![]() 訃報を知った朝、時間の許す限り『とくダネ!』を観ていました。 第一報はNHK、7時のニュースのトップ。その時点では「心肺停止状態で病院 に運ばれた」というものでしたが・・・。「80年代が終わったんだ」。そう思った。 美空ひばりさんが亡くなったとき、メディアは「昭和という時代が終わった」と 報じていて。その当時の私は、実感としてそのことの意味がよくわからなかった のだけれど・・・。 今回、「ああ、こういうことだったのか」と腑に落ちました。その時代をリアルに 生きた者だけが、得られる感覚だったのだと。 近年の彼は、ステージとは程遠い場所で、迷子のように見えた。奇行を繰り返 し、本当の自分と、自分の居場所を探しているように。彼以外はみんなわかって いたのにね、彼の生きる場所はステージ以外にはない、と。 しかし彼が偉大なシンガーであり、ダンサーであり、プロデューサーであり、 間違いなく一時代を築いた「THE KING OF POP」であることは、誰も否定でき ないでしょう。 ひばりさんの死後、私が『川の流れのように』を聴いて衝撃を受けたように、 マイケルを知らない世代が彼を知り、またあの音楽−−体が自然にステップ を踏み、細胞の一つ一つが浮き立つような−−が拡がって行くとうれしいな。 来月早々に、紙ジャケ仕様のCDが発売されるようです。『Off the Wall』 買う予定。RIP. ![]() テーマ:マイケル・ジャクソン - ジャンル:音楽 ![]() |
![]() THE READER 1958年、西ドイツ。15歳の少年マイケル(デヴィッド・クロス)は、学校帰りに 体調を崩し、ある女性に助けられる。彼女の名はハンナ(ケイト・ウィンスレット)。 マイケルは、母親ほども年長のハンナの虜になってゆく・・・。 ドイツの作家、ベルンハルト・シュリンクの世界的ベストセラー『朗読者』待望 の映画化。原作に涙し、アンソニー・ミンゲラが映画化権を獲得したと知った日 から、長い長い間、待ち続けた作品。ミンゲラに代わり、スティーヴン・ダルド リー&デヴィッド・ヘアの監督・脚本が決まり、やっと撮影が始まるとニコール ・キッドマンが降板。プロデュースに回ったミンゲラとシドニー・ポラックの急逝、 アカデミー賞出品を巡るゴタゴタと、気の遠くなるような紆余曲折があった本作。 しかし、結果的にはケイト・ウィンスレットに見事アカデミー主演女優賞をもた らした、記憶に残る作品となった。ひとまずは、原作を忠実に映像化した作品と なっていることを素直に喜びたい。出演者はもちろん、映像、衣装など全て一級 品の映画。天国のミンゲラとポラックも、きっと満足してるんじゃないだろうか。 ![]() 先日、『リトル・ダンサー』(原題:ビリー・エリオット)の舞台化作品でトニー 賞を受賞したばかりのスティーヴン・ダルドリーは、本当に才能に溢れた演出家 なのだと思う。性的モラルの観点からは議論を呼ぶであろう本作を、安っぽいメ ロドラマには決して終わらせていない力量は素晴らしい。追憶に生きるマイケル、 遠い記憶を辿るようなレイフ・ファインズの瞳が美しい。声も素敵で、「朗読者」の タイトルロールの資質は十分! 羞恥心と怒り、困惑と諦念を同居させたケイト ・ウィンスレットも期待通りの熱演。ラスト近くの二人の再会場面は、映像で見 せられると堪らなくキツく、原作以上に悲しいものに感じられた。ハンナはね、 抱擁して欲しかったんだよね。。。「大きくなったわね、坊や」。原作を読んだとき、 この一文で涙が止まらなくなった。 感動した、という一言ですませてしまうにはあまりにも重く、哀しい物語だと 改めて思う。ほとんど泣きながらの鑑賞だったのだけれど、この涙は一体、何 に対する、何処から来る涙なのだろう? と、ふと思う。失われた時間、去らな ければならなかった者、行き場のない怒り、無学ゆえに犯してしまった罪、忘 れられないひと・・・。 「朗読(者)」という自らの「流儀」を貫いたマイケルに、私は共感する。彼は ハンナに会いに行くことも、手紙を書くこともしなかった。しかし、ハンナに物語 を読み聞かせること、それだけがマイケルにできることだった。言葉にできな い想いを「朗読」という「行為」に託すことで、マイケルはハンナと共に生きて いたのだと思う。そして他のどんな方法をもってしても、誰もハンナの自死を 止めることはできなかっただろう。それは彼女が自分の人生にオトシマエを つける、唯一無二の路だったのだろうと思う。 ブルーノ・ガンツ、レナ・オリンなど、「大御所」の出演に驚き。ガンツの出演 は、製作者からドイツへの敬意かもしれないと思う。母子二役を演じたレナ・ オリンも素晴らしかった。原作にはない、マイケルと娘とのエピソードもいい。 娘ジュリアを演じたのは、『4分間のピアニスト』のハンナー・ヘルツシュプル ング。 ![]() どうしても書いておきたい苦言をいくつか。若き日のマイケルを演じたのは ドイツの新人俳優デヴィッド・クロス。難役への果敢なチャレンジには拍手を 贈りたいけれど、レイフの分身には少し、荷が重かったかも・・・。そしてやは り、マイケルではなく「ミヒャエル」であって欲しかった。そしてそして、一番 情け無いのが邦題・・・。初めて邦題を知ったときから、怒りの沸騰は継続中。 原作を愛している自分は、大切なものが踏みにじられたような気分になった。 『愛を読むひと』というタイトルに釣られて映画館に出掛ける人が、一体どれ だけいるのだろう? 『朗読者』で、何がいけないのだ?! もういい加減に、 邦題、「愛」付けときました、みたいな流れからは転換して欲しい。 (『愛を読むひと』 監督:スティーヴン・ダルドリー/ 原作:ベルンハルト・シュリンク『朗読者』/2008・米、独/ 主演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、デヴィッド・クロス) ![]() |
![]() TERMINATOR SALVATION I'll be back. 時は2018年、「審判の日」を生き延びた少数の人類はスカイネットへの抵抗軍 を組織、戦いを続けていた。 ジェームズ「キング・オブ・ザ・ワールド」キャメロンが創った『ターミネーター』 の新シリーズ。邦題には付いている「4」という数字が原題には無い。前シリーズ の系譜ではありながら、全く新しい物語が展開するという宣言だろう。 『TDK』でそのカッコよさに開眼したクリスチャン・ベールがジョン・コナーを 演じる、と聞いてから、楽しみでたまらなかった本作。面白かった。核戦争後の 荒廃した地球、スカイネット率いる機械軍との死闘は迫力があり過ぎ、音響含め て刺激が強すぎた感はあるけれど・・・。いや〜、これ観たら久しく観てない『ター ミネーター』が無性に観たくなった。カイル・リースはマイケル・ビーンが演じて いたんだよなぁ。。(遠い目)。 ![]() しかし、期待に反してジョン・コナー中心に物語が展開するわけではなく、本作 の主人公は「心は人間、身体は機械」であるマーカス・ライト(サム・ワーシントン)。 2003年、死刑囚であった彼はサイバーダイン社と契約を結び、「セカンド・チャンス」 に懸ける。彼が目覚めたのは15年後、「審判の日」が過ぎた荒廃した世界であり、 彼を導いたのは後にジョン・コナーの父となる少年、カイル・リース(アントン・イェル チン)だった。 懐かしいサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)の声、名セリフ、某知事の登場と、旧作 のファンにも大いにサービスしてくれてうれしい。マーカスの苦悩、彼が第二の人生 では真っ当に生きようとし、「死の味」でなく「生の味」を知るラストは涙、涙・・・。 ジョンの妻ケイト(ブライス・ダラス・ハワード)が身重だったのは、新たな「父と子の 物語」が始まるということだろうか。 しかし、、クリスチャン・ベイルってカッコイイ。。あの昏い瞳が堪りません。 彼って、どこか影のある役柄が本当に似合う。人類の未来を背負って、救世主と しての運命を受け入れたジョン・コナー。更なる続編に期待。 ![]() (『ターミネーター4』監督:マックG/2009・米、独、英、伊/ 主演:クリスチャン・ベール、サム・ワーシントン、アントン・イェルチン) ![]() |
![]() THE WRESTLER 80年代に栄華を誇り、今は落ちぶれたトレイラーパーク暮らしのプロレスラー、 ランディ”ザ・ラム”ロビンソン(ミッキー・ローク)。プロモーターから20年前の 「伝説の一戦」のリマッチを提案されるが、彼は長年の無理がたたり、心臓 発作を起こしてしまう・・・。 ダーレン・アロノフスキーが「ミッキー・ローク主演」に拘ったという人生ドラマ。 かつての「セクシー・スター」の大復活劇にも驚いたが、あの『ファウンテン』 のダーレン・アロノフスキーが、こんなにもストレートに心震わせる映画を作っ たことにも驚かされた。第65回ヴェネツィア映画祭金獅子賞受賞を皮切りに、 世界中で多くの映画賞を受賞している。 この映画について語る前に、6月13日、まさに本作公開日に亡くなったプロレ スラー、ノア社長にして2代目タイガーマスクこと三沢光晴さんについて触れな いわけにはいかないだろう。謹んでご冥福をお祈りします。 ![]() 80年代という時代をリアルに生きてきたか、そうでないかで、もしかすると この映画から受ける印象は変わってくるのかもしれない。実は私は、中高生 の頃マット・ディロンの大ファンで、なんとファンクラブにも入会していた(私設 だったのですぐに解散したのだが)。マット見たさに出かけた『ランブルフィッ シュ』で、ミッキー・ロークという俳優を知った。 甘くかすれた囁くような声、ニヒルなようで愛嬌のある瞳。コッポラによって 「発見」された彼のその後の活躍は目覚まし、く『イヤー・オブ・ザ・ドラゴン』 『ナインハーフ』『エンゼル・ハート』などは全てリアルタイムで観ている。 彼の転落の原因は何だったのか。ボクサーになってみたり、整形疑惑が取り 沙汰されたり。真相は定かでないが、近年の彼は俳優というよりは「キワモノ」 的な扱いをされていたように思う。そんな彼が身体を張って演じたからこそ、こ の作品には映画というフェイク以上の何かが宿っているように見えた。 ![]() 監督は、ミッキー・ローク=ランディの背中をひたすら追う。家族もなく、 孤独と貧困にまみれながら、プロレスラーとしての誇りだけは失っていない 一人の男。満身創痍で、片耳には補聴器、膝にも肘にもサポーターをグル グル巻きにして、それでも彼の居場所は四角いリングしかない。 一度スポットライトを浴びた人間は、その恍惚を忘れ難いものなのだろう。 いや、ランディが忘れようとしても忘れられなかったのは、血を流し、痛め つけられながらも、ひたすらリングの上で闘ってこそ得られる高揚感だった のかもしれない。 命知らずだと人は言う。過酷な人生だと人は言う。それでも、どれほどの 血を流そうと、プロレスラーとしてしか生きられない男の生き様はどうだ! 不器用でバカな奴だと、嗤うやつは嗤うがいい。父親でもなく、惣菜売場 の店員でもなく、俺はただ「レスラー」なんだと。たとえ惚れた女が止めよ うと、生きることは止められない。リング以外の「外の世界」で生きることは、 彼にとっては「死」に等しいのだから。 情の深いストリッパー、キャシディ=パムを演じたマリサ・トメイがまた、 素晴らしい。『その土曜日、7時58分』に続いて、セクシー過ぎる肢体を晒 しての大熱演。本作を観て、ショーン・ペンでなく、ミッキー・ロークにこそ オスカーをあげるべきだったと思ったし、マリサ・トメイも、助演女優賞に 値する名演技だったと思う。彼女が演じたのは、9歳の男の子を持つシング ルマザーであり、トウの立ったストリッパー。ランディへの想いに揺れなが らも公私に一線を引き、懸命に自らのプライドを守ろうとする姿が胸を打つ。 この映画のマイサ・トメイは、働く母親に必要なのは「勇気と自己犠牲」だと 教えてくれた、とティルダ・スゥイントンが語ったように。 ランディの渾身の(そして恐らく最後の)跳躍をスローモーションで捕らえ、 スクリーンは暗転する。「ボス」ブルース・スプリングスティーンが無償で提供 したという主題歌が流れる間、誰も席を立たなかった。そして劇場が明るく なっても、私はしばらく動けなかった。 (『レスラー』監督・製作:ダーレン・アロノフスキー/2008・米、仏/ 主演:ミッキー・ローク、マリサ・トメイ、エヴァン・レイチェル・ウッド) ![]() |
![]() I COME WITH THE RAIN LAに住む元刑事のクライン(ジョシュ・ハートネット)は、世界有数の製薬企業 オーナーから、行方不明の息子シタオ(木村拓哉)を探して欲しいと依頼される。 クラインはLAからフィリピンへ、更に香港へとシタオを追うのだが・・・。 『ノルウェイの森』を監督するというニュースで俄然、有名になった感のある監督、 トラン・アン・ユンの最新作。ここで懺悔します。ずっと昔、トニーが出ているという ので『シクロ』を観ようとしたんですが、トニーが出ているシーン以外は早送りして しまいました。監督、ゆ、許して・・・。音楽に、グスターボ・サンタオラヤさんが参加 しているのですね。字幕は太田直子さん。 天下の大スター、木村拓哉の世界進出映画第二弾ということで大注目の本作。 朝一のシネコンは妙齢のお嬢さん方の熱気と、化粧の匂いでむせ返るよう。上映 前は予告篇の終了まで賑やかなおしゃべりが止まなかったのに、上映中は凍りつ いたように静かでした・・・。 ![]() フランス映画なのだけど、舞台は主にアジアで、フランス語は一言も発せられ ない。なんだか不思議な感じ。主演俳優も国際色豊かで、アメリカ、日本、韓国、 香港のトップスターが揃い踏み。これは世界マーケットを意識したキャスティン グなのだろうか? 物語は、トラウマを抱えた元刑事クラインと、香港マフィアのドン、ドンポ(イ・ ビョンホン)がともに「地獄を見たもの」としてシタオを探す、という一見単純な もので、難解さはない。しかし、監督が提示する「痛み」と「復活」、そして「受難」 を理解するには、相当高いハードルを越えなければならないだろう。血糊とウジ 虫だらけのシタオや、おぞましい死体のオブジェは観るに堪えず。。この映画で は正直、木村拓哉を見直した。演技も悪くないと思ったし、身体を張って汚れ役 を頑張っていたと思う。イ・ビョンホンの英語の巧さにも驚き。「どこかで観た女優 さん」だと思ったドンポの情婦にして最愛の女リリは、監督の奥様だそう。なるほ ど、なんとも美しく撮られていた。 クラインの記憶がフラッシュバックの形で何度も挿入され、彼が抱えてしまっ た怪物のような衝動が次第に明らかにされてゆく。ドンポの一途な愛、その合わ せ鏡のような過剰な暴力性。全ての痛みを引き受けようとする、シタオの受難・・・。 理解したとはとても言えないけれど、アジアのまとわりつくような湿気とともに、 彼らの痛みは十分過ぎるほど伝わってきたのだった。 ![]() 私はキリスト教徒ではないが、エルサレムには一度行ってみたいと改めて思っ た。そして、『ノルウェイの森』は・・・。うーん、正直、微妙かも? (『アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン』監督・脚本:トラン・アン・ユン/ 主演:ジョシュ・ハートネット、木村拓哉、イ・ビョンホン/2009・仏) ![]() |
![]() ANGELS & DEMONS 教皇選挙(コンクラーベ)が行われようとしているヴァチカンで、秘密結社イルミ ナティによる枢機卿誘拐と爆破予告がなされる。協力要請を受けたハーヴァード 大学教授にして宗教象徴学者ロバート・ラングドン(トム・ハンクス)はローマに 飛ぶ。 印象には残っているけれど、記憶には全く残っていない大作『ダ・ヴィンチ・コー ド』から早3年。ラングドン教授がロン・ハワード監督とともに帰って来た。舞台を パリからローマに移し、暗号を授けるはダ・ヴィンチに代わりガリレオ。スイスの 研究所から盗み出された「反物質」と4人の枢機卿を救うべく、ローマの街をラン グドンが疾走する。 面白かったのだけど、土・空気・火・水の4元素のうち、空気の記憶がございま せん。。ガリレオの古文書を「ビリリ」のシーンで、ちょっと興醒めしてしまったの が悪かったのかもしれない。 ![]() この映画の一番の見所は、サン・ピエトロ寺院をはじめとするローマの街並み だろう。ヴァチカンは、一切の撮影協力を拒んだということだけれど、むべなる かな。。私的には、ニコライ・リー・コスが出ていたことが最大のサプライズ! さすがハリウッド、目ざとい!! キーマンの一人、シュトラウス枢機卿に悪役 のイメージが強いアーミン・ミューラー=スタールをキャスティングするところ も、観客のミスリードに一役買っているかも。 タイトルが「VS」ではなくて「&」なのが、この映画のポイントなのだろうと思 う。ラストでシュトラウス枢機卿は言う、人間に欠点があるように、宗教にも欠点 はあると。科学=善(または悪)、宗教=悪(または善)という捉え方ではなく、 表があれば必ず裏があるように、全ての事象には善いところも、悪いところも あるということ。英雄的行為も、見方によっては自己保身に映るように。 しかし、胡散臭いな〜、と思ったカメルレンゴ(ユアン・マクレガー)がやはり、 というどんでん返しはサスペンスの王道か。人が死に過ぎるのと、「反物質」の 爆発によるヴァチカンの被害はどうなったのかが気になるところだった。あと、 トム・ハンクスの増毛加減が。。 ![]() (『天使と悪魔』監督・製作:ロン・ハワード/原作・製作総指揮:ダン・ブラウン/ 主演:トム・ハンクス、アイェレット・ゾラー、ユアン・マクレガー/2009・USA) ![]() |
![]() STATE OF PLAY ワシントンDC。新進気鋭の若手代議士スティーヴン(ベン・アフレック)の秘書 が地下鉄で事故死する。マスコミは不倫の果ての自殺だと報道するが、スティー ヴンの大学時代のルームメイト、ワシントン・グローブ紙記者のカル(ラッセル・ クロウ)だけは、事件の裏にある陰謀に近づこうとしていた。 原題「STATE OF PLAY」には聞き覚えがある。NHKBSで放映されていたBBC 製作ドラマのリメイクらしい。ドラマ版は残念ながら未見、しかし純粋に映画として 十分に楽しめる、上質のサスペンスだった。面白かった&観てよかった! 原題 は訳すのが難しいけれど、一筋縄ではいかない人間関係や、国家の成り立ちの 表と裏を巧く表現したタイトルだと思う。それに比べて邦題は・・・? カルの書い た「ヘッドライン」は消されてなかったと思うのだけど。。観客をミスリードさせるの が目的のタイトルなのだろうか。監督はケヴィン・マクドナルド、オリジナルドラマ の出来の良さもあるのだろう、しかしここまで良質の映画に仕上がったのは、 脚色に参加したトニー・ギルロイの手腕もあるのかも。 ![]() そして豪華なのはキャスト陣。『ワールド・オブ・ライズ』では、やる気ゼロが見え 見えだったラッセル・クロウ。久々に彼の演技力を堪能したような気がする。 とても好きな俳優だとは言えないけれど、やっぱり巧いな、と。大好きなレイチェル ・マクアダムスは相変わらずの「でこっぱち」。でも可愛い♪ ウェブ版のブログ 記事を最新型のアップルでアップする彼女と、年代もののPCで地道に取材を重 ね、粘り強くヤマを追うカルとの対比が面白い。反目し合っていた二人が互いを 認め、次第に寄り添う姿もうれしい。 泣く子も黙る鬼編集局長を演じるは「女王」ヘレン・ミレン。この役、オリジナル ではビル・ナイが演じていたのだとか・・・。そそられます。しかし明らかにミスキ ャストだと思われるのはロビン・ライト・ペン。綺麗だけど、どう見てもベンアフと 同級生には見えないし、あの夫婦全然似合ってないよ(笑)。あ、ラッセル・クロ ウとベンアフも全く同級生には見えないな〜、ということはベンアフがミスなの か?? いや、彼はスーツ姿がカッコよかったから、いいんです! ![]() 軍事産業と政治の癒着がターゲットかと思いきや、物語は大・どんでん返しで 幕を閉じる。カルの親友への想い、愛する人への想いは全て裏切られる。代議士 とその妻なら、ジャーナリストの親友を利用したあの程度の芝居は屁でもないだ ろう。涙を浮かべながらキーを叩くカル、しかし正義を貫き通した彼には、肩を並 べて歩く新しい同志がいる。苦い幕切れに、ほんのひとかけらの希望が救いに なった。 (『消されたヘッドライン』監督:ケヴィン・マクドナルド/2009・米、英、仏/ 主演:ラッセル・クロウ、ベン・アフレック、レイチェル・マクアダムス) ![]() |
![]() 大学入学のため、仙台に越してきた椎名(濱田岳)は、河崎と名乗る不思議な 雰囲気の隣人(瑛太)に声を掛けられる。「ディラン?」 How many roads must a man walk down ・・・ 伊坂幸太郎の同名小説の映画化。『重力ピエロ』がとってもよかったので、録画 したままになっていた本作を観る。う〜ん、面白かった!謎めいた展開の前半は 少し吸引力が弱めだけれど、松田龍平が登場する中盤以降は目が離せない。 「そうだったのか・・・」と、オープニングの場面を思い出して納得。しかもチョイ役 (椎名の同級生)で岡田将生くんも出てるじゃない!! まだ磨かれない原石と いう感じだけれど、すっごく得した気分♪ 観てよかった〜。。 私は東京以北は北海道にしか行ったことがないので、東北のイメージってほぼ ゼロ。でも仙台が大都市なことくらいは知っている。『重力ピエロ』では出演者が みな標準語をしゃべっていたので、仙台って訛り、ないのかな?と思っていたの だけれど。「日本さ来たら、日本語しゃべんねぇど〜」バスの運転手さんのセリフ で腑に落ちた。 ![]() 濱田岳って初めて見た。プロフィールを知ってビックリ、88年生まれって・・・、 ええぇぇ〜〜〜!! なんかもう「10年選手」って雰囲気。若いのか老けてるのか わからん。。そういえば『鴨川ホルモー』の予告で、チョンマゲ姿だったのが彼な のか。 松田龍平も、演技しているところは初めて見たような。彼ってなかなかいい じゃない? 松田優作の長男で、翔太の兄貴、っていう認識しかなかったけど。。 これは『蟹工船』が楽しみだ♪ そして、一番の驚きが瑛太くん。彼ってカッコよかったんですね(爆)。耳の大 きい小松帯刀という印象しかなかったのに、背が高くてスタイルもいいんだな〜。 小栗旬くんと、ちょっとキャラがかぶるのかも? まぁあの二人は従兄弟です からね、磯野家では(笑)。演技も上手だし、今いろんなジャンルの作品で引っ張 りだこなのも、わかる、わかる。プライベートでも、龍平とは親友だとか・・。 二人の共演作『青い春』が観た〜い。。瑛太の映画デビュー作でもあるんだよね。 ![]() しかしこの映像が、小説ではどんな風に表現されているのか全く予想がつか ない。ドルジの、河崎や琴美(関めぐみ)への想いが切なくて、愛おしくて・・・。 伊坂幸太郎の小説って、法や世間体で裁けない良心や善悪について書かれた ものが多いのだろうか。私だって、神様を閉じ込めてしまいたいよ。 The answer is blowin' in the wind. (『アヒルと鴨のコインロッカー』監督:中村義洋/ 主演:濱田岳、瑛太、関めぐみ/2006・日本) ![]() |
![]() THE CHASER 元刑事で、今は夜の女たちの「元締め」を稼業とするジュンホ(キム・ユンソク)。 店の女たちが次々と失踪し、不審に思ったジュンホは客の電話番号を洗い出す。 韓国で大ヒット、映画賞を総なめにしたというクライム・サスペンス。本当に 久々に、震えるような映画を観た。日常の何もかもを吹き飛ばし、スクリーンに 吸い込まれるような極上の映画体験! R-15指定でも緩いと思うほどに血生 臭く、毒々しい描写も多数ある。しかしそれを補って余りある疾走感、オープニ ングからラストまで、全く途切れない緊張感、溢れ出るパワー!! まさにこう いうのを「鷲掴み映画」って言うんだろう、しかもすっごい剛腕。参りました、傑作 です。あと5分短かったら、名作になっていたかもしれない。しかし、何れにしろ 必見ですよ、映画好きの皆さん! 韓国映画、最近『映画は映画だ』を泣く泣く見送ったので、これはどうしても 観たかった。しかし私の「韓国映画ベスト10」もリストアップし直さねば・・・。 当然、本作はベスト入りですね。決して「好きな映画」ではないけれど、凄い 映画であることは間違いないですから。 ![]() 信じがたいことに、監督・脚本は本作がデビュー作だという。猟奇的殺人、雨の 夜というモチーフから、ポン・ジュノの『殺人の追憶』を想起される方も多いだろう。 しかし、この映画はあの傑作を超えているかもしれない。黒光りする闇は『イース タン・プロミス』のようでもあり、『オールド・ボーイ』のようでもある。 ジュンホは、無駄に元気な破壊的キャラ。演じるキム・ユンソクは、ソン・ガンホ とチャン・ドンゴンとチェ・ミンシクを足して3で割ったような風貌。彼の主演作を初 めて観たが、体当たりの大熱演が迫力たっぷり。シリアルキラー、ヨンミンを演じ るは、『絶対の愛』でモテ男を演じて「?」だったハ・ジョンウ。すみません、私は あなたを見くびっていました・・・。そして目を引いたのは、拉致されるミジン(ソ・ ヨンヒ)の娘のかわいらしさ! 宮崎あおい似で、ぷくぷくのこまっしゃくれ娘が もう、最高なんです。 ![]() 緊迫感を煽る音楽も効果的で、ドキドキが止まらない。ジェットコースターの ようにスピーディで、なおかつシンプルでわかり易いストーリー運びにも驚愕! 脚本家の頭の中で複雑になり過ぎた「難解な」物語には辟易している。たった 一夜の出来事をこんなにもスリリングに、観る者の予想を裏切り続けながら押 し切る手腕には、脱帽するしかない。声に出して笑ってしまうようなユーモアも 散りばめながら、この作品には生身の人間同士がぶつかり合う生命のエネル ギーが充満している。それは過剰に描かれる「死」よりも、遥かに観る者の心を 離さない。 観終わって、場内が明るくなっても緊張は解けず、しばし呆然。口に出して 「凄かった・・」とつぶやいた瞬間、何かがほどけて涙になった。 (『チェイサー』監督・脚本:ナ・ホンジン/2008・韓国/ 主演:キム・ユンソク、ハ・ジョンウ、ソ・ヨンヒ) テーマ:この映画がすごい!! - ジャンル:映画 ![]() |
![]() DUPLICITY MI6諜報員のレイ(クライヴ・オーウェン)は、デュバイでCIAエージェントの クレア(ジュリア・ロバーツ)に騙され、民間企業の諜報部門に転職する。NY で活動中のレイの前に、再びクレアが現れ・・・。 クライヴ・オーウェンとジュリア・ロバーツが『クローサー』以来久々に共演 したサスペンス。先月公開された『ザ・バンク』ではインターポール捜査官だっ たクライヴは、今回は元MI6諜報員という役どころ。NY、ローマ、チューリッヒ 等々、世界の都市を駆け巡るところも『ザ・バンク』とかなり似ている。役名も 「ルイ」と「レイ」だし。ラスト近く、ウルリッヒ・トムセンまで出てきたのには ビックリ、もう、被り過ぎ(笑)。ストーリーはちょっと時制がややこしいけど、 面白かった、かな。監督・脚本はトニー・ギルロイ。ジェームズ・ニュートン・ ハワードの音楽もいい。 ![]() ライバル企業同士の情報戦に便乗して、一儲けしようと企む二人の元スパイ。 愛し合ってはいても、スパイの習性からどうしてもお互いを信じ切れない。彼ら は本当に愛し合っているのか、それともどちらかが相手を出し抜くのか。それは 結局、最後の最後まで観ている私たちにもわからない。 久々のジュリア・ロバーツは、容姿は劣化気味ではあるにしても、まだまだ 存在感十分。しかし本作で一番感心したというか、唸ったのはポール・ジアマ ッティの演技。いつも巧い役者さんだけど、今回も本当に、すごく巧い! 新興企業のCEOとしての焦燥や劣等感、老舗企業B&R社のCEO、ハワード・ タリー(トム・ウィルキンソン)を出し抜いたときの優越感、株主総会演説での 恍惚。ラストの脱力まで、全ての感情の表わし方がやり過ぎ寸前でリアリティ を保っていて、もう、最高! 出演場面は少ないけれど、トム・ウィルキンソン の老獪さ、狡猾さもさすが。クライヴ&ジュリアよりも、この二人の演技合戦 をもっと観たかった気がするのだった。 ![]() しかしこの映画、時制の崩し方で故意にストーリーを分かり難くしているよ うな印象を受けた。何年前、何ヶ月後、というテロップは出るのだけれど、レ イとクレアの容貌も変化しないし、彼らがその時点でどういう状況にいるのか がイマイチ判らない。スパイ映画だから、分かり難くて当然なのかな? それ とも分からなかったのは私だけ? いやいやそんなハズはない、隣の席の 奥様なんて、途中から爆睡状態でしたよ。 (『デュプリシティ/スパイは、スパイに嘘をつく』監督・脚本:トニー・ギルロイ /主演:クライヴ・オーウェン、ジュリア・ロバーツ/2009・米、独) ![]() |
![]() |
| 真紅のthinkingdays |
いつまでも青臭い映画好きでいたいのです(名前は紅いんですが)。 観た映画と読んだ本の覚え書き。 記事は基本的にネタバレありです。 どうぞご贔屓に♪
|
Categories
|
|
|
|
|
|
What's New?
|
|
Author:真紅
|
|
|
|
Search this site
|
|
|
|
|
|
RSS
|
|
|
|
|
|
Powered By FC2ブログ
|
|
|
|
|
|
Thank You!
|
|
|
|
|