巡査でいいのか? ダメでしょう! マリオンの立場は??
ちょっと許しがたい
と、結局は妻の立場で観ている私なのでした
( 『僕の巡査』 原題:My Policeman/監督:マイケル・グランデージ/
主演:ハリー・スタイルズ、エマ・コリン、デヴィッド・ドーソン/2022・UK、US)
シアーシャ・ローナン映画祭

大好きな女優シアーシャ・ローナンの出演作をコンプリートすべく、ひとり 「シアーシャ・ローナン映画祭」
開催
未見の作品を製作年の新しいものから過去作を遡る形で、主に配信(U-NEXT、Netflix、AmazonPrimeVideo、WOWOW)で観ていきました
これでシアーシャ・ローナン出演作はほぼコンプリート(アニメやゲスト出演作を除く)
以下、鑑賞メモ
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
『かもめ』
アネット・ベニング×シアーシャ・ローナン×エリザベス・モス√チエホフ
嫉妬と名声、それぞれの人生で得られなかったものごと
面白かった! やはり原作がいいのかな
コンスタンチンが 『追想』 の昏い瞳の彼だった
『ストックホルム・ペンシルベニア』
幼い頃に誘拐され、長年監禁されていた少女が救出されて実家に戻るも家族とは馴染めず、、、
という悲しいお話
誘拐犯がジェイソン・アイザックスでちょっと美化され過ぎでは? と思うなど
『ロスト・リバー』
ライアン・ゴズリングの監督デビュー作
レフンの映画のパチもんみたいな作風だった、、、こりゃあかんわ(暴言)
ごめんごずりん
シアーシャは才能の無駄遣い感はありますが、「Tell Me」 の歌唱はなかなか聴かせます
『わたしは生きていける』
実は本作、一番観たくて期待もしていたのですが(シアーシャとトムホ&ジョージ・マッケイの共演作だし!)
う~ん、いまいち。。
シアーシャのお父様ポール・ローナン氏との共演作なのですね
『ザ・ホスト 美しき侵略者』
う~ん、これもイマイチ。。監督はアンドリュー・ニコルなんですけどね?
ダイアン・クルーガー様が美しい!
『ビザンチウム』
ニール・ジョーダンのヴァンパイアもの!
スクエアなイメージのジェマ・アータートンがこんなセクシー路線な役を演じていたことに驚き
シアーシャが女性教師と対峙する場面、本当に200年生きているかのようで痺れました
改めてすごい演技力だと思いましたね
ケイレブ・ランドリー・ジョーンズくんとのケミストリーも素晴らしいです
またいつか共演してほしいな
『天使の処刑人 バイオレット&デイジー』
バイオレット&デイジーがひたすらかわいい
『ベイビー・わるきゅーれ』 のもしかしてネタ元?と思った
『ウェイバック -脱出6500km-』
ピーター・ウイアー監督作品ですが全く知らない映画でした
ジム・スタージェス、エド・ハリス、コリン・ファレルら豪華キャストの競演作
驚きの実話の映画化です
面白かった。。。シアーシャは本作の撮影中に16歳の誕生日を迎えたらしいのですが物凄く幼い印象
演技力はもちろん言う事なしです
『エンバー 失われた光の物語』
アニメ作品の実写版と言った趣の近未来もの
スチームパンクな世界観が好きです
本作もあまり知られていない作品だと思いますがティム・ロビンスやビル・マーレイもご出演
地下の街並みを駆けるシアーシャがかわいい!
『奇術師フーディーニ ~妖しき幻想~』
シアーシャの映画デビュー作、なのかな?
日本では未公開の作品です
シアーシャはキャサリン・ゼタ=ジョーンズの娘役
主演のガイ・ピアーズから 「シアーシャ・ローナンっていう子役が凄い!」 という電話を受けたエージェントはダブリンに飛び、空港でシアーシャと契約を結んだとか
わかる~ガイ・ピアーズの気持ちもエージェント氏の焦る気持ちもわかるわ~
『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』 で10年以上ぶりに共演して(しかも舞台は同じくエディンバラ)、
ガイ・ピアーズはどう感じたのでしょうね?
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
現在28歳のシアーシャはもう20年近いキャリアなのですね
幼い頃から学校にも行かずに(行けずに?)仕事してねぇ。。涙
最近のインタビューで本人もちょっとそのことに言及しておりましたが
まぁこれだけの才能ですから私生活の犠牲もある程度は仕方ないのかな
将来は監督を目指したいのだとか、、、個人的にはずっと女優も続けてほしいな
主演も兼ねた初プロデュース作品 『The Outrun』 は撮影終了
インディペンド映画のようですが公開規模が気になるところ
現在欧米で公開中なのは 『See How They Run』
サム・ロックウェルとW主演のマーダー・ミステリー・コメディです
こちらの日本公開はいつなんでしょう?
誰か教えてください!
アラン・パーカー 『バーディ』 『ミッドナイト・エクスプレス』

『君の心に刻んだ名前』 を観て以来ずっと探していた 『バーディ』
U-NEXTにて鑑賞
アラン・パーカーの映画は結構観ていると思っていたのに、本作はすっぽりと抜け落ちていました
Netflixも気を利かせて 『君の心に刻んだ名前』 と同時に配信してくれたらいいのにね~
カンヌ映画祭審査員特別グランプリ受賞、1984年の作品
ヴェトナム戦争で顔面損傷のケガを負ったアルは、同じくヴェトナムで従軍した高校時代の親友バーディが精神科病棟にいることを知る
物言わぬまま虚空を見つめ続けるバーディの心を開こうと、二人の思い出を一心に語りかけるアルだったが・・・
いやぁ~、マシュー・モディーンもニコラス・ケイジも若い!
そして語り継がれるに足る素晴らしい作品でした
反戦映画であり、青春映画であり、クィアな映画でもある
アルとバーディの関係をブロマンスとして位置付けている方も多そうですが、アルはストレート、バーディはアセクシャルだと感じました
ただ、1980年代に「アセクシャル」という概念があったのか?
それはわかりません
ふたりが(特にアルが)お互いを大好きで必要としているのは痛いほど伝わってきます
しかしこの二人の間に性愛が入り込むことはないし、互いが恋愛対象になることはないと感じた
風変わりなバーディを最初は 「ちょっと変わった面白いヤツ」 と思っていたアル
次第に 「コイツやるな」 と思い始め無二の親友となってゆく過程は微笑ましい
私自身、バーディの無垢な瞳や正義感、他人に同調しない個性にとても惹かれました
しかしバーディの 「鳥」 への執着心は募るばかり
遂にアルはキレてしまう(わかる)
高校を卒業し、海の向こうの戦争へ向かうふたり(涙)
初めての海(「濃い空気の中を飛んでいるみたい!」、「ワンミシシッピ、ツーミシシッピ・・・」)
バーディのやさしいお父さん、アルの粗野なお父さん
カナリアのパータ、献身的なナースのハンナ
そして驚きのラストシーン
もしこの映画を公開時に観ることができていたら、きっと「我が心の1本」になっていたのではないかな
今観ても、大好きな映画となりました
◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆ ◆◇◆
アラン・パーカーのフィルモグラフィを眺めていると、『ミッドナイト・エクスプレス』 がある・・・?!
オリバー・ストーンがアカデミー賞脚色賞を受賞しているので、彼の監督作だとばかり思っていました
U-NEXTで探すともちろんあった! 早速鑑賞
1970年10月6日、アメリカ人旅行者ビリー・ヘイズはイスタンブール空港で麻薬不法所持の現行犯で逮捕される
収監され4年の刑を宣告されたビリーだったが、それは地獄の日々のほんの入り口に過ぎなかった
1978年アカデミー賞6部門ノミネート、2部門受賞の名作
驚きの実話の映画化です
いや~、面白かった。。。
脱獄モノに外れなし、しかし本作の肝は刑務所内の人間模様かもしれません
特にビリーの囚人仲間のマックスを演じたジョン・ハートが素晴らしい!
撮影当時は30代半ばかな、、でも枯れた感じの印象は晩年とほとんど変わらないですね(もちろん役作りもあるかとは思いますが)
本作の演技でアカデミー賞助演男優賞にもノミネートされています
(ちなみに受賞は『ディア・ハンター』クリストファー・ウォーケン。この年のラインナップ、凄い!)
アラン・パーカーは2020年に亡くなったのですね。。
たくさんの素晴らしい映画をありがとうございました
ご冥福を、そしてこれからも映画で偲びたいと思います
( 『バーディ』 監督・アラン・パーカー/主演:マシュー・モディーン、ニコラス・ケイジ/1984・US)
( 『ミッドナイト・エクスプレス』監督・アラン・パーカー/主演:ブラッド・デイヴィス/1978・UK、US)
ガス・ヴァン・サント 『エレファント』
究極の「女優」映画〜『イヴの総て』 『サンセット大通り』


先月加入したU-NEXTのコンテンツの充実ぶりに驚いています
おかげで何年、何十年ものの 「宿題」 をたくさん片付けることができました
まずはブログ「匂いのいい花束。」管理人ブノワ。様ご推奨、究極の「女優」映画二本
『サンセット大通り』
ハリウッドの売れない脚本家がサイレント時代の大女優に愛され、悲劇を迎えるノワール
まず、コメディ畑の人だとばかり思っていたビリー・ワイルダーがこんなシニカルなサスペンスを撮っていることに驚きました
本作で人気が爆発したというウィリアム・ホールデンと、知性を感じさせる(少しバーグマンの面影あり)ナンシー・オルソンも好演しています
セシル・B・デミルやバスター・キートンが本人役で出演しているのも凄い
しかしやはりこの映画はほとんど「本人」役のグロリア・スワンソン、彼女に尽きる!
いや〜、こんな女優さんがいたのですね、、、強烈としか言いようがない
ラストシーンの迫力たるやもう、唖然、呆然、トラウマレベルですよ
執事の存在理由といい、もはや妄執と狂気の世界
天晴れとしか言いようがない作品でございました
『イヴの総て』
新人女優イヴは演劇界の最高賞を得る
そんな彼女を複雑な思いで見つめる者たちがいた
アカデミー賞ノミネートの話題で必ず名前が上がるこの作品
め・ちゃ・く・ちゃ面白かったです
マーゴを演じたベティ・デイヴィスのド迫力
対してイヴのアン・バクスターは抑えた演技ながらジワジワと邪悪な本性を現してお見事すぎる
本作も息を呑むラストシーンが忘れがたい
アン・バクスターが途中からフローレンス・ピューに見えて 「イヴをピューちゃんでリメイクしてくれ〜」 と思いながら観ていた
(当然何度もリメイクされているようで、2019年にはジリアン・アンダーソン×リリー・ジェームズで舞台化もされています)
個人的にマーゴはケイト・ウィンスレットでお願いしたい
そしてこのふたりの女優を見つめ続けるカレン役が実は重要な役どころではないかと思いました
そこはクレア・フォイにお願いして英国人キャストでまとめ、舞台はロンドン・ウエストエンドでいかがでしょう
マリリン・モンローの役は誰がいいかな?
この2作品、邦題はどちらも直訳、女優のバックステージものであること、ラストシークエンスを冒頭に明示し、そこへ向かって物語る手法など共通点も多いですね
どちらも同年公開されアカデミー賞を争った、というのもスゴい話
あり得ないハイレベルな争いです
しかしベティ・デイヴィスもアン・バクスターも、グロリア・スワンソンさえも受賞ならずだったという
作品賞は 『イヴの総て』 に軍配が上がったようですが、どちらも後世に残る作品であることは間違いないでしょう
不朽の名作とはこのことですね
「女優」 という職業、いや 「女優」 という生き物、あるいは宿命について大いに考えさせられる
必見の2作品ですね!
( 『イヴの総て』 原題:ALL ABOUT EVE/監督:ジョセフ・L・マンキウィッツ/
主演:ベティ・デイヴィス、アン・バクスター/1950・USA)
( 『サンセット大通り』 原題:SUNSET BOULEVARD/監督:ビリー・ワイルダー/
主演:グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン/1950・USA)
『チャンシルさんには福が多いね』

映画プロデューサー(PD)のチャンシルさんは、長年映画を共に作ってきた監督が急死し仕事を失ってしまう
40歳でお金も家族も家もなく落ち込むチャンシルさんだったが、家主さんが独居する坂の上の家に間借りし知り合いの女優の家政婦として働き始める
昨年観逃して残念だった韓国映画
AmazonPrimeVideoにて鑑賞
とってもよかったです。。
監督は、長年ホン・サンス監督のプロデューサーを務めていた方
本作が長編デビューだそう
監督の実体験を基に、映画愛がいっぱい詰まった作品でした
(ちょっとこじらせた)映画好きなら、きっと大好きな映画ではないかな
この映画に対して 「何も起こらない」 という意見があってビックリ
淡々としているのは確かだけど、こんなにも様々な感情が渦巻いているのに
でもそれって 『東京物語』 を 「何も起こらない」 と言われてムキになって反論するチャンシルさんと同じマインドだな自分、と気づいて笑ってしまった
チャンシルさんが恋する(そして振られる)彼はノーラン信者
でもね、ノーラン信者でも 『東京物語』 を高評価することもあると思うよ
チャンシルさんが映画を志すきっかけになったのが 『ジプシーのとき』 だっていうのも熱々ポイントだった
そしてやっぱり(全然似てない)レスリーだよね
最高!ツボ!(笑)
ただアコーディオンの場面ではレスリーというよりトニーに見えたのは私だけ? タートルネックが。。
チャンシルさんのその恋の顛末もとてもよかった
人間誰しも、寂しいとき辛いとき誰でもいいから無意識にすがってしまうことってありますよね
(私は別れを忘れたくてあなたの目を見ずに戸を開けたby中島みゆき)
でも、そういう関係ってたとえその時はうまくいったとしても後々必ず後悔するし破綻する
迷走ののち自分を見つめなおし我が道(人生)を行くチャンシルさんが最高だった
白状すると、私もチャンシルさんのお父さんに同感
世界的に評価されている巨匠ホン・サンス監督作品、あまり好みではない
でもこの機会に(毛嫌いせずに)観てみようかな
そしてもう一つ
実は私、『東京物語』(はじめ小津安二郎監督作品)を観たことがない!
この映画を観終わってすぐに観ましたとも、『東京物語』(ずっと前にWOWOW放映分を録画していたのさ)
小津安二郎、コンプリートしたいと思った
まずは 『晩春』 『麦秋』 の紀子三部作を観了
長くなるのでそのことはまた別の機会に...
( 『チャンシルさんには福が多いね』 監督・脚本:キム・チョヒ/主演:カン・マルグム、ユン・ヨジョン/
2019・韓国)
『ジェニファー・ロペス:ハーフタイム』

ジェニファー・ロペスのドキュメンタリー映画
NetflixUSオリジナル作品
「残酷なほど過小評価」 され続け、どんなにメディアに貶められても決してあきらめなかったひとりの 「ラティーナ」 の物語
もう、、、もう涙なしには観られませんッ
JLo~~~~最高ッ!!
『ハスラーズ』 『マリー・ミー』 と本作で三部作ですね(違う?)
言いたいことはほぼ 『ハスラーズ』 の感想で書いているので、インスタにあげた感想を再掲します
◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆ ◇◇◇ ◆◆◆
『ハスラーズ』
ウォール街の男たちから搾取されていたストリッパーたちの逆襲。実話にインスパイアされた物語。
ジェニファー・ロペスがオスカーに無視されて話題でしたが、、、いや私もJLoノミネートしないとかアカデミー賞マジでク◯だと思いましたね。
助演部門はローラ・ダーンの総なめ状態でしたけど、彼女は確かに素晴らしかったけど、JLoは彼女の対抗馬だったと思う。
キャシー・ベイツ?
今さら?
あのお母さん役、確かに悪くはないけど突出したパフォーマンスだったとは思えません。
対してこの映画のJLoはまさに 「唯一無二」 ですよ!
まず序盤のポールダンスからして圧巻なのですが、主人公コンスタンス・ウーや他のキャストたちに見せる姐御肌、「あたしもこんな女になりたい!」 って感情しかないよね。
てかJLoに 「ベイビー」 って呼ばれたい。ファーコートにくるまれたい。
「カバンはデカいほどいいの!」 けだし名言ですよ。
彼女たちのしたことは犯罪ですけど、ああいう形でしか闘えなかったのですよね。
ディスティニーが妊娠したとき 「男の子であって欲しい」 と言った気持ちが痛いほどわかる。
音楽の使い方も斬新だった。そこでショパンか、、、っていう。
そしてJLoほどのスターが、このまま引き下がるはずがない!
オスカースルー、からのスーパーボウルハーフタイムショーですよ!
これは必見。人間の可能性、美しさ力強さをこんなにも高らかに歌い上げ踊り続けてみせる姿に感動しないでいられるでしょうか?
間違いなく彼女のキャリアハイでしたね。
そしてあのショーは疑いなくこの映画 『ハスラーズ』 と地続きなのです。
女であることは時に困難だけど、あたしたちは一人じゃない。
Let's Get Loud, Ladies!!
ありがとうJLo!最高。
(2020年2月13日 Instagramへの投稿より)
『ハートストーン』

夏のアイスランド、半農半漁の田舎町
ソールとクリスティアンは幼なじみの大親友
いつも一緒にいるふたりだったが、ソールは大人びた美少女ベータが気になり始める
この映画を知らずに生きてきたことが悔しい
そして今知ることができて本当によかった
心からそう思える作品です
『好きにならずにいられない』 『たちあがる女』 アイスランド映画を続けて観たことで本作品と出会えた
感謝
思春期の痛みを抱え、自分が何者か知ろうと葛藤する少年少女たち
それは誰にも訪れる青く残酷な季節
親目線で観ると少し目を背けたくなるような
アイスランドの荒涼たる自然はそんな彼らをやさしく包み込む
しかしそこには息苦しく抑圧的な田舎町の閉塞感が渦巻いてもいる
悲しげな大人たちの瞳も
自然との関わりの中で、必然として動物の生と死が描かれる
クィアな主人公であることも含めて『ゴッズ・オウン・カントリー』との親和性を感じずにいられなかった
フランシス・リーは絶対、この作品好きだと思う
リバーフェニックスとクリステンスチュワートを足して2で割ったようなソールがかわいい
そのソールもベータもラケルもハフディスもみんな演技がちゃんとしてる
当たり前だけど若くてかわいいだけじゃなくて
本作が長編デビューだという監督は若い方だけど、何を撮り何を表現したいのか、最初から最後まで完璧にコントロールしていると感じた
結末を観客に委ねず丁寧に物語ること
その姿勢と覚悟が素晴らしい
若い役者たちのあの演技を引き出したのも監督の手腕なのだと思う
視線の送り方、何気ない仕草
それは言葉少なな彼らの心情を雄弁に語る
一番感心したのは繊細な映像美
篠田昇氏(『リリィ・シュシュのすべて』)やジョシュア・ジェームズ・リチャーズ(『ザ・ライダー』)を彷彿させるような
差し込む光
ローアングルのクローズアップ
人と自然の対比に唸る
撮影は『アナザーラウンド』(大好き!)や本作の監督の新作も手がけている方のよう
ハフディスが朗読する詩も印象深い
物語の中に詩があるって素敵
たとえそれが彼女なりの苦悩の表出であっても
当たり前にそこにあったかけがえのないもの
失い奪われ続ける人生で自ら選びとること
一度はもつれたソールとクリスティアンの絆が
これからも固く結ばれていることを願っている
( 『ハートストーン』 原題:HJARTASTEINN/監督・脚本:グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン
/アイスランド・デンマーク合作/2016)
『氷がすべてを隔てても』

1908年、デンマークの遠征隊がグリーンランドに残した地図を回収するため2人の男が再び極地に向かう
ジョー・コールがNetflix製作の映画に出るというので気になっていた作品
配信作品ですがベルリン映画祭でお披露目されたよう
本作の製作・脚本も担当している主演のニコライ・コスター=ワルドーは初めまして
ゲースロで有名な方なのですね
話題作 『FLEE』 の製作にも関わっているとは! 只者じゃないですね〜
アカデミー賞レッドカーペットでもお見掛けしました
実話の映画化
☆以下ネタバレ☆
いや、、、これめちゃくちゃキツかったです
なんとか最後まで観ましたけど途中で何回か止めた
まず冒頭の凍傷の処置のシーンで 「これは覚悟がいるな」 と思ったのですが
犬が、、、犬がぁぁぁヤメテーーーー(叫)
となる
あまりにも過酷な道程に主人公はやがて恋人の幻影を見るようになるのですが、彼女は生きているという顛末にビックリ
まぁ何とも過酷な話ですよ
無理
ジョー・コールはやんちゃなイメージ(『ピーキー・ブラインダーズ』、『暁に祈れ』)だったけど素朴で心やさしい普通の青年を好演
しかしグリーンランドって国ではなくデンマークの領土なのですね
知らんかった(恥)
( 『氷がすべてを隔てても』 原題:AGAINST THE ICE/監督:ペーテル・フリント/
主演:ニコライ・コスター=ワルドー、ジョー・コール/2022・アイスランド、デンマーク)
『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』

1968年、イリノイ州シカゴ
FBIから 「ネズミ」 としてブラックパンサー党に送り込まれたビル・オニールはカリスマ的指導者フレッド・ハンプトンに近づいてゆく
「ジュダス・アンド・ザ・ブラックメサイア」 とカタカナ読みで紹介されていたアカデミー賞二部門受賞作
公開を楽しみにしていたのに円盤スルーでがっかり、、、
レンタルに行かねばと思いつつなかなかでしたがNetflixが配信してくれました!
Netflixマジありがとう(ちなみに3/26にwowowシネマでも放映予定あり)
いや〜めちゃくちゃ面白かったです
アカデミー賞助演男優賞受賞したダニエル・カルーヤが演じたフレッド・ハンプトンは 『シカゴ7裁判』 でケルヴィン・ハリソンJr.が演じた人物
そう、あの映画と同時代の話なんですよね
そして 『セバーグ』 とも同時代なのです
偶然なのですがちょっとビックリ
いや〜ダニエル・カルーヤがめちゃいいです
フレッド・ハンプトンのカリスマはもちろん素の男の子なところがまた上手い!
めっちゃキュート♪なんですよ、、、そりゃあまだ21歳だったのだものね(涙)
同じく助演男優賞ノミネートのラキース・スタンフィールド(好き)もさすがの演技
FBIに対する恐怖、フレッドに対する畏怖と憧憬と忠誠に揺れ動く感情を絶妙な表情演技で見せてくれる
『ゲット・アウト』 コンビいいですね~
そしてジェシー・プレモンスですよ!
何を考えているのかわからない不気味な存在感のある役を演じさせたらこの人ピカイチですね
こんな風に数々の作品での積み重ねがあっての 『パワー・オブ・ザ・ドッグ』 アカデミー賞ノミネートなんだなぁ
しかし本作でもFBIのエグいことエグいこと
冒頭と繋がるラストシーン、キャプションで語られるその後の 「真実」 に震えます
これマジで劇場公開して欲しかった
名作では?
( 『ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償』 監督・シャカ・キング/
主演:ダニエル・カルーヤ、ラキース・スタンフィールド/2021・USA)
『セバーグ』

1968年、ジーン・セバーグはブラックパンサー党の思想に共感し彼らの活動を援助するのだが、、、
FBIに監視され精神を病んだ女優ジーン・セバーグの伝記映画
クリステン・スチュワートが主演と聞いて楽しみにしていましたが配信スルー
でも観られてよかった
Netflixありがとう
描かれるのは彼女の後半生の数年のみですが衝撃的な内容です
まず、ジーン・セバーグってアメリカンだったのですね(そこから)
『勝手にしやがれ』 のイメージが強くてフランス人だと思っていました(無知)
正直、それが一番の衝撃だった(笑)
そして彼女、僅か40歳で亡くなっていたとは
原因はFBI絡みかと察せられる作品です
セシルカットのクリステンがいいですね
彼女 『スペンサー』 も控えているし実在の人物を演じることが続きましたね
しかも2人とも悲劇的な人物、、、ううう
60年代ファッションも素敵
もちろんおシャネルも協力しております
映画としては、、、うーん
彼女を監視するFBI捜査官ジャック・オコンネルが第二の主人公なのですが
まぁ相手は誰もが知る有名女優ですからついつい監視対象に感情移入してしまうわけですよ、彼が
それは正義感からと言うよりも恋心だったと私は感じました
その恋愛感情がうっとおしいねん!
いやいやジャック(役名も)、止めとけよ~って感じですよ
妻がマーガレット・クワリーなのにさぁ
まぁジーンもブラックパンサー党の幹部(アンソニー・マッキー)とあっと言う間に男女の関係になるわけですが(唖然)
冒頭で、ジーンの夫(フランスの作家でロマン・ガリーという方、もちろん今回初めて知りました)も女子大生と浮気してる、みたいな匂わせがあるのですが
それとこれとは別よねぇ
しかし当時FBIのやることは相当エグかったようですね
権力を笠にやりたい放題ですよ、犬~!(怒)
ラストの展開は荒唐無稽過ぎてちょっと引きましたが
(不倫以外は)全く正しいこと、善きことをしていたはずのジーン・セバーグが気の毒でたまりません
しかし私たちはあなたを忘れないから
これからも作品で彼女を偲びましょう
( 『セバーグ』 監督:ベネディクト・アンドリューズ/主演:クリステン・スチュワート/2019・英、米)
AmazonPrimeおすすめ映画;(2022年1月鑑賞)

『Emma/エマ』
ジェーン・オースティン×アニャ・テイラー=ジョイ、共演はビル・ナイにジョシュ・オコナーにミア・ゴス!
公開を楽しみにしていたのに配信スルーとなったコメディ寄りの文芸ロマンス
まぁ間違いございません(ジョシュがひたすらかわゆく可笑しいし)
ただ、我等がアニャには型にはまらない尖った役柄に挑戦してほしい
ロバート・エガースの新作、楽しみにしてます♪
『僕を育ててくれたテンダー・バー』
そのバーの名は 「ディケンズ・バー」
ノーマークの配信スルー作品でしたが助演のベン・アフレックがゴールデングローブ賞に続きSAG賞にもノミネートされて 「これは観なければ!」 と
監督はジョージ・クルーニー
いやぁ。。マジでベンアフがめちゃくちゃいいです
父のいない甥っ子に人生において大切なことを伝える伯父さん
「母親を敬え、大事にしろ」 ってセリフだけでもう百点満点
子どもの成長過程にとって、こういう 「おじさん」 の存在はとても大事だなぁと改めて感じる
「スポーツは一切やるな、本だけ読んどけ」 これ、親はなかなか言えないですよ
でも 「あなたは絶対にハーバードかイェールに行く」 息子にこう言い聞かせる母の気持ちもわかるんだなぁ
カレッジリングの場面、もう涙ナミダですよ
オススメ!
『愛すべき夫妻の秘密』
こちらもニコール・キッドマン&ハビエル・バルデムの主演コンビが賞レースを賑わせている作品
アカデミー賞でも主演男女、助演男優賞の3部門ノミネート
日本では配信スルーですがアメリカでは公開されたのかな?
監督・脚本はアーロン・ソーキン!
なので間違いはないのですが、題材がアメリカの伝説的超人気ドラマ 「アイ・ラブ・ルーシー」 とな
今一つ馴染みがない(と言うか、全然知らない)
観終わってからwikiってしまいました(汗)
アーロン・ソーキンは 「脚本だけ書いとけ」 みたいなこと言われがちですが、私は彼の(監督)作品、好きですよ
応援しています!
Netflixおすすめ映画;(2022年1月鑑賞)

『ロスト・ドーター』
マギ・ジレンホールの監督デビュー作
バカンスに来た海辺の町で出逢った母子を見つめながら、自らの過去を回想するインテリ女性のお話
アカデミー賞では主演・助演女優賞および脚色賞の3部門ノミネート
配信スルーですが評価が高いので楽しみにしていました
オリヴィア・コールマン、ダコタ・ジョンソン、ジェシー・バックリーにポール・メスカル、ピーター・サースガードにエド・ハリスまで!
激シブキャストは間違いございません
観終わっての率直な感想 「マギー、、、(メンタル)大丈夫?」
脚本も彼女によるものですが、原作があると知ってちょっと安心
オリジナルだったらちょっとやばいですよ、、、しんどすぎる
長々と感想を書きたい気もしますが()
『Hand of God-神の手が触れた日-』
パオロ・ソレンティーノ監督の作品は苦手意識があり、劇場には行かず自宅鑑賞
しかしこれが、、、面白かった!
大きなスクリーンで観たかった
映画館に行かなかったことを後悔しました
アカデミー賞国際長編映画賞ノミネートも納得です
イタリアが舞台なこともあり、『君の名前で僕を呼んで』 をちょっと連想
主人公が美形でエリオみがあるし、テーブルを囲んでの親族食事会&終わらないおしゃべり
そしてラストシークエンスはまんまではないですか!
原題 「THE HAND OF GOD」 はマラドーナの名言から
「ナポリを見てから死ね」 と言われる風景も素晴らしい
あ~、イタリア行きたい!
『ミュンヘン:戦火燃ゆる前に』
第二次大戦前夜。オックスフォードで共に学んだドイツとイギリスの青年が外交官となり、ミュンヘン会談で再会する
これはめちゃくちゃ面白かったです
ジョージ・マッケイの 「使いっ走りキャラ」 ここに極まれり!
冗談はさて置き、Mr.ナイスガイの彼にあて書きされたかのような役どころ
そしてドイツ人外交官を演じたヤニス・ニーヴーナーが爆イケ眼鏡男子でもうね~
インスタ秒でフォロー(笑)
誰かに似てる?と思ったら 「インテリ化したトム・ホランド」 だわ
過去の出演作は 『コリーニ事件』、これ観逃して年間ベストに入れてる人が多くて後悔したやつ!
あ~観たい!
チェンバレン首相を演じたジェレミー・アイアンズも安定のイケっぷり
アウグスト・ディールとトニ・エルドマンのお姐さんも出てます
ただ、ヒトラーがあまりに似てなくて 「誰?」状態なのはご愛敬
(てかヒトラーと言えばブルーノ・ガンツの顔面が浮かぶ自分の認知が歪んでいるに違いない)
いや~これ劇場公開してもよかったのでは?
オススメ!
Netflixおすすめ映画~『君の心に刻んだ名前』

1987年、戒厳令解除直後の台湾。カソリック系の男子校に通うアハン(エドワード・チェン)はバーディと呼ばれる同級生と出会う。
2020年3月の大阪アジアン映画祭で世界プレミア上映され、その後公開された本国で大ヒットしたという台湾産青春映画
我が最愛のジャンル
制服のシャツに刺繍された青い文字を観ただけで涙腺がゆるみます
残念ながら劇場公開はスルー、Netflixにて配信
しかしこの邦題、『Call me by your name/君の名前で僕を呼んで』 を意識してる??
意味はほぼ原題(Your Name Engraved Herein/刻在你心底的名字)通りなので、そもそも原題が意識しているのかな
本作のように他国で大ヒットしたり、国際映画祭で受賞歴があるような作品でも今後は映画館では観られなくなりそうですね(ハリウッド映画以外は)
それも時代の流れなのでしょう
近頃は公開されても近畿圏で上映館がひとつだったりするなら( 『swallow』 とか 『恋する遊園地』 とか!)もう配信してくれと思いますね
(閑話休題)
いや〜、久しぶりにこんな熱くてストレートな恋愛映画観ました
もうね、若いエネルギーが恥ずかしいほど燃えたぎりほとばしっております
主人公アハンは若い頃の金城武に瓜二つ
短髪のバーディは 『ブエノスアイレス』 のトニー・レオンを意識したのかな?
獲物をロックオンする悪い瞳が堪りません!
相思相愛のこの2人に編入してきた女子生徒バンバンが絡み、恋の行方は混沌とし
自分の思いにどこまでも忠実なアハンと
破天荒な素振りとは裏腹に思いやり深く繊細なバーディ
なんとも愛おしいふたりですよ
「初恋はどれも映画みたいに素晴らしい」
そして舞台は三十数年後の現代へ
自分でも意外だったのですが、この現代パートにやられました
若い頃の自分なら 「現代パートが蛇足」 とかほざいてそう(汗)
私も歳を取ったのだなぁとしばし感傷に浸ったりして
歳を重ねても心に刻まれた思いは色あせない
視線の先にあの頃の二人が見える
「俺があきらめると思ったか?」
しかし30年後のバーディ、変わり過ぎてない?
あれで気づくか??(暴言)
アハンはいい感じに枯れてるんだけどね
滝まで 『ブエノ』 オマージュ、監督ありがとう!
その監督の高校時代の実体験がベースだそうで
幸せなことですよね
生涯忘れられない人に出逢うって
その思いが叶っても叶わなくても
( 『君の心に刻んだ名前』 原題:Your Name Engraved Herein 刻在你心底的名字
/監督:リウ・クァンフイ柳廣輝/主演:エドワード・チェン陳昊森、ツェン・ジンホア曾敬驊、
レオン・ダイ戴立忍/2020・台湾)
Netflixおすすめ映画~『私というパズル』

マーサ(ヴァネッサ・カービー)は夫と助産師とともに自宅出産に臨む。生まれた娘は産声を上げるのだが…
ヴァネッサ・カービーがヴェネツィア国際映画祭で女優賞を受賞した作品
審査委員長のケイト・ブランシェット様が評価した彼女の演技を物凄く楽しみにしていました
残念ながら劇場公開はスルー、Netflixにて配信
辛い内容ですが是非最後まで観て欲しい
観了後、監督が 『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』 のコルネル・ムンドルッツォだと知りました
うーむ、やはり只者ではない
原題は 『Pieces of a Woman』
Piecesをジグソーパズルのピースと掛けているのでしょうね
思い出し泣きが止まらない作品です
ヴァネッサ・カービーはもちろん、キャストの演技がみな素晴らしい
特に母親(典型的なジューイッシュマザー)を演じたエレン・バースティン
御年88歳になられるそうで…天晴れです
シャイア・ラブーフ(マーサの夫役)が出ているから観ない、というボイコットの動きもあるようですが
素行はどうあれ、彼の演技力は折り紙付きですからね
劇中 「時が癒すしかない」 という意味のセリフがあります
それはある意味真実なのですが
喪失の悲しみは生きている以上消えることはないと思うのです
なぜなら
喪ったものは自分の一部だから
悲しみの 「共振」 の中で人は判断を誤り
大切な人や物を傷つけ壊してしまう
しかし思うのです
過ちを犯した自分を見つめ、悔いることも
回復への大切なステップなのだと
母の手を握るマーサの表情が心に残ります
「私もこの人から生まれたんだ」
お母さんありがとう 産んでくれて
リンゴの香りと巡る命
その橋を渡れば
光は必ず見える
悲しみの果てに
( 『私というパズル』 原題:Pieces of a Woman
/監督:コルネル・ムンドルッツォ/主演:ヴァネッサ・カービー/2020)
AmazonPrime おすすめ映画~『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』

ドラマーのルーベン(リズ・アーメッド)は恋人ルーと組んだメタルユニットでツアーを続けていたが、ある日突然聴覚を失ってしまう。
コロナ禍の影響で公開が延期され、AmazonPrimeVideoにて配信された作品
素晴らしい作品でした(そうでないとここでは紹介しないのですが、本当にほんとうに)
多くの方に観ていただきたい
オスカーレースにも絡んでくるのは確実ではないかと(そうであってほしい、希望的観測)
音楽を生業とするものが聴覚を失うということ
その絶望
そして
その先にあるもの
リズ・アーメッドは初主演作なのではないかな
『ヴェノム』 や 『ローグワン』、『ナイトクローラー』 などなど
存在感のある脇役を演じて好感しかなかったけれど
本作の演技は1ステージ上がった感がある
恐怖 焦燥 怒り 失意 迷い 受容
渾身の演技であり、繊細で奥深くもある
この難役と出逢い、ここまで演じ切ったということ
役者人生冥利に尽きるのではないかな
そしてもう一人
聴覚を失った主人公のメンターとなる施設長を演じたポール・レイシー
(初めましての役者さん、彼自身はろう者ではないがご両親がそうであるとのこと)
彼が忘れがたい印象を残す
術後の主人公と対峙するシーン
彼の演技、彼の存在そのものが作品全体に神聖さと滋味を与え、その言葉が深く心に刻まれる
参りました
「Sound of Silence」
メタルサウンドの大音量で始まり、静寂のラストに至るサウンドデザインも必聴
余分なエピソードや寄り道はなく、主人公視点がぶれない 「シンプル」 な映画であり
観終わった後も主人公の 「その後」 にいつまでも思いを巡らせてしまう 「終わらない映画」=「心に残る映画」 でもある
デビュー作でそんな作品を撮ってみせた監督、ダリウス・マーダーに拍手を送りたい
素晴らしい映画をありがとう、と
( 『サウンド・オブ・メタル~聞こえるということ~』 原題:Sound of Metal/
監督・共同脚本:ダリウス・マーダー/主演:リズ・アーメッド/2019)
『Tommy's Honour』

19世紀スコットランドのゴルファー、トム・モリス親子の物語
実話(原作)に基づきます
2016年の作品
これずっと観たくて観たくて…
YouTubeでダイジェスト版?のようなものはあるのですが、本邦では未公開、未配信、円盤もありません(泣)
UK版DVDを購入、英語字幕、PCで無理ムリ鑑賞
監督はジェイソン・コネリー、ショーン・コネリーの息子さん(それも何か因縁めいていますね)
主演は(父)ピーター・ミュラン&(息子)ジャック・ロウデン!
父は最年長、息子は最年少の優勝記録を持ち、それは21世紀の今も破られていないのだとか
英国、特にスコットランドではレジェンドですよね
そして本作、2016年のBAFTAscotlandにて作品賞受賞しています
このキャストにこの評価、なんで未公開なん?!と思いません??
まぁ言うても地味な作品ですけど、もったいないわ〜
私はジャクロ推しだしピーター・ミュランも大好きなので本当に観てよかった
ジャクロは撮影当時25歳くらいかな?
喜怒哀楽全ての表情が生きている
最高ですよ
ピーター・ミュランは珍しく普通?のお父さんだけどやっぱり貫禄(威厳)ありますよね
その大先輩に一歩も引けを取らずガチンコ芝居してるジャクロ、やるやん!と思ってしまった
セントアンドリュースがゴルフの聖地だというのは知っていましたが、スコットランドなのは知らなかった
風景もそれはそれは美しく、ジャクロが常々 「スコットランド最高! 世界一!」 と手放しで愛を叫んでいるのも納得です(笑)
しかしこの映画、日本で観てる人どれくらいいてるのかな?
せめて日本語字幕付きで配信してくださいよろしくお願いします!
(映画館で観せてくれたら一番いいんですけど) (来年の「のむコレ」とか、どうでしょうシネマートさん?)
( 『Tommy's Honour』 監督:ジェイソン・コネリー/主演:ジャック・ロウデン、ピーター・ミュラン
/2016・UK、USA)